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逃げたい悪役令嬢ですが、毎日公爵令息様が迎えに来ます〜悪役令嬢リリアーナの日記〜  作者: ayami


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第1話 「転生しましたが、もう詰んでいます」

目を覚ました瞬間、私はすべてを思い出した。


 ――ここ、乙女ゲームの世界じゃん。


 しかも。


(よりにもよって……悪役令嬢のリリアーナ!?)


 ベッドの天蓋を見上げながら、私は心の中で絶叫した。


 この世界は、前世でプレイしていた乙女ゲーム

『聖花のアルディス』の舞台。


 そして私は――


 ✔ 主人公をいじめる

 ✔ ヒーローに嫌われる

 ✔ 最終的に断罪・追放される


 予定の悪役令嬢、その本人だった。


「……終わった……」


 思わず、ぽつりと呟く。


 このまま原作通りに進めば、私は確実に国外追放。


 最悪、命もない。


(いや無理無理無理! 絶対回避する!)


 私は勢いよくベッドから起き上がった。


「お嬢様、本日も公爵家のセシル様が――」


 侍女のマリアがそう言いかけた瞬間。


「断る!!」


 私は即答した。


「今日は……体調不良ってことで!」


「ですが……昨日も――」


「三日連続で不調なこともある!」


 あるのだ。私の心は常に不調だ。


 なぜなら――


 セシル・フォン・アルディス。


 この世界の攻略対象にして、最強の男。


 そして。


 原作で私を断罪する中心人物。


(近づいたら死ぬ)


 それが私の中の結論だった。


 ――のに。


「リリアーナ」


 なぜか、彼は今日も私の部屋の前にいた。


 ノックもせず、当然のように。


 扉の外から響く、落ち着いた低音。


(もう来てる!?)


「体調が悪いと聞いたけど、大丈夫?」


 扉が開き、長身の青年が入ってくる。


 銀髪、青い瞳、完璧な顔立ち。


 これがこの国一の公爵家跡取り。


 セシルだった。


「……だ、大丈夫です!」


 私は必死に笑顔を作る。


 距離を取れ。離れろ。近づくな。


 心の中で念じる。


 しかし。


 セシルは、私のベッド脇まで当然のように来て、腰を下ろした。


 ……近い。


 近すぎる。


「顔色が悪い」


 そう言って、彼は私の額に手を伸ばす。


「ひゃっ!?」


「熱はないね」


 安心したように微笑む。


 ……待って。


 原作のセシルって、こんなに優しかったっけ?


 もっとクールで無関心だったはず。


(私、何かフラグ踏み抜いた?)


「今日は学園に来ないつもり?」


 セシルが静かに尋ねる。


「え、えっと……」


 来ない=好感度下がる

 来る=接触増える


 詰みでは?


「……行きます」


 私は観念した。


 すると、彼は満足そうに微笑んだ。


「迎えに来てよかった」


 ……え?


「迎え?」


「もちろん。君一人で行かせるわけないだろう」


 当然のように言われる。


(いや、原作と違う!!)


 ヒロイン扱いされてない!?


 馬車の中。


 私は壁際に座り、できるだけ距離を取る。


 が。


 なぜか、セシルは隣にぴったり。


「……近くないですか?」


「そう?」


 そうだよ!


「危ないから」


 そう言って、肩を引き寄せられた。


 心臓が跳ねる。


(無理無理無理……これ、完全に溺愛ルートじゃん……)


 私は必死に冷静を装った。


(落ち着け。まだ序盤だ)


(今のうちに距離を取れば――)


「ねえ、リリアーナ」


 彼が、ふと低い声で呼ぶ。


「……はい?」


「最近、僕から逃げてない?」


 ――ドキッ。


 視線が絡む。


 優しいのに、逃がさない瞳。


 まるで、獲物を見るような――


(いやいやいや!?)


「そ、そんなことありませんよ!」


「本当?」


 微笑みながら、手を握られる。


 逃げ場はない。


「……ならいい」


 その声は、なぜか少しだけ安心したようだった。


 でも私は知っている。


(これ……もう、囲われてない?)


 こうして私は。


 破滅回避のために逃げたい悪役令嬢として、

 執着公爵様との終わらない追いかけっこが始まるのだった――。

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