クラスメイトが増えた!
テイロスが旧館にたどり着くとちょうどゴミ出しをしているアダムと鉢合わせた。
「ん?新しい用務員の人・・・じゃないな。ドワーフか、もしかしてテイロス・ギガース君かな?」
「そうです・・・よくわかりましたね?」
「ドワーフとエルフにはそれなりに付き合いがあるんでな、身長くらいで間違いはせんよ」
アダムがそう言って笑うのでテイロスは嬉しくなった。
今まで間違われるのが当たり前だったので仕方なかったのだが、それだけでも彼の中でアダムの評価は自然と高くなった。
「しかし早めに来てくれて助かった、寮も何もかも準備中でな。一応何部屋かは使えるように皆でしてる最中だ」
「そうなんですか」
テイロスはアダムと一緒に旧館の中へ。旧館と言われていたので少しばかり身構えていたが実際に見てみるとなかなかに古い、というより汚い。
「おーい、クラスメイトが来たぞ。テイロス君だ」
教室に入ると教科書ではなく掃除用具を持ったティナとルナ、マリーとクロエが居た。ダズは教室の隅で船を漕いでいる。
「ダズが何で寝てるんだ?」
「え、さっきまで一緒に・・・あー!寝てる!」
「・・・サボりだ」
ティナがダズの頭を左右に揺らすがダズはビクともしない。
「賑やかだ」
「え?わ、わわ!デカい!」
「テイロスだ、よろしく」
「もじゃもじゃってことはドワーフなんだ?」
ティナはテイロスの髭を見て言う。皆はどういう事か不思議に思っていたがティナは彼の髭を見ながら言う。
「ウチの実家近くにずーーっといろんな人種の髭を整えてきた散髪屋さんがいるんだよね!その人がさ、ドワーフの髭は皆わかりやすい特徴があるって言ってた」
「その特徴って?」
「火をつけても燃えないって、魔法の火以外じゃドワーフの髭は燃えないんだよ」
「見た目関係なくない・・・?」
クロエのつぶやきを完全に無視してティナは続ける。
「ってなわけで髭燃やしていい?」
「・・・え、怖」
テイロスはティナの脈絡のなさすぎる提案に引いた。しかも結局何故彼女が髭もじゃという事だけでドワーフとしたのかの理由はこの後明かされることはなかった。
「えー、改めて鉱山都市からやってきた中途入学枠のテイロス・ギガース君だ。みんな仲良くしてやってくれ」
「「「「はーい」」」」
アダムからテイロスの紹介が入って、皆はテイロスを加えて再び旧館の清掃に戻ることに。
「テイロス君はなんで魔法学校に来た感じ?」
「鍛冶に魔法が活かせるかを学びに来た」
頭にたんこぶを作ったティナにテイロスは若干距離を置きつつ答える。実際火口と着火用の道具を探そうとしたところでアダムにげんこつをもらったのである。
「魔法で金属を加工したりするとなんかあったっけ?」
「魔導金属というものに変える技術がある。魔力を帯びさせると溶ける温度や固まる温度が変わったりするやつだな。金属によって魔力を保持できる時間や量は変わってくるが」
ティナの言葉にアダムが説明をつけた。魔力を間に挟むことで高温にできずとも金属を溶解させたりできるようだ。
しかしそれには高い魔力や魔法の素養がいるので結局普通に加工した方がコストがかからなかったりするのでまだまだ技術としては発展途上といえる。
「それって簡単にできるもんなの?」
「現状は魔法使いに鍛冶の知識があるものが少ないんで研究自体が発展途上だ。コストも悪いしな」
「へー、じゃあテイロス君の勉強はそれのためってことになるのかな?」
「そうだな、魔導金属の研究に関して金属の専門家であるドワーフが関わることは大いに意味のある事だと思うぞ」
がんばりなさい。とアダムがいい、ティナたちが魔法が金属に及ぼす影響について話し合っている。
その間も掃除を皆がおこなってはいるもののそれについての議論が半々といった感じだ。
テイロスは魔法学校で金属加工に魔法を用いることが荒唐無稽でないことを知り、ちょっとだけ安堵した。
「・・・とりあえず魔法を学ぶ意義ありそうだ」
テイロスは一人つぶやいた。
「さて、それじゃ今日はこれくらいにして解散といこう」
「「「はーい」」」
皆がアダムの号令で掃除を中断して帰路についた。テイロスは荷物をキレイになった寮へと運ぶ。
「ルームメイトだね、改めてよろしく。ダズ・アッテンボローだよ」
「よろしく」
ノームらしいのんびりした言葉遣いにテイロスは安堵した。種族的に土に近しい特性とこういっては何だがどちらもあまり細かい事をきにしない大らかな性格だ。彼はそれが特に色濃いようで気兼ねなく生活できるというもの。
ベッドは板張りのほぼほぼ骨組み状態だったが敷板と毛布を敷けば頑丈なドワーフにとっては十分寝具になる。
「おーい、食事だぞ」
さらにアダムが食堂から食事を持ってきてくれたのでテイロスの初日は上々だった。




