魔力草の採取その2
ルナを揺り起こし、寝ぼけ眼のルナにお茶を渡して目を覚まさせることに。
「はーいルナちゃん、お茶だよー」
「ふぁーい」
上半身を支えつつお茶を手渡すとルナは目をほぼ閉じた状態で受け取るとちびちび飲み始める。
教会の落ち着いた雰囲気が合わさるとまるで病人の介護のような風景である。
「渋・・・」
「最後らへんだからしょうがないよ」
きゅーっとした顔をしたがその分目も覚めたようだ。
「あれ、エトナーさんは?」
「後始末があるとかで砦に」
「そうですか、たしかに隊長さんが不在だと大変だししょうがないですね」
ルナの言葉に何かしらが昨日起こったんだろうと思いつつ、カティナはルナが
着替えて出掛ける支度を済ませるのをまった。
「それで、ルナちゃんは先生たちとどうしてここに?」
「実は魔力草の採取に来たんですよ、校長先生がそれを単位にしてあげるって」
「ほんとに?何日も授業に出れてないから助かる」
荷物を背負い、ルナの後ろについて歩きながら教会を出る。そしてぴたりとルナは足を止めた。
「どうしたの?」
「・・・皆がどこに泊まってるか知らない」
「えっ」
二人は見知らぬ町で迷子になった。どちらも連れられて此処に来たのである。
土地勘なんぞあろうはずもない。
「どうしよう・・・お財布にお金は・・・ん?」
ルナは手持ちの貴重品である財布を取り出すとその財布に巧妙に魔法の記述があることに
気付いた。
「どうしたの?」
「なんか財布にいつの間にか魔法の記述が・・・」
「重量軽減・・・?こんな小さな財布に・・・?」
「よくみたらぎちぎちになってる・・・」
なんの変哲もない革製の袋だったのだがいつのまにかパンパンに膨らんでいる。
「中身覗くの怖いんだけど・・・」
「自分の財布でしょ?」
「絶対こんなに入ってなかった、もう一回言うけど絶対こんなに入ってなかった」
二人は恐る恐る口を縛っている紐を解いて中身を見ると・・・
「金ッ!」
「怖いッ!」
得体のしれない金銭に二人は恐怖した。
「な、なんでこんな入ってるの?」
「取り出すまでわかんなかった!ど、どどどどどうして?」
金貨でギチギチになっていたルナの簡素な財布。二人は見ないふりをして鞄に収めた。
「どうしよう・・・」
「お金があればと思ったけど別の問題が増えちゃった・・・」
二人は教会の前で呆然とするしかなかった。皆のところに行く術もない。
「金貨でお買い物ってできるのかな・・・」
「わかんない・・・絶対嫌がられるよね」
金貨で安価なものを買ったりすると嫌がられる。というのもそんなことをしたらお釣りに
使うお金が無くなってしまうからだ。大きな商店なら大丈夫かもしれないが
今度は大量の小銭を抱える羽目になるのでそちらで考えてもよろしくない。
「使えないよぅ・・・危ないだけ・・・」
「今襲うと女の子二人に金貨の詰まった袋がついてくる!・・・襲われるわこんなの」
「ルナちゃんたち帰ってこないね・・・」
「ホントだね・・・」
一方宿で一夜を明かしたFクラスメンバーは帰ってこないルナを心配していたが
まさかアダムが二人に宿の場所を教え忘れたとは思うまい。
「そういや教会の人に話をしに行くって言ってたよね」
「・・・そうだったっけ?」
「え、皆聞いてない?」
ティナが言うと皆はそれぞれ曖昧な返事をした。結論から言うと覚えてないのだ。
「でも迷い人は教会に行くって話もあるし」
「そんな話聞いたことないぞ」
「うん?そうだったっけ?」
あれー?とティナが言うと話は脱線していく。そしてついにルナ達がどこにいるのか
という話になったが肝心のアダムが昨日の疲れでまだ寝ているので起きてくるまで
結論が出ることはなかった。
「あ”ーすまん、寝すぎた」
「先生遅い!」
「昨日の夜の寒さが堪えた」
屋根に上って移動したのでアダムは冷たい風に晒されて帰ってきたのだ。
そして寝る前に体を温めようと飲んだ酒の度数が強くて寝過ごした。
「ルナちゃんたちがまだ帰ってこないんです!」
「なんだと!?・・・ん、いや、まてよ」
一瞬ギョッとしたアダムだったがそう言えば二人に行先を告げなかったことを思い出して・・・
「それなら教会にいるだろう、迎えにいくぞ!」
知らん顔をしながら全員を集めて教会へ行くことにした。
「おーい、二人ともー」
Fクラスが移動を開始してからも黄昏ていた二人に聞き覚えのある声が。
「ディーン先生!」
「移動してなくてよかった。宿の場所を教えておけばよかったな」
「先生ってばうっかりしてるね」
「やかましい」
Fクラスはこれでほぼ全員が集まり、後は病欠の一人が合流すれば
事情があってクラスに来ていない生徒はいなくなるはずだ。




