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採取へ!

「この道具はどうやってメンテナンスしてるんだ?」

「このスコップは石でできているんです、金属だとどうしても魔力を通してしまうからこの石でやってますよ」

「金属みたいだ・・・」


おさらく素材の事を聞かれるのもよくある事なんだろう。もしくはガイドのこだわりか。

素材に使われている石のサンプルを取り出して説明している。


「これはミスリルのヤスリで削らないといけないくらい硬いんです」

「なるほど・・・鍵のかかった箱で保管するのも頷ける」


道具に対する熱意はドワ―フならではだ。ガイドはテイロスがドワーフだとは思っていなかったが

職人気質なところを感じ取ったのかこちらも上機嫌である。


「よし、それじゃあ出発しよう」

「「「おー!」」」


ガイドから道具を借り、採取班はガイドの好意で行き道で食べる弁当まで貰って出発した。


「魔力草の採取地は林業で使っていた広場があったところです」

「あったところと言いますと、放棄されたのですか?」

「そうです、国境問題が終わってからも治安は悪くなったままで・・・私が子供の頃にようやくその場所まで安全が確保されたのです」


国境問題の後、隣国から流れてきた無法者や政治犯などが樵達を追い出して居座っていたが

やがて隣国の政情が落ち着き、こちらの国の兵士が治安回復に本腰を入れ始めた頃

から徐々に数を減らし、今は山賊を生業にする悪党のみが残っている。


「その際にですが偶然にも林業で使っていた広場が朽ちて、そこから広がった自然があそこに魔力草を茂らせたんです」

「なるほど、ですがそれでは安全とは言いがたいのでは?」


魔力草は収入になる。というのも魔力草を乾燥させて粉末にし、お湯や蜜に入れて溶かしたり固めたりすれば

それがマナポーションに近い効果を持つのである。

魔法使いだけでなく精神や体力に不調をきたした体にもある程度効果がある。

そして魔力草を薬草と調合して精製し効果を高めたものがマナポーションである。


「大丈夫です、それに関しては砦から定期的に兵士が出て来て見回りをしてくれていますから」


それを聞いてアダムは少し苦い顔をした。その兵士を統率する隊長は既に

役に立たない状況になっている。もしも緊急事態が起こったらまともに対応できるかは怪しい。

引率する身分としてはそう言った事態にはできる限り出会いたくない。


「そうですか・・・」

「もうじき見えてきますよ」


町からはそう遠く無い事だけが幸いか。三十分も歩いていない気がする。


「・・・」


魔力草が生えているらしい場所が見えてきた。苔むした小屋の成れの果て、

広場があっただろう場所は朽ちた木とそれに生える苔で緑がかっている。


「ありました、ちょうどつぼみをつけていますね」


魔力草は花を咲かせる。それから実をつけたら種を採取して別の場所に植えると

魔力が十分あればそこでも育てることができる。

効能を高めるならばその分だけ多くの魔力が必要だが育てるだけなら魔力草は

水と一緒に魔法使いが手を翳して魔力を与えるだけでもいい。

もしくは植木鉢などの下に魔力鉱石や魔石を置くことだ。


「へえこれが・・・」

「実物を見るのは初めてだね」


学生の三人は好奇心のまま自生している魔力草を見ている。

アダムはそれを見ていたが、不意に何かが軋む音を聞いた。


(弓の弦?)


目を凝らすと奥に弓を構える何者かの姿が。


「伏せろ!」


アダムが叫ぶと意外にも一番に反応したのはテイロスだった。ティナとダズを引き寄せて

覆いかぶさった。


「・・・むっ!」


飛んできた矢は魔力草を見ていて、ちょうど背中を向けていた三人に向けて放たれた。

しかしテイロスはリュックを背負っていたため矢はそこに命中した。


「誰だ!」


テイロスはリュックを降ろして手に持ち、盾にしながら叫ぶ。

大柄な男が叫ぶと威圧感があり威嚇するには十分だ。


「ちっ」


弓を構えていた人物は舌打ちをすると笛を吹いた。


「安全じゃなかったのか?」

「そのはずだったんですが・・・」


アダムが溜息をつきながら手に短いナイフを忍ばせる。


「ギガース、二人を守りながら下がれ。囲まれる前に逃げるぞ」

「わかった」


リュックを盾にして飛び道具を警戒しながらテイロスはティナとダズを庇いながら

じりじりと下がっていく。

対する謎の人物は二発目の矢をつがえる。


「ヤバいかな?ヤバいよね!?」

「焦るな、ユピトール!あの大きさの弓なら急所に当たらなければ死にはせん」


アダムは生徒と襲撃者との間に割って入りたかったが彼の耳は既に

集まる足音を聞いている。このまま前に出ると生徒ごと囲まれてしまうかもしれない。


「とにかくあの弓をなんとかせんとな・・・」


そう思いつつふと、隣をみると先ほどまで居たはずのガイドの姿が忽然と

きえていたのである。


「逃げ足の速いことだ。まあいい、それならそれでこちらもやり様はある」


アダムは懐に手を入れると小さな玉を取り出した。

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