ぞくぞくと集まります!
教室の掃除はその後、それほど時間がかからなかった。最低限に抑えたというのもあるが使われている教室もそれほど広くなかったのが幸いした。四人はそのまま掃除用具を片手に旧館の寮に向かう。
「いくら人がいなくなったからって寮を使う人はいなかったんでしょうか?」
ルナが寮の入り口でそう呟いた。旧館と扉一枚で繋がっている寮は本館ともとても近いし、施設だってあるはずだ。
しかしながらもうここは使われていないという。
「そりゃ簡単だ、寮も新しいのができたからだ」
「そーなの?」
「あーそうだよ、本館の設備はこっちとどっこいのところも多いがアッチはもっと新しいのさ」
人が少なくなったがどうにもその際に学校に通っていた生徒は金持ちの令嬢や令息が多かったようだ。
そのお陰というべきなのかはしらないが寮も本館の整備に伴って刷新され、新たに寮も新しいのが建てられた。
それに伴って旧館は宿泊施設としての機能も終えて放置されることになったとのこと。
「それがFクラスの復活に伴って再利用されることになったわけだな」
コロンの言葉を思い出していたルナは旧館の歴史についてふと興味が出た。彼の言葉によれば彼が学生であったころにはGクラスまであったそうだ。
「ここの寮って何人分あるんですか?」
「そうだな、相部屋で四人が入ることになってたはずだが・・・10部屋以上あったような・・・」
「・・・単純計算で40人入れる」
「FとGクラスがここで寝泊まりしてたな。中には実家から通ってる奴もいたが」
そういいつつ寮に入る扉を開けると四人は生活スペースがあった場所の洗礼を受けることに。
「きったない!」
「・・・えんがちょ」
最後に使ってから掃除をせずに放置されたのか、それとも残った生活感が業者でも取れなかったのか埃だけでなく数年で悪化したであろう汚れやゴミが部屋の中で醸成されていた。
「食べ物のゴミでしょうか・・・キノコが・・・」
「生えてから枯れてるね・・・」
「つつくなよ?絶対汚いからな?」
最初の部屋の時点で全員が嫌な予感しかしなかったがアダムがおそるおそるすべての部屋を点検すると幸いなことに最後まで人が入っていたらしい三部屋が汚部屋というより魔窟になっているだけで他は埃が積もっているだけだった。
「箒と雑巾だけではここは無理だ、この三部屋は業者を呼ぶから他を掃除しよう。シーツは破棄して、そっちも業者を入れることにする」
廊下とゴミ捨てをアダムが、四部屋を三人が担当しなんとかまともな部屋の掃除をしていく。
「私達11人しか居ないんだし三部屋でよくない?」
『一部屋物置にするから掃除しとけー』
「・・・だってさ、それに、個室とかあったらいいじゃない・・・?」
「業者さんが入ったら私達が掃除した部屋以外にも三部屋は使えるかもしれないし綺麗な部屋は多い方がいいでしょ」
箒で集めたごみを細かく編んだ麻袋に詰めて口を縛る。それを廊下に出すとアダムが受け取って入口に固めて置いていく。その後を雑巾で拭いて綺麗にしていく。それを飽きるほど繰り返すのだ。
「ふぃー、そろそろ休憩しない?」
ティナがそう言うと木の骨組みだけのベッドに腰掛けた。最初はどこも触れるだけで埃が舞っていたがすくなくとも座れる程度には綺麗になった。その労力に見合うだけの時間の経過に気づくのと全員が空腹を覚えるのはほぼ同時だった。
「そうだな、昼時だ。部屋も最低限綺麗になったようだしこのまま今日は解散でも構わんぞ」
「わーい・・・ってか私らしか来てなくない!?どーなってんすか?」
「そうがなるな、何人かは遠方から来てるから来れんし・・・」
「遠方から?」
「うむ、中途入学のドワーフの子と・・・えっと、病気の子と・・・エルフの子がいるな」
「三人は遠かったり病院に居たりか、でもさ!ほかの五人はどーなってんですか!」
ティナはこれから自分達が使うための設備を清掃しているにもかかわらず他の人が来ないことに不満を感じているようだった。
「あのー・・・」
ティナがブーブー文句を言い始めたのを他所に誰かが遠慮がちに入ってきた。
「すみません、Fクラスって此処で良いんでしょうか?」
「なんだチミは!」
「なんだチミはってんですか!そうです僕がFクラスのダズ・アッテンボローです!」
「ノリがいい奴が来たな」
アダムがそう言うとルナとクロエは噴き出した。ティナに詰め寄られておたついている少年はダズというらしい。
小柄な体格に不釣り合いな大きなリュックを背負った彼はどうやらノームらしい。
おっとりした感じの見た目に反してティナとやいのやいのと騒いでいる。
「アッテンボロー、何時来た?」
「えっと、今しがたですね。寮に入るつもりだったんで荷物が多くなっちゃって」
「そうなのか?だが寮はまだこんな有様だが」
アダムが部屋を見せるとまだまだ完全に綺麗になったとは言い難い状況だった。




