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悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
銀の黄昏健全化作戦!
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逃げるが勝ち?

アダムは後ろをついてくる気配を探りながらジダーノ達のところを目指したがどう言ったわけか彼らは全くアダムを疑っていないらしい。監視の一つもなかった。


(信用しているという意思表示か?それにしても迂闊だな)


とはいえじろじろと仕事を見られると面倒なのも事実。アダムはそのまま二つ目のターゲットへと向かった。


「失礼する」


アダムがノックと共に部屋に入ると


「ひょひょひょ、大量ですぞケッチータ!」

「ほひひー、頑張ったかいがありましたぞ」

「「黒字をちょっと誤魔化すの最高!」」


なにやら二人が硬貨を積みながら騒いでいる。アダムは部屋に入るとノックをもう一度した。


「・・・誤魔化す?」

「むおっ!だれですかな!」

「銀貨と綺麗な銀貨を選別するのに夢中で気付かなかった!」


二人はあたふたと銀貨を袋に詰めてアダムを見る。アダムはそれを見て、溜息をついた。


(金の亡者と過去の栄光に囚われた老害と・・・どちらがマシだろうな・・・)


ふと、そんなことを考える。組織をむしばむ者たちの違いはいかほどのものか。構成員の話を聞く限りでは彼らは帳簿を誤魔化してお金を貯め込んでいるそうだが・・・。


「新しく入ったものですが・・・魔法使いの結社に属する人間にしては随分と魔法に頓着しないようですな」

「・・・まあ、それは否定しませんぞ。だが組織には金がいりますからな」

「ほほう、それで非合法な仕事に手を出すと?」


アダムはさっそく、彼らに探りを入れた。二人はそれを聞いてぴたりと手を止めた。


「君は、金儲けをどう考えますかな?」

「どうとは?」

「簡単なことですぞ、金には綺麗なものと汚いものとがありますぞ。ちゃんと稼いだお金と、後ろめたい事をして加稼いだお金の事ですな」


ジダーノはそう言うと銀貨を取り出して二つの銀貨を並べた。どちらもピカピカに磨かれている。

しかしジダーノはそれらを違うものと言いたいようだ。


「見た目は変わらずとも、片方にはべったりと・・・血がついている」

「それが分かっていて貯めるのか?」

「手元に来た分を管理して、貯めるのが自分の仕事ですぞ。だが、キミのような人が来たと言う事はこの仕事にも終わりが見えたということでしょうな」


ジダーノとケッチータはそう言うとアダムに金庫の鍵を差し出した。彼らの指さす先には大きな鍵付きの金庫が。


「彼らの金と商売に使って証文はあそこに。だが誓っていいますぞ。我々は綺麗な金しか扱ってはおりませんぞ」

「その理由は?」


アダムの問いかけにケッチータは当然と言わんばかりに答える。


「ほひひ、善性ではなく損得としてですぞ。教会に目をつけられて、誰かに疎まれて、恨まれるような商売なんぞ最後に待っているのは破滅しかありませんからな」

「自分達はケチで、金を貯めるのが生きがい。だからこそその生きがいを邪魔されたくないですからな」


ジダーノはそう言うと例え話につかった銀貨を袋に戻した。アダムは金庫の鍵を受け取ると二人を見やる。


「・・・ケチな男にしてはそういったこだわりがあるんだな」

「綺麗なお金は手元に残るもの、汚いお金は出ていくもの。出費が大嫌いなら残るものを貯めたいでしょう?」

「それはそうかもしれんな」


その割にはピンハネしていた気がするが・・・とアダムは思いつつも彼らが自発的に組織を去ってくれるつもりなら追わないつもりでいた。


「毎月に黒字が出るように調整して、その黒字の一部を跳ねて貯める!これほど楽しいことがあろうか」

「ほひひ、銀貨の袋が積み重なるのは快感ですぞー」

「そんなに貯めて何に使うんだ?」


アダムの問いかけに二人はキョトンとして・・・。


「つか・・・う?」

「・・・」


アダムはそれを聞いてあきれるやら感心するやら。こいつらはピンハネするだけして、それを組織の金庫に溜め込んで・・・それっきりで使ったことがないらしい。勝手に積立金だ。


「貯めるのが生きがいなのはわかったが・・・その生きがいを捨てる事になるかもしれんのはいいのか?」

「そうですな、自分達はお金儲けと貯蓄に人生を捧げておりますが・・・まあ、仕方ないでしょうな」

「命がけで自分の利益を守るかと思ったがそうでもないんだな」


二人はそれを聞いて顔を見合わせると笑いながら答えた。


「自分達は英雄でもなんでもない、そんな奴が『命を賭けて!』なんて馬鹿のすることですぞ」

「そーそー、命あっての物種ですな!」


そう言うと二人は瞬く間に荷物をまとめると窓から縄梯子を降ろし始める。


「あ、見逃してくれるお礼に自分達の名前はタダで使ってくれて構いませんぞ」

「ほひひ、お掃除をタダでやってくれたお礼ですな!」


「「それでは我々はドロンしますぞ、総帥にはよろしくいっといてくだされー」」


荷物を抱えると、ほひほひと二人は声だけを残してそのまま居なくなってしまった。


「ワシの変装に気付いてたのか・・・何者なんだアイツら」


組織にやってきて、組織の収入の上前を跳ねて勝手にお金を貯蓄して・・・。考えるほど謎な奴らだった。

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