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暖まってから考えよう

火が炭に伝わっていく。そしてその熱を纏った煙が煙突の部分を登っていくと金属の部分がまるで焼けたかのように発光して熱を放ち始める。


「煙ってこんなに出るものなんですか?」

「実際に登ってるのは煙だけじゃなくて火の精霊もだ。魔力の刺激を受けてあちこち動き回ってるのさ」


火の精霊は暴れん坊の性質があると人は言う。燃えるものから燃えるものに、反応するものから反応するものへ。

熱を伴って光りながらあちこちに移動する中、精霊たちは自身の力で反応するものに吸い寄せられていく。


「精霊は魔力を得ると活性化してあちこちに移動するんだが、それをあの煙突に貼り付けられた金属が受け止めて熱に変える」


その仕組みのおかげで此処で焚いた火の熱が建物中に広がるんだ。とエトナーは言う。


「火打ち石で一から火起こしすると精霊がやって来るのに時間がかかるんだ。だからこそ炭が早めに燃え尽きるデメリットよりこっちの方がメリットは大きいんだ」


ルナがエトナーの説明を聞きながら囲炉裏の火を見ると火からポコポコと小さなトカゲのような光が産まれては煙突を登っていくのが見える。


「火の精霊・・・」

「見えるのか?・・・そうだった、悪魔だったんだな」


一瞬不思議驚いたエトナーだったがルナが悪魔である事を思い出してまた囲炉裏で手を温め始めた。

悪魔が魔力を視認して内容を理解するのは特別で、一部の動物が紫外線を認識するのと同じような感覚である。

魔法使いもその気になれば魔力の残滓を感知したりはできるが内容までは道具等が必要になる。

その例外とも言うべき人物が目の前にいるのだが。


「サラマンデルを目視できると火の見方が変わるだろ?」

「・・・不思議です火が生き物みたいに」

「神代が終わって神様が天に帰った時から代わって精霊がこの世界の一部として残ったのさ」

「そうなんですか?まるでおとぎ話みたい・・・」


ふと、ルナは大事な事を忘れている気がして頬に手を当てて考えると・・・。


「あっ!そうだった、アダム先生たちに連絡しないと・・・!」

「何を?」

「危なくなったらすぐに引き返す準備をしないといけないから・・・」


思い出したように立ち上がったルナを制してエトナ―は言う。


「それなら慌てなくていい、アダムは仕事が早いからな」

「エトナ―!いるか!スマンがこの子を預かってくれ!」

「ほらな?・・・まあ、座れって」


エトナ―はにっかりと笑うと寒空の下を走ってきた二人に火にあたるように促した。


「寒かったろう、難儀なことだ」

「ぜーっ、ひーっ・・・ふぅ」

「やあ、森のお嬢ちゃん。息災だったか?」


入ってきたのはアダムとカティナだった。砦を抜けてここまで人目を避けて走ってきたらしい。

カティナは荷物を背負っているのもあって息も絶え絶えだが腰を下ろしたところでエトナ―に気付き仰天した。


「えっ!」

「外は刺激的だろ?」


カティナの呆れた顔をよそにエトナ―はからからと笑う。


「そんで、アダム。やっぱりあの砦は黒か?」

「ああ、この子が証拠だ。向こうにはまだ何人も捕まってる」


カティナの頭をぽんぽんと叩くとアダムは大きく息をついた。


「となるとあんまし時間は掛けられんな。踏み込むか」

「大丈夫か?向こう全部が敵だったら彼らは守り切れんぞ」

「問題ない、兵隊が教会に手を出したらその時点で奴らは終わりだからな」


聖職者に暴力とか即破門だぞおまえ!とエトナ―は言う。だから大丈夫と言い切ってしまうのは暴論もいいところである。


「正直お前が地下牢の肥しになろうが知ったこっちゃないが捕まってる奴らが口封じされたらどうする気だ?」

「それも心配ない、ってか私の心配もしろよ!かーっ!これだから信心の足りない奴は困るなー!」

「そうですよぉー・・・エトナ―さんも心配しなひゃ」


ルナに抱き着いてすりすりしながらブーブー文句を言うエトナ―。彼女にはなにやら捕まっているエルフたちの安全を担保する作戦があるようだ。


「ふざけてないで理由を話せ、命がかかってるんだぞ」

「これだよ、これ」


若干イライラし始めたアダムにエトナ―は懐からスクロールを取り出した。


「こいつらが向こうの組織と契約した売買契約だ」

「このスクロールは・・・なるほどな」


エトナ―が取り出したのは悪魔と人間が取り決めを交わす時に使われる契約書だった。

先だって行われたルナの救出でアダムが倒した悪魔が持っていたもので、エクソシストたちが現場検証の際にその悪魔から回収したものだ。


「この契約書にはエルフを納品することが義務付けられている」

「しかしその悪魔は俺が倒したぞ?」

「「悪魔を倒した?」」


ルナとカティナの声が被った。そしてずいっと二人はアダムに詰め寄ると質問をぶつけた。


「悪魔って倒せるんですか?」

「雑魚だったらな」

「契約書を書ける悪魔って中級だったような・・・」

「武器さえそろえば意外となんとかなるもんだぞ」


うそだぁ、と二人は顔を見合わせて笑う。カティナは常識的な観点から、ルナは悪魔と言えばルルイエやバエルクラスしか知らないという深すぎる差があったが。

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