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悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
潜入!闇オークション!?
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サピスキア

三人はサピスキアのこれからに頭を悩ませる。

とりあえず今は魔法学校の旧館にいればいい。あそこは出入りする人間が限られているし、校長も所属する先生も皆名うての魔法使いばかり。個人で戦う上で魔法使いをどうこうできる人間は少ないのでセキュリティとしては十分すぎる。


「Fクラス経由とはいえ悪魔にも関わりができるわけだから大丈夫といえばそうかもしれんが・・・」

「どのみち、一人だと、大したこと、できない」

「じゃあこの人も旧館で生活するんですか?」

「そうするしかないだろう」


そのやりとりにサピスキアはちょっとだけ不安に思った。目の前の少女は見た目のかぎりではとても善良そうだ。

それ故に彼女の迷惑になるならサピスキアは山や森に紛れて生きることも考える。

歴代の始祖のエルフは皆孤独に生きていくことが常だった。所在が知られれば狙われ、誕生が知られれば探される。

捕まれば情報を得るためにどのような目に遭うかわかったものではなく。大抵はその処遇によってはその場で命を絶ったと記憶は告げているのだ。

人の悪意と欲望は恐ろしい。学校といえば子どもが集まる場所だろう。そうなると彼女やその学友にそんな恐ろしい世界を見せてしまうのではと心配になった。しかしそんな心配は彼女の一声で霧散した。


「じゃあエルフさんもFクラスみたいなものですね!」


嬉しそうに笑みを浮かべるルナにサピスキアは目を見開いた。


「しかし、大変なことに、なるかも」

「それはお互い様ですよ、私だって悪魔だし」


二度目の衝撃。サピスキアはずいっとルナを覗き込んで彼女を観察する。エルフの記憶の中でも悪魔は悪意や欲望の権化か、もしくは冷徹な契約の番人といったものが常だった。


「きみ、が?」

「はい、なりたてですけど」


にへーっと笑うルナの顔はまるでサピスキアが記憶の中で見てきたどの悪魔とも一致しない。

善性の塊のような雰囲気と、そして始祖のエルフの特異な能力である魂を知覚する感覚がその清らかさを見抜いた。

純粋にして無垢な魂が、まるで十重二十重の防備に守られている宝石のような・・・。


「不思議、不思議だ」

「なにがですか?」

「悪魔なのに、どうして、きれい?」


首を左右に振りながらサピスキアが尋ねる。ルナはもちろんそのことに応える術はない。彼女だってそんなつもりで悪魔や自分であるつもりはない。


「ええと、どうしてでしょう?」

「とりあえず、私は、いま、ふしぎに、であったよ」


アダム、とサピスキアは言うとアダムに向かいあって手を合わせた。


「お願いだ、私を、魔法学校に、置いて欲しい」

「お前さんがそう言うなら別段止める理由はないぞ」

「私らも管理しやすいしそっちの方が助かるな」


エトナ―も賛成に回ったのでサピスキアはそのまま魔法学校の旧館で寝泊まりすることになった。







「一枚!いちまい!いちまーーい」

「つぎ、つぎです!つぎのしょうひん!」

「買ったかったっかったかった!」


会場は声が響き続けている。しかしその声色は既に正気のそれでなく・・・。


『さて、そろそろオークションも佳境ね』


会場に残っていたルルイエはオークションで競り落とした天使の経典のページを見ながらつぶやいた。

途中からオークションはオークションとは名ばかりの狂乱の渦になっていたがその原因のルルイエは最後に残った商品を手に取った。


『『小さな鍵』の写本、その贋作でもそれなりの力がある。名は力、それを魔法の素養のあるものが真似すればそれだけで・・・』


魔導書に類するものは魔法使いや悪魔が丹精込めて書き留めた魔法陣や呪文が書き連ねてある。一般人が写してもただの文字と記号の羅列であるがその一方で魔法使いが模写した場合言葉と魔力が釣り合った際にオリジナルに似た性質を持つことがある。ただしその能力をオリジナルに近づけるには卓越した技量が必要になるが。


『この通り・・・ふふふ』


ページを開くとそこには呪文と魔法陣が描かれている。それらは大半が模写に次ぐ模写で形を変え、意味を失っていたがその中でも機能を残した部分がルルイエの魔力に反応して光り出した。


『炎よ、炎、フラウロスをここに』


写本が火に包まれると同時に魔法陣が本から飛び出して空中に浮かび、そこからずるりと悪魔が顔を出した。


『ルルイエ、お前か・・・』

『ええ、フラウロス。こんな本の呼び出しに応じるなんて律儀ね』

『こういうのを使う奴は欲望がわかりやすくてな・・・今回は、なんともハズレ籤のようだが』


ルルイエを見る目は嫌悪と侮蔑に満ちており、嫌々という感じが言葉の端々に見て取れる。

それでも逃げないのは悪魔がそれだけ召喚と契約を重視している証拠でもある。


『そう邪険にしないで、あなたが会いたがってる新入りの子と縁を結んであげようとおもったのに』

『お前と話をするには私も三角形の魔法陣の中に入らなければならぬ』

『もう、あなたと一緒にしないでよ。それより、これを受け取って』


ルルイエは糸を使って作った編み飾りを投げ渡した。フラウロスはそれを受け取ったが貴金属でも、魔法薬でもない糸の編み飾りに怒り顔を見せる。


『炭になりたいらしいな、バエルよりも温度が低いからと侮ったか』

『そんなつもりはないわ、よく見て、あなたなら価値がわかるかと思うけど』



フラウロスは眉間に深いシワを刻んだまま、その飾りを見たがその糸が見た事のない素材で作られているのを見て目を見開いた。

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