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安全っていったじゃないですかやだー!

ギガースはティナたちを庇っているからかこちらに近づく速度は遅い。


(となるとこちらで逃げる算段をつくってやらんとな・・・)


アダムは取り出した小さな玉を投げるとそれを火の魔法で撃ち抜いた。


「?!」

「今だ!走るぞ!」


火があたると小さな玉は小さな爆発とともに煙をまき散らした。

もうもうと立ち込めた煙が視界を遮るとアダムの掛け声で三人は慌てて走り出した。


「走れ走れ!」

「うひー!」

「なんでこんなことに!」


逃げ出したアダム達を追いかける足音が続々と響いている。


「先生!一か八かやってみていいですか!」

「アッテンボロー!何をする気だ?」

「僕が合図したらあの目眩しを!」


ダズが杖を取り出してアダムの隣に並んだ。


「えい!土の精霊よ!」


アダムは再び煙玉を取り出し、地面に叩きつけた。


『煙幕だ!』

『くっそぉ!』


追いかける声が叫ぶのを聞きながらダズの方を見ると前方に穴が。


「こっち!早く!」


ダズが飛び込んだのを見てアダムが続き、テイロスがティナを抱えて飛び込んだ。


「閉じろっ」


全員が飛び込んだのを確認してダズが再び杖を振ると穴が塞がり、その上を土が覆った。そして足音がドスドスと響くと


「よいしょ」


それが通り過ぎたのを見計らってダズは器用に空気穴に使う筒をさし、懐から蛇腹に動く潜望鏡を取り出した。


「潜望鏡か」

「亀裂の先がどうなってるか見るのに最適ですよ」


キコキコと音を鳴らして伸びていく潜望鏡を動かしながら

ダズは周囲をチェックして行く。


「どうだ?」

「誰かしりませんが何人かが走って行きました」

「ワシらを追いかけて来たやつだな、服装などに特徴は?」

「うーん・・・汚いくらいです」

「十中八九山賊の類だな。弓使いが厄介だが・・・ガイドも逃げたしワシらも早いとこ逃げるべきだろう」


アダムはダズに周囲を警戒するように言い、テイロスとティナに戦闘になった際の注意点を伝える。


「ユピトール、お前はできる限り魔法を使うな。山でお前の属性はヤバい」

「ヤバい?」

「雷の魔力は普段空に漂っているが一度刺激を受ければ活発になって一カ所に集まる。そして臨界点に達するとあるところに向かって一直線に落ちてくる」

「落ちてくるってどこに・・・?」

「普段は地面だが魔力の発生源であるお前だ」


雷の魔力はとても特殊であり、クロエの霧の魔力と同様にとても珍しい。

空に漂っている雷の属性を帯びた魔力は雲などで雷を生み出しながら同族を集め続け

一定の量が集まると地面や同種の魔力に向かって合流する性質がある。

これはまだこの世界では解明されていないが地面に落ちる際は地磁気などが関係している。


「お前は同種の魔力を浴びてもどうってことないが、おそらく魔力をたくさん取り込むことになるから魔力中毒をおこして吐く」

「おえー!」

「そして漏れた雷の魔力をモロにくらったワシらは黒焦げになる」

「うえーーー!」


最初はふざけたリアクションをしていたティナだったが想像以上にヤバかったので

真面目に青くなった。


「魔法は自然の力を魔力で再現することが多いが雷は特定の条件下ではあらゆる魔法よりも強力だ」

「うー、こわっ」

「だからこそきっちりと訓練するんだぞ」

「はぁい」


といいつつティナはふと考えた。今なら別に大丈夫なんじゃないか?と


「じゃあ今、私が手だけ出して空に向けて撃ったらどうなるんです?」

「地面を伝って分散するだろうが・・・おいちょっとまて」


ずいっ、と顔を近づけてアダムはティナに詰め寄る。


「試すなよ?山賊だって人なんだぞ、威力がありすぎるんだ」

「うっ、いや、人に当てるのは考えてなかったけど・・・どうなるかは気になるから・・・」

「馬鹿モン、雷の速度は風や音より早いんだぞ。誰かが範囲内に居たら落ちた瞬間黒焦げだ」

「うぅー・・・ごめんなさい」


気を取り直してアダムは周囲の索敵を終えたダズを交えて段取りを話し始める。


「町までは一本道だ、普通に帰ると恐らく途中で引き返してきた奴らと出くわすだろう。できれば戦闘は避けたいが無理だとなれば今度はこちらから仕掛ける」

「どうやるんですか?開けた場所が多かった気が・・・」

「ところどころで茂みや木々が立っている場所がある。そこを利用して相手を欺くんだ」


山道はほぼ一本道、しかしところどころで木々が茂っている場所もある。

アダムはそこを利用して相手をやり過ごすか仕掛けるかを狙っているらしい。


「テイロス君が隠れる場所ってあるんですか?」

「意外と隠れられる。そもそも相手はこちらが逃げたと思っているから見つからんもんだぞ」


思い込みは怖い。とアダムは言い、ダズに蓋をどけるように言った。


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