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悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
悪魔としての格!
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呪いを解いて

全員がぐったりとした状態でしばらく放心していたが少女の動きが止まったのを確認して使用人達は安堵のため息をついた。


「よかったぁ・・・」

「一時はどうなることかと・・・」


使用人達は口々にそう言いながら少女が放り出した荷物や衣服を拾い始めた。


「おぉー、助かりましたぞ」

「アルディーノさん、はいどうぞ」

「ほへぇえ、こりは治癒術ですか?」


アルディーノは腰の痛みから解放されて間抜けな声を出しながらも恐らくはかなり強度の高い治癒術を扱うルナに驚いていた。


「もうなんともない、これはなかなかのものですな」


ルルイエはアルディーノの言葉に思わずため息をついた。

内心では感心しながらも治癒術は聖職者の領分、手放しには褒められないのだろう。情けない話ではあるが奇跡のように魔法を扱いながらも彼らは聖職者への対抗心から治癒術を表立っては使えない。それ故に彼らの中には未だに簡単な怪我や病で命を落とす事がある。

なぜならポーションは保存が難しさからダメになりやすく、アンチドーテなども調合する必要があったりする。そのため煎じてる間にぽっくりなんてこともある。


『私の弟子なんだから当然よ、幅広く何でも教えてあげてるのよ』


治癒術を教えてくれたのは正確にはルルイエではないが、様々な師を紹介してくれていると言えばそうなのでルナは何も言わない。多分訂正するとめんどくさいし。


「それはそれは・・・酷い事をしたのにここまでしてもらって本当になんとお礼を言ったらいいか」

「いえいえ、お孫さんが元に戻ったのならなによりです」

「ありがとう、そして申し訳ない。このような事は二度としない」

「わかっていただけたn「ふぎゃーーーー!!」」



アルディーノは深々と頭を下げて謝罪と感謝を述べた。

ルナは一段落したので少し安心していたがティナの怒鳴り声とともにその安堵は吹き飛んだ。


「逃げるなー!」

「いだだだ!」


ティナが老人の両足の関節を逆海老に捉えている。どうやら気が付いて即逃亡を図ったようだ。


「あやつは・・・!」

「お知り合いですか?」

「腐れ縁じゃ、もしやあやつがワシの孫に呪いを?」


ルナがこっくりと頷くとアルディーノは老人に駆け寄ると杖で頭を叩き始めた。


「いだだだ!やめろ!やめろー!」

「やかましい!よくもワシの工房を台無しにしてくれたな!」


うわー!と悲鳴を上げていたがやがて頭にコブをたくさん作るころになってようやくアルディーノが疲れて終わった。


「どうしてこんなことしたんですか?」

「うう・・・くそう」


老人のハンカチを水の魔法で濡らし、彼の頭に乗せる。老人は悔しそうにしながらぶつぶつ呟いていたがルナが治癒術でコブを治し始めたので観念して白状し始めた。


「ワシの名はルチオ・リパラトーレという、アルディーノとは終生のライバルよ」

『リパラトーレって・・・』

「どこの方ですか?」

『魔法陣の修理や遺跡の修復なんかで有名な修復魔術の使い手よ。まったくなんでこんなことをやってるんだか』


ルルイエの言葉の通りならばアルディーノもルチオも魔法使いの名家らしい。にもかかわらずどうしてこのような大がかりながらも幼稚な嫌がらせをしているのか。


「悪魔の力を借りてまで嫌がらせをした理由はなに?」

「もちろん復讐だとも、奴は昔ワシの工房を台無しにしたのだからな!」


ルチオはかつてアルディーノがしでかした出来事を語り始める。

それはルチオがまだ新米の魔法使いだった時の事。ルチオは非常に几帳面な性格で常に自身の工房を整頓し、実験に使う材料や物品を綺麗に整頓していたのだという。


「ワシが新薬開発のため入念に準備を重ねていた時だった・・・そのときじゃ!」


くわっ!と目を見開いたルチオ。ティナは驚いて尻もちをついた。


「ワシの工房をあのバカが無断利用しよったのじゃ!」

「ええっ!」


ルナが驚いてアルディーノを見る。さすがに酷いことだが・・・本人はああ、と手を叩いた。


「あの時のか、新品みたいのだったから誰も使ってないのかと」

「貴様ーっ!あの時、整頓して帰って次の日に工房がぐちゃぐちゃになっていたワシの絶望がどれほどのものか・・・!」


憤慨するルチオと対照的にまったく悪びれないアルディーノ。几帳面な性格とどちらかと言えばずぼらな性格の人間の感覚は恐らく交わらないだろう。まさに水と油である。


「そこでワシはこの日のために準備してきたのじゃ!お前の研究資料が膨大になった瞬間に全部整頓してやるとな!」

「・・・」


ルチオは全部ひっくり返されて右往左往するアルディーノを見る為に長く準備を重ねてきたようだ。

ルナの呆れた表情などお構いなしに懐から分厚いメモ帳を取り出すと笑顔でそれを振った。


「そうして整頓すればお前の資料なんぞこのメモ帳に収まるわ!馬鹿め!」

「な、なんじゃとー!ワシの研究はそんな小さなメモなんぞに収まるわけがないだろうが!」

「わはは、悔しかったら読んでみろ!お前の孫の柔らかい頭と悪魔の力で整頓したのだ!間違いないぞ!」


アルディーノはメモ帳を取り上げてペラペラとめくり始めた。

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