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悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
銀の黄昏健全化作戦!
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作戦決行まで・・・

このような面倒な偽造をする必要があったのは彼らが魔法で筆跡鑑定をする場合があるからだ。

書類の真偽はともかく、これが本人が書いたかどうかを見抜く魔法はわりと色んな魔法使いが使える。なにしろサインが本物かどうかを調べる魔法は信用を得る上でかなり重要だからだ。


「これで真贋を見抜く魔法も欺けるというわけだ」

「・・・貴方魔法使いですよね?あの、裏の人とかじゃなくて・・・」

「魔法学校の教師だよ、ワシは」


とぼけたように笑うアダムであったが、その顔はどこか陰が差しておりシュトリクはその表情を見て思わず身震いした。絶対嘘だ、なにかヤバい世界で生きてきた奴だと思う。考えてもみればルルイエや大悪魔の少女と普通に接しているのだからそもそもそう思われても当然なのだが。


「さて、小道具は揃った。後は向こうでどれだけ上手く事が運ぶかだ。相手次第では血を見ることになるかもしれんが勘弁してくれ」


アダムはそう言うと偽造した文書を懐に入れて隠れ家を後にした。シュトリクはとんとん拍子に進んでいく様子に驚きと不安が隠せなかったが、それに対して有無を言わせぬだけの冷静さと周到さをアダムは持っていた。


「それではよろしく頼むぞ」

『ええ』

「わかりましたぁ」


当日、集合したルルイエとルナ、アダムとシュトリクはそれぞれの当日の準備を行っていた。

ルルイエは筆を取り出すとアダムの両手の甲に紋様を描き込んでいく。魔法で出来たものらしく筆跡はうっすらと光を帯び、幻想的な雰囲気だ。


「これでこっちの準備は完了か、シュトリク」

「は、はいっ!」

「そう緊張せんでいい、ワシらの指示通りに動いてくれればそれでいいからな」


アダムはそう言いながら道すがら、歩く中で顔を変えていく。彼の使う変装術は魔力で形を自在に変える布を顔に貼り付けて整えるものだがそれ故に察知されにくく、実際の物があるため魔法の解除を受けても彼の魔力が循環しているため変装が解けることはない。





『さて、私達も準備しましょ』

「はぁい・・・わかりました』


ルルイエの合図を受けてルナは変身してアービルの姿へと変身する。ルルイエも指を弾くと鳥の姿に変身した。


『向こうに着いたらルナちゃんはできるだけしゃべっちゃダメ』

『どうしてですか?』


鳥に変じたルルイエはアービルの手に飛び乗った。そしてルナを見上げながら続ける。


『大悪魔は貴族や王族のそれよ、一対一の契約の場面ならともかく多数のメンバーの前で呼び出されて簡単に声を掛けたら品格を疑われちゃうわ。それに悪魔が悪魔についての知識を持ってなかったりしたらお芝居がぶち壊しになるし』


ルルイエは今回の事で少しだけ興味があった。銀の黄昏の総帥はそれなりの魔法使いだという事。

異端審問官を率いたエトナ―をして仲間を逃がして見せるだけの実力者。まあそれもエトナ―に殺意がなかったからという前提ではあるが彼女の術を多少なりとて妨害できるその手腕に期待をしていた。


『さて、そろそろ合図が来てもいい頃・・・』


ルルイエが言うと目のまえにオレンジ色の光が灯り、地面に円を描いた。そしてその円の中心に銀色の液体が溢れ始める。指を動かしてシンボルを描くとルルイエはルナにそこに飛び込むように指示した。


『はーい』


気の抜けるようなおっとりした声とともにルナはそのシンボルの中心へ。


『深淵より、現れたり』


ルナは魔法陣から抜け出すと八本の腕を広げて大きく息を吐いた。ぎょろぎょろと目を動かすと周囲には何人かの魔法使いと、シュトリクの隣に立っている男性ーーーおそらくアダムだろうーーーがいるのが見えた。


『契約者以外は膝をつき頭を下げろ、不敬である』


ルルイエが言葉を放つと周囲の魔法使いは一斉に頭を下げた。アダムはこちらをみて苦笑している。


「偉大なる大悪魔よ、よくぞ我が呼びかけに応じた。感謝する」

『契約者よ、望みは?』

「この組織の長が貴女と話したいと」

『容易いことだ、契約の範疇である。長はだれか?顔を上げてよい』


そう言うと頭を下げている魔法使いの中から長髪の青年が顔を上げた。水色の髪色をした不思議な雰囲気を持つ青年だ。それを見てルルイエはふと、懐かしい感覚を感じた。


(精霊種の混血か・・・なんとも珍しい)


『貴様か』

「はい、銀の黄昏の総帥をしている、ポエトと申します」


魔法使いのローブを羽織ってはいるがその下は薄着で、まるでキトンのような服を着ている。

いかにも寒そうな恰好だが精霊種は寒さや暑さを感じにくく、体調をそういったことから崩すこともないため服装は常に薄着な事が多い。また、元々が男女の区別のない精霊種の混血はその特性からか中性的な顔立ちをしていることが多い。


『いいだろう、話をしよう。他のものは下がれ』


ルルイエの言葉を受けて魔法使いたちはそそくさと部屋を出ていく。そしてその場にはルルイエとアービル、そしてポエトだけが残された。


『精霊の混血よ、何を聞きたい?』


ルルイエは語り掛ける。

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