VS山賊! 夕暮れの戦い!
Fクラスの皆が杖を構えると前方には五人ほどの山賊が立っている。
全員が弓と投石器を持っており、こちらを睨んでいる。
「二度目は慈悲無し!やってやんよ!」
ティナは杖を構えると雷撃を放った。雷の魔法の威力は何と言ってもその速度だ。
範囲は見た目に反して点といって差し支えないが当たった個所から放射状に魔法が飛び散る事もある。
「ぎゃっ!」
激しい電撃の光が直撃した山賊が硬直して飛び上がるとがたがた震えながら当たった個所を押さえて
のたうちまわっている。
「あちちち!」
「こ、このガキ!」
山賊は礫を投げつけるが矢避けの魔法によりそれは逸れてあらぬ方向へ。当たらないと分かった
山賊たちは鉈や剣を抜いてこちらに近づいてくる。
「水よ!敵を打て!」
「わっぷ!ごぼぼ!」
マリーが杖を翳して魔法を行使すると水が球体になって飛んでいき、山賊の顔面を撃った。
水なのでぶつかった衝撃はもちろん、口や目に入って山賊は目を白黒させている。
「火よ!」
ルナも杖を振る、すると球体になった火がまるでボールのように飛んでいく。
「うおっ、これはシャレにならん!」
火の直撃は危ないと山賊はさっと身を翻したが
「そこ!」
「
火球から突然バンッ!と音がして山賊は光と音に驚いた。
「なんッ?!あっちぃ!」
「あちちちち!!」
火球が山賊に近づいた頃合でルナが杖で指し示すと火球が爆ぜて火の粉が散ったのだ。
火の魔法は魔力という燃料に火をつけて飛ばす事に等しい、
ルナは魔力を操作して燃焼速度を上げたのである。
火を浴びた山賊たちは服が燃えては堪らないと地面を転がりながら悶えている。
「ど、どうだ!私達だって!」
ティナが若干声を震わせつつも自分を鼓舞するように叫んだ。
恐怖が無いわけでは無かったが距離を取って戦える利点が幾分かそれをカバーしていた。
「くそ!これが魔法使いって奴か!」
「こうなったら先生をよべ!」
「先生!お願いします!」
山賊たちは口口にそう言うとすたこらと逃げていった。Fクラスのメンバーは山賊に身体強化を
かけていたであろう魔法使いの存在に身構える。
「呼ばれたからには、仕事をせねばな」
空間から滲み出るように現れたのはローブを目深く被った男性。杖を手に周囲を伺っている。
ルナとカティナはその鋭い感覚から相手が手練れであると判断し、さらに警戒を強める。
「ふぅむ、脅威は雷と巨人族・・・もう一人、随分と物騒なのが」
顔を動かしていない所を見ると魔力を感知して索敵しているらしい。
(見られてる・・・肌の感覚でわかるものなんだ・・・)
ルナは恐らく自分の事を言っているらしい物騒というワードにムッとしつつも
魔力を探るセンサーのような視線が自分を一番長く見つめていることに気付いていた。
「まずは小手調べだ」
杖を振ると火球が数個浮かび、皆にめがけて放射状に飛んでいく。
「わっと、危ない危ない」
「風よ!」
ダズが至近距離でルナがやったように火球が爆ぜたので驚いたが土を隆起させて火の粉が散るのを防いだ。
その隣ではカティナが同様に風で壁を作って火の粉の進行方向を操作して凌いでいる。
「じめじめー」
「べ、便利だね」
クロエは水の魔法を出したマリーに便乗して霧を発生させ、火の粉を浴びてもノーダメージだった。
「ユニークな魔法を使う者がいるな、だが戦いには向かない」
魔法使いはクロエの魔法を少し興味深そうに見ていたが即座に杖を振ると
礫を飛ばしてマリーとクロエを攻撃する。
「うげっ!」
「きゃっ!?」
二人の防御をあっさりと突破し、礫が二人を襲った。マリーは良かったが油断していたクロエは
頭にモロに当たって昏倒してしまった。
「クロエちゃん!」
「そこ」
次に礫を作った男はカティナに照準を合わせる。
「風よ!」
放たれた礫を風で壁を作り、軌道を逸らして直撃を避けるカティナ。しかしそれを見た魔法使いは
溜息をついて再び杖を向けた。
「風はこう使う」
杖を指し示すと一点に集められた風がまるで砲弾のように集まってカティナに直撃した。
「ぐ・・・はっ!」
「この魔法なら押し返しと反撃が同時にできた」
腹部にモロに喰らったカティナは蹲って青い顔をしている。気絶こそしていないが
ダメージは深刻で動けないようだ。
「さて、一人の姿が見えないが・・・まあ、いい」
クロエとカティナが行動不能になり、マリーはクロエを庇うようにしているので
実質動けるのはルナとティナ、テイロスとダズだけになってしまった。
「よくもクロエとカティナちゃんに!」
ティナが杖を突き出すと閃光が走った。しかしそれを魔法使いは杖を左右に指し示すだけで
逸らしてしまった。
「あ、あれっ!なんで・・・!」
「雷の魔法は早いが容易く逸れる。とくにそのような魔力の放出だけでは」
「まだまだ!」
二発、三発と雷撃を繰り出すティナだったが・・・。




