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悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
潜入!闇オークション!?
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悪魔の取引に

フラウロスはその素材が未知のものである事を見抜いたがその素材が何かまでは見抜けなかった。


『これは一体・・・』

『あの子が紡いだ糸を使ったのよ』


その言葉にフラウロスは顔を上げた。


『あの若い悪魔、確かアービルと言ったな』

『そうよ』

『その子が?』


問いかけにルルイエは頷く。フラウロスは再び自身の手にある編み飾りに目を落とした。


(確か、あの悪魔はまだ子供だったはず・・・それということは・・・)

『あの子はまだ子供だったな』

『ええ、そして純潔の乙女でもあるのよ』


その言葉にフラウロスは編み飾りを持つ手がガクンと重くなったように感じた。


『悪魔の、乙女の紡いだ糸、それで作った編み飾り・・・!』


悪魔が紡いだ糸、純潔の乙女が紡いだ糸。そのどちらも儀式の上でとても重要な要素である。悪魔が紡いだものは希少性も、魔法の触媒としても希少も希少なもの。そんな悪魔に純潔の乙女というもう一つの希少性が加わったことでその価値はもはや糸で作られた物という枠を超えていた。


『汚さないように加工する為に色々と苦労したのよ』

『う、ぐ、く!』


本来ならば契約を蹴り、この忌々しい魔神の頭を消し炭にしてやりたいところだった。しかし、しかしである。


(希少すぎる!この、糸がその悪魔の手で作られたとするなら!)


悪魔には蒐集癖のある者が多い。その中でもこう言った奇貨珍品の類は持っているだけでステータスになりうる。

その中でも悪魔の乙女、この一点の要素がこの編み飾りの希少性を高めている。

一部の悪魔は恥ずべきことと思ってはいるが悪魔は奔放なものも多く、また権能故にサバトや乱交を行うものもいる。そう言ったものが多いが故に純潔という言ってしまえば『悪魔らしくない』要素を悪魔が持っているという事が唯一無二性を持たせているのだ。


(もしも、今手に入れておかなければ二度と手に入らないのでは・・・)


純潔は一度散らしてしまえば二度と元には戻らない。清らかな乙女の権利は悪魔にとっては苦行にも等しい絶対的な理性によってもたらされるもの。それに若さを加えたその要素はもはや刻一刻と損なわれていくもの。

今を逃せばどう転ぶかなどわかったものではない。


『ぐ、ぐぐ・・・わかった!受ける!』

『契約成立ね、それじゃあここの掃除をお願い・・・』


ルルイエはそう言うと会場に置いてある杯と天使の経典のページを手に取ると部屋を後にした。


『ち、しかし・・・これは使えるものかもしれない・・・』


フラウロスはハンカチに丁寧にそれを包むと大事そうに懐に収めた。それから部屋の中で狂気に陥っている面々を見やると指を弾いた。


「いちいちちち!」

「かったかったかかかか!?」

「つつつつっつ?」


周囲は即座に炎に包まれる。建物を一切燃やさず、それでいて生き物は一切の例外なく焼き尽くしていく。

その場にいた生き物は人も、虫も、偶然通りかかっただけのネズミも。すべてが燃え尽きて灰になった。


『信心のかけらもない連中だな、楽で助かるが・・・』


フラウロスは周囲を見渡すと部屋の奥でタリスマンを握りしめて震えているボーイに目が行った。


『いかんな、怖がらせてしまった・・・ひと思いに燃やし尽くせればよかったのだが』


幸か不幸か、ボーイはこのような場所に居ながらも信心深かったようだった。握りしめたタリスマンと信仰心がルルイエの狂気から身を守り、フラウロスの炎の標的から外れたのだ。


『指向性を持たせないとこういうのは火が点きにくくなっていかん』

「ひ、まって!まってください!たすけて・・・!」

『世の中諦めが肝心だぞ、少年』


フラウロスは魔法陣から全身をさらけ出すと豹の姿に変身してボーイに飛び掛かった。






『エルフを売るつもりだったのはアナタね?顧客と商品の仕入れ先を教えて頂戴』


ルルイエは支配人の前でにっこりと笑みを浮かべた。周囲の護衛は冷や汗をかきながら剣や棍棒を手にルルイエを睨みつけている。


「お、お前!オークションはどうした?」

『早い目に終えたわ、客も皆還ったわ、遠いところに』


くすくすと笑う度にその瞳の色がころころと変わる。その瞳の色を見ているだけで支配人は足元が崩れていくような恐ろしい感覚を感じていた。


『終わった事より私の話を聞いて頂戴、仕入先と顧客の情報を』

「し、仕入れは色々だ!ごろつきとか、泥棒とか・・・知らない方がやりやすいんだよ!」

『なるほど、それじゃあ顧客は?』

「そ、それは・・・」

『言えないならあなたの頭に手を突っ込むだけよ?』


ルルイエがそう言って歯を見せて笑うと不自然に伸びた影がうねった。うねった影はまるで質量を持ったように彼らの足や手に触れる。護衛達はそれを見て恐怖に駆られ、支配人を守ることも忘れて逃げ惑い彼に縋りついて震えている。


「ひ、ひっ!お、オーナー!知ってるなら喋ってくださいよ!おれ、おれまだしにたくねえ!」

「こええ!こええよ!」

「うるせえ!俺もちびりそうなんだよ!黙ってろ!」


支配人はそんな中で恐慌状態の部下を見てかえって冷静になったのかタバコを取り出してマッチを擦った。

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