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強敵!魔法使い!

放った雷撃はその都度左右にそらされて的を外していた。


「な、なんで当たんないの!?」

「雷の魔法は存外制御しやすいのさ、通り道を作ってやればいくら強力な魔力でもこうやって逸らすことは容易い」



ルナは男の言葉を受けて杖の先に目を凝らした。

するとわかったのはティナが雷撃を放つその都度に杖の先に魔力を集めて雷の魔力を操作し、的を外れる様に誘導しているのだ。


「その弱点を最小限にする方法がこれだ」


男はそう言ってティナに杖を向けた。


「危ない!」


魔力が杖の先端に集まった刹那にルナは声をあげた。

テイロスが即座に妨害に走ったが間に合わなかった。


「ぎゃぴっ!」


ティナの頭上に雷が落ちた。


「こうすれば左右に逸らされることも無い」


体に電気を走らせながら立ち尽くしていたティナは数回目を瞬かせるとそのままばったりと倒れてしまった。


「黒焦げになると思ったが随分と適性があるようだ」

「この野郎!」


テイロスが拳を振り上げたが振りぬいた拳を雷の魔法を利用した防御で弾き返され、たたらを踏んだ。


「魔法で相手取るのは難しいが、それも・・・おっと」


男とテイロスの間に割って入るように火球が飛んだ。


「このっ!」

「っ、馬鹿げた魔力量。これをさばくのは難しいが!」


続け様に飛びくる火球に杖を振るとまるで刃のように形作られた風が火球を切り裂いてその場で消滅させてしまう。


「燃焼させて飛距離を削ればいい」

「おおおっ!」


テイロスが肉薄して攻撃を仕掛けるが男はその都度後ろに下がって回避するとテイロスに火球を浴びせる。


「そんな火が効くか!」

「ならこうしよう」


さすがはドワーフというべきか、それとも五体に流れる別の血か。火球を受けてなお火傷一つない

頑健な体に男はまるで当然の選択肢があるように木々に魔法で切れ込みを入れた。


「なにを・・・ぐっ!」

「一本なら耐えるか、なら二本目を用意しよう」

「うぐっ!ぐっ!」


倒れてきた木をテイロスは避けようとしたがその進路上にティナが居る事に気付いて足を止めた。

それを見て男は二本目の木を倒してテイロスに差し向ける。


「う、ぐぐ・・・」

「立木を二本、これだけで大したものだ」

「やめて!」


ルナが火球を飛ばすと男は飛びのいたがそれをあざ笑うように礫を飛ばしてテイロスを攻撃し始めた。


「踏ん張れよ、倒れると友達も一緒に潰れるぞ」

「ぐ、うっ!・・・くそっ・・・卑怯なヤツだ」


男が嫌な笑みを向ける中、不意に地面が沈み込んで男は片膝をついた。

地面からひょこっと杖と手が伸びている。男はそれを見やるとそちらに杖を向ける。


「捉えた!ルナさん!」


地面の中からダズが飛び出し、杖を向ける。ルナもそれを見て杖を構え火球を飛ばした。

双方からの攻撃を受けた男はピンチを迎えたかと思ったが・・・


「土の魔法、知っているか?一度加工すると操作しやすくなる」


男はダズの下の地面を隆起させてダズをまるでパチンコ玉のように吹っ飛ばした。


「わ、まず・・・」


その先にはルナが放った火球が飛んできており


「ッ!」

「うっ」


咄嗟にルナは火球を操作したがダズの体を大きく掠め、彼の服は火に包まれる。


「ダズ君!」

「あっちちち!ルナさん!僕よりそっちに注意し・・・あっちー!」


ダズは地面を転がりながら器用に土を操作して頭から突っ込み、火を消そうとしてたが

それに気を取られたルナは男が至近距離に近づいているのに気付かなかった。


「あっ・・・」

「これで終いだ」


杖から放たれた雷の魔法がルナの心臓を打った。

適性が無い魔法のはずが、なんという威力だろうか。


息が詰まる、足から力が抜けて膝をついた。朦朧とする意識の中で視線を動かすとテイロスは

脂汗を流しながら必死に木を支えている。しかし立派に育った木を二本も倒さず支え続けるのは

いかに怪力のドワーフと言えど無理があるだろう。


「さて、瀕死の魔法使いの卵が1、2、3・・・これだけあれば実験には困らん」


魔法使いが何故山賊に従っているのかはわからない。だが奴が道を外れた悪党であることはわかった。

そしてこのままでは自分も、そして仲間も皆不幸になることだけがわかっていた。


「あー・・・」

「まだ息がある、やはりとびぬけた魔力がそうさせるのか?」


倒さなければ、目の前の男を。


倒さなければ、皆を助けなければ・・・


たおさなければ・・・このおとこを・・・


でなければ・・・じぶんは・・・


じぶんは・・・



ぷつりと、何かが外れる音がした。



「む?」


男は不意に、そして猛烈に嫌な感じがした。これは魔力の察知能力のなせる業か。


「Aaaaaa・・・」


顔を上げて天を仰ぎ、声を上げる目の前の少女。心臓を打ち抜き、おそらくは停止しているであろう

威力を籠めたはずが目の前の・・・少女・・・?は恐ろしい声を上げて


「AaaaaaaGH!」


その双眸からさらに六つの目を開眼した。


「悪魔化?!」


夕暮れの闇よりも深い闇を伴って、男の前にいる少女は変質した。

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