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衛兵達のお仕事

衛兵が手配書を出して見せる。そこには教会から「異端者」と大きく焼き印が入れられた手配書が。


「異端者かよ!」

「相当な数の犠牲者が・・・出たんだろうな」


天魔戦争の後、異端者という言葉は主に重犯罪者の中で禁術や違法な技術の研究に手を染めている

犯罪者に向けられる言葉になった。それらの禁術にはそれ自体が危険なものもあれば

術の発動に夥しい犠牲を必要とするものもあった。その中で異端認定を受ける犯罪者は

それらの禁術の研究のみならず「使用」したことが確認された人物である。


「禁術の類は・・・『魔術耐性の研究と称した拷問』か・・・そのために人買いや殺人に手を・・・」

「面倒なヤツに出くわしたもんだ・・・よくぞあの子たちは無事だったな」

「魔法学校の生徒って言ってたな。それほど凄いクラスだったのか?」

「報奨金が出るレベルのヤツだ・・・いくらなんでもあの引率の人がやったんだろ」


衛兵は手分けして山賊を縛り上げては檻付きの馬車に放り込んでいく同僚を他所に目の前の魔法使いにえも言われぬ怒りを感じていた。


「コイツが襲ったってことはあの子供たちを実験材料にするつもりだったんだろうな」

「かもしれんな・・・おい!まてやめろ!」


衛兵の一人が剣の柄に手を置いたのをみて相方が慌てて止めに入った。


「どうせ異端審問官に引き渡されるんだ、お前が殺すまでもないだろ?」

「す、すまん・・・」

「お前は年頃の娘が居たんだったな、気持ちはわからんでもないがな」


そんなやり取りをしていた時だった。不意に彼方からボロきれが風に乗ってやって来た。


「なんだ?」

「ボロきれだ、風はそんなに強く吹いてないのに・・・」


山賊を捕縛していた衛兵がそれに気づいたが、まるで意思をもっているように人を避けて飛んでくる。


「不思議なもんだな、ありゃなんだ?」

「わからん、もしかするとあの魔法使いの魔道具かもしれんぞ」


衛兵の一人がそういうと全員が剣の柄に手を置いて警戒する。


『ふふふふ』


「な、なんだぁっ!?」

「不気味な声だ!」


ボロきれに全員の目線が集まった瞬間に不気味な笑い声が周囲に響き渡った。


「やはり魔道具か!」


剣を抜いた衛兵が切りかかると剣は文字通りボロきれに振り下ろしたようにバサッと音を立てて引っかかり、切れる事なく地面に落ちるとまた何も無かったように宙に浮かび上がった。


「むむっ」

『慌てずとも私は諸君らの仕事の邪魔したりはせん』

「ボロきれが喋った!」


ボロきれはひらひらと宙を舞っていたがやがて人の形をとり、そしてその布の隙間から艶やかな肢体が覗いた。


『そこの男に用があるだけだ』


顔の部分の布がめくれたそこから覗いた顔は妙齢の美女である。

衛兵達はその女性の美しさよりも不気味さととある感情が頭を過っていた。


『邪魔をしなければ何も・・・』

「・・・ょ」

『よ?』

「痴女だーーーーーーーーーー!!!!」


全員が悲鳴を上げた。


『!???』

「ひぃぃ!こんな寒空にそんな手足を放り出して!」

「しかも下履きをつけてないぞ!は、ハレンチー!」


衛兵たちはこの周辺の出身で、女性の露出に対して激しい羞恥を覚えていた。

元より寒い地域である。外で肌を出している人に免疫がなかったこと、そして

日光教では売春婦などの職業でもない女性がみだりに肌を出すことははしたないと

されていたのである。

また、この地域では薄着を強制することが刑罰に成り得る気候でもある。


「見てるだけで寒い!」

「ハレンチが移る!あっちへ行ってくれー!」


衛兵たちは蜘蛛の子を散らす様にボロきれを纏った女性から逃げていった。


『わ、私・・・』


取り残された女性は小刻みに震えながら


『ち、痴女じゃないもん・・・』


小さく呟いた。


『ただ、布切れから布切れに転移できるだけだし・・・』


言い訳をするように魔法使いの男の元へと向かうと苛立ちを見せながら

男の頭を蹴っ飛ばした。


「んぐっ!」

『お前が愚図なせいでいらぬ恥をかいた!』


指を弾くとするすると男の口を塞いでいた布がほどける。先ほどの蹴りで意識が戻ったらしい

男は痛みに呻きながら視線を泳がせると女性を見つけて安堵したように溜息をついた。


「あなたか・・・」

『なにホッとしてんの?アンタまさか私が助けにきてやったとでも?』

「なんだって?まさかそんな・・・」


男は縛られて動けないままに後退った。女性は苛立ちに加えて男に対して侮蔑の表情を浮かべながら

忌々しそうに答えた。


『今までは実力を買われて好き勝手してたみたいだけど、魔法学校の生徒ごときにやられるようじゃもう用無しよね?』

「ま、待ってくれ!相手は悪魔化・・・いや、悪魔だった!」

『は!言い訳するっての?お前の存在価値は魔法の妙手であること、そして研究者であることよ』


後者はいくらでも替えが利くのよね。と女性は冷ややかに答える。


『残るは魔法の妙手であること、だけどそれも敗れたことでその価値も消えた!』


女性は先ほどの情けない表情を消して残酷な笑みを浮かべる。

ストックが尽きそうなので今日から一話ずつ更新します

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