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悪魔の末路をみよ

悪魔は現実を直視することが精一杯だった。目の前には自分に代償の支払いを求める

超越者が二人。


『あ、え、その・・・』

「どうした?どっちも一緒だろ?」

『う、うお・・・』


悪魔は汗を流していたが、やがてぎょろりと目を動かすと耳まで裂けた口を歪めて

笑みを浮かべた。


『ころ、コロコロコロロコロコロコロォォッォォォォッォス!!!!』

「壊れやがった、こりゃ再起も無理だな」


雄たけびを上げて飛び掛かってきた悪魔。両手を広げてルナに飛び掛かったが・・・。


「ひひっ」

『あっ』


両手をあっさりと腕二本で止められ、そのままがっちりと掴まれると・・・。


「はい、ワンツー、ワンツー」

『おごっ、あがっ、うげげっ!』


残った六本の腕で左右交互に殴られる。左の三発、右の三発。それを交互にである。

腕を掴まれているために逃れる事もできず、ひたすらに殴られ続ける。


「ねえ、ねえ、ねえ!私を売り飛ばそうとした悪魔ってあなたでしょ?」

『が、ぐ、ご、げっ、あがっ、うぐっ、ぐむっ』

「なんでか知らないけど、知ってるの!あの倉庫に居た蜘蛛さんと蝙蝠さんが教えてくれたのかな?」


手を止めることなく殴り続けると悪魔の顔は次第に原型を留めなくなってきた。

ボコボコを通り越してベコベコになり始めたのを見てエトナ―が待ったをかける。


「そこらへんにしとけ、でないとコイツはまた復活するから」

「そうなんです?」

「契約書がこれで最後とは思えねえからな」

「むぅ、つまらないなぁ」


ルナが手を離すと悪魔は地面に倒れた。痙攣しているところを見ると見た目通りの

ダメージを受けているらしい。


「さて、それじゃあ契約書の制約をぶっちぎってお前を地獄行きにする」

『が・・・、だ、だずげでぐれ・・・』

「この空間に私達を呼んで神様と切り離したのはお前だろうに。慈悲は売り切れだよ」


エトナ―は両手を合わせて目を閉じるとぶつぶつと何やら呪文ともつかない言葉を唱え始める。


「それじゃ、地獄の果てまで行って来いや」


喝ッ!と声を上げ、目を見開く。すると悪魔の足元から無数の鎖が伸びてぐるぐると巻き付いていく。


『な、これはなんだ・・・?』

「その鎖がお前を地獄へ連れてってくれるよ、じゃあな」

『お、おれは悪魔なんだ、死ぬはずがない!死ぬはずが・・・!』

「だからさ、お前はこれから地獄で面倒みてもらう。何万年かかるか知らんが罪を償ってこい」


悪魔はその言葉に悶えながら抵抗したがやがてその鎖に

引きずられるようにして地面の中へと消えていった。


「さて、これでこの空間ももとにもどるかな・・・ほい、戻っていいぞ」


エトナ―は首飾りをルナに掛けてあげる。そうすると体が縮み始め、やがて元の姿へと戻った。


「おお、戻りました・・・!」

「不思議な感じだと思うけど慣れていくしかない。あと変身も自分で出来るようにな」

「わかりました」


ルナは服装を整えてエトナ―の言葉に頷いた。実際自力での変化ができなかったのには

理由がある。それはルナが変化の際に自分の真名を頭の中で思い浮かべなかったことである。

通り名は口に出すとき、または署名する時に真名を隠すためのものであるので真名が必要な場面では

もちろんだが役に立たないのである。


「それじゃあ後はそこの・・・ありゃ?」


エトナーが部屋の隅で倒れていたキリルを見つけ、

襟首を掴んで引き起こしたが・・・


「こりゃだめだな、魂をほとんど持ってかれてる」


虚ろな瞳でぼんやりと遠くを見ている。エトナーは

ため息をつくとキリルを椅子に座らせて部屋が元に

戻るのを待つことに。


「ご無事ですか!」


兵士がドアをこじ開けるのは部屋が完全に元に戻って

すぐの事だった。そして兵士達は隊長のキリルが

おかしな状態になっているのを見てエトナーに説明を

求めた。


「聖人様、これは一体?」

「悪魔の仕業だ、お前さんのとこの隊長は悪魔に操られていたようだぞ」


エトナーがぺしぺしとキリルの頭を叩いたが彼はもう

なんの反応も見せなかった。

魂とは人の生命と精神の全ての根幹である。如何に手を尽くそうと

彼はじきに衰弱死するだろう。精神が弱っても、

生命が弱っても人はやがて死に至るが魂がなければ

人は同時にその源を失う。


「そんな、隊長が悪魔と?」

「契約書があってな、証拠もある」


エトナーが契約書を見せると兵士達は動揺した。

それは組織のトップが悪魔の傀儡になっていた事を

嘆く者と、キリルと共に悪事を働いていた悪党とで

その内容は異なっていたが。


「ま、それに関する調査もじきに始まるさ。私達の仕事は終わったからもう帰るぜ」


んじゃな、とエトナーは手を振りながら出ていく。ルナもそれに従って砦を後にした。


「エトナーさん、いいんですか?帰っちゃって」

「構わんよ、どうせあの砦にはおっかない異端審問官がやってくる。多少誤魔化したところで人身売買や悪魔と契約した人間と悪事に手を染めてた事は誤魔化しきれるもんじゃない」

「それじゃ捕まった人達は?」

「・・・そうだった!」


二人は慌ててエルフ達の捕まっている独房へと戻った。

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