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山賊を振り切れ!

「まずワシが出て、ギガースが最後に出ろ」

「穴はどうします?」

「ギガースが出た後に塞げ、ダメならギガースに引っ張り出してもらいながら塞げ」


指示をある程度伝えるとアダムはダズに合図をする。

そして蓋にずらして隙間を作るとアダムはまず開き切る前に飛び出して周囲を探る。


「よし、いいぞ」


アダムの声を聞いて三人はぞろぞろと穴を出た。アダムを先頭に時折身を隠しながら進んでいくと

自分達を探している山賊たちの姿が。


「いたぞ、奴らだ」


アダムがそう言うと三人は茂みに身を隠しながらアダムの言葉に耳を傾ける。

ダズが言っていた通りに汚れた服装の男が数人、武器を携えて歩いている。


『おい、そろそろ戻った方がいいんじゃないか?』

『大丈夫だ』

『だがあそこの隊長は化け物だろ』


アダムは山賊の言葉を聞きながらなんとも皮肉なものだと思う。旅人にとって何時降りかかる

災いになるともわからないあの悪党は山賊達にとっても脅威だったのだ。


『あの化け物は死んだって聞いたぜ』

『死んだ?あの化け物がか?』


話を聞いている山賊は驚いた様子だ。悪党であるあの隊長はまだ歳もそこまで

取ってなかったし、病気には見えないだろう。さらに言うなら自分達を散々に苦しめてきた人間が

そうそう負けるとも思えないのも当然である。


『確かなのか?』

『あぁ、昨日の夜、砦で大騒ぎがあったのを街に潜り込んだ仲間が聞いてんだよ』

『砦でか、でもそれだけじゃ・・・』

『まぁ聞けって、そんでよ。砦の中にとんでもないのが居たんだ』


アダムは猛烈に嫌な予感がした。


『とんでもないのって?』

『悪魔だよ、尼さんが退治してたから間違いない』

『悪魔?!なんで?』

『奴の強さの理由さ、悪魔と契約してやがったんだ』

『畜生そんなインチキを・・・それじゃ死んだってのは』

『代償を支払ったのさ』


そう言うと山賊の一人は大声で笑う。


『ガハハ!俺たちにも神様は微笑むらしいな!』

『平静を装っちゃいるが砦は大変な騒ぎだろうぜ』


今が稼ぎ時ってやつだ。と山賊は言う。


「不味いな、街に入り込んでる奴がいたとは」


アダムも、恐らくエトナーもまさか街の中に山賊の関係者が

いるとは思っていなかった。


「先生、どうする?」

「計画は変わらん、だが砦に伝えて見回りを強化してもらうしかあるまい」


アダムは山賊を残らず始末することも考えたが生徒の手前である。あまり

手荒なことはしたくない。悪党であっても子供の前で人の死を軽々にみせるべきではない

と考えていた。


「遠ざかっていくな・・・町の近くまで行くらしい」


山賊たちはどこか浮かれた様子でアダム達を探して町までの道を歩いていく。


「先生、やっつけた方がいいんじゃない?」

「危険だからダメだ」

「何故です?」


ティナの言葉に即答したアダムにダズが疑問を示した。

彼も無力化して引き渡した方がいいと考えているのだろう。しかしアダムは違った。


「あれが全員とは限らん。それに弓使いがあそこにいない。下手をすると挟み撃ちに遭うぞ」


そう言われてティナは顔を出して山賊たちのほうを

こっそりと見た。確かにいない。全員が古びた剣や槍を持っている中

誰も飛び道具を持っていないのである。


「ホントだ・・・どこにいったんだろ・・・?」


ティナが不思議そうに茂みから出した顔を町方面から山の

頂上方面へと動かした時である。


「みつけた」

「うっ・・・なんでいるの」


追い掛けてきたらしい弓使いが立っていた。


「・・・」

「させん!」

「ッ!」


合図に使うだろう笛を構えたところでアダムが礫を飛ばした。

手を打った衝撃で笛は地面に落ち、拾おうとした手を狙い撃って

複数の礫を飛ばすと弓使いは弓を構えた。


「なんとも運のない・・・」

「ツキはこちらにある」


アダムは短刀を構えて弓使いと相対する。


「ユピトール、お前たちは町を目指せ、できるだけ戦闘は避けろ」

「せ、先生は・・・?」

「コイツを倒したらすぐに向かう・・・行けっ!」


指示を飛ばすと三人は町に向かって走り出した。弓使いはそれを見て

矢を射かけたがアダムはそれを叩き落し、そのまま拾った礫を飛ばす。


「ちっ・・・、すばしこい・・・」

「使い手としては中々だが・・・道具の手入れを怠ったか?」


アダムは弓が劣化しているのか威力の弱い矢に警戒を緩めずも少し安堵した。


(もう射程距離ではあるまい、では手早く片付けるか)


矢を番え、そしてこちらに照準を合わせる弓使いの一撃を待ちつつアダム

はじりじりと距離を詰める。


「・・・っ!」

「くっ!」


息を吸い込んで一息に駆け抜けると矢を体を捻って躱し、一気に間合いまで詰め寄る。


「・・・」


その際に弓使いが一瞬だけ微笑んだのを見てアダムは斬り掛かるふりをして手甲を

忍ばせた手でガードしつつ短刀を投げた。


「!・・・ぐうっ!」


弓使いが放ったのは袖に仕込んだ暗器だった。尖った棒が矢のように撃ちだされて

アダムを襲ったが手甲に阻まれて落ちた。そして投げ込んだ短刀は逆に

深々と弓使いの腹に刺さり、行動の自由を奪った。


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