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悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
ルナの新しい力
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欲しい欲しいは武器(ロマン)が欲しい

アダムの正論にルナの機嫌はすこぶる悪くなった。

元よりルナ自身に武器が不要な事は彼女が一番よく分かっている。だけども彼女が頭に浮かべているのは武器や手甲を上手く使って自分の猛攻を凌ぐガルドナの姿である。


(お父さんもあんな感じかなぁ・・・)


ルナの父エルドも魔法使いながら近接戦闘のプロである。

彼の場合治安組織出身なのでどちらかと言えば捕縛術や杖術、投げや押え込みなとの組み技が多いがエルドの筋力でやると人がまるで紙屑のように投げ飛ばされるので派手は派手である。


「フラウステッド、それに武器と言う奴は加減が難しい」

「加減ですか」

「刃物は触れたら斬れる、滑らせればそれが重篤な危険になる。鈍器はある程度の重さを持てば上から落とすだけで人の頭が割れる」

「・・・」

「人の武器ならともかく、悪魔が用いる武器となるとあえて殺傷力を落としたものを作らないと軽く叩いたつもりで骨が砕けかねん」


アダムはそう言うと懐から短刀を取り出し、それを机の上に置いた。


「これを持ち歩き、人に向ける。この事を軽く見てはいけないぞ」


アダムの言葉にルナは押し黙った。確かに、確かに理屈はわかるのである。

それでも、とりあえず武器は欲しい。自分だってそれっぽいものが欲しい。

実用性はさておいていい。ただなんか、かっこいいのが欲しかったのである。


「むーん!」


とはいえ、ルナは誰かと戦いたいわけではないのでそれっぽいもので我慢することにした。

召喚術の修練場の倉庫には武具の類も置かれている。もちろん訓練用で大半が刃も含めて布張りの木製だが。

とはいえ種類は多く、槍を模した長い棒の先端にクッションをつけて布を巻いたものや、斧を模したものまで。


「こんなにいろんな種類が何でいるんだろう?」


ルナは首を傾げたがこれは実際に召喚術を行う際に作る祭壇を飾るためのレプリカである。

武具や装飾品を飾り、魔法陣と同様の性質を持たせるものであるが実物を利用すると魔法陣が完成し召喚術が暴発する危険性があるためレプリカの斧や短剣を置くことで見本をつくるのである。

そして凝り性の多い魔法学校の先生たちはレプリカと言えど手は抜かず作ったため武術の訓練にも使えるくらいに完成度が高かった。


「でもいいや、この木剣とか斧ならいくらでも練習できるし」


布が巻いてあるものの中には重量を上げる為か重りがついているものもある。手ごろなものを持ってぶんぶんと振り回しているとそれだけでもルナの武器に対する熱は満足に向かっていく。


「ふぅー、ちょっと汗かいちゃったかな!」


実際、そんなに時間は経っていなかったが一人でぶんぶんと木剣を当てもなく振り回したところで続くわけもなく。

ルナは少し疲れたので中断しようとしたが・・・。


「悪魔の姿で振ったらどんな感じだろ?」


ふと、そんなことが気になった。頭の中で武器を手に変身した自分を思い浮かべる。

八つの武器をそれぞれの手に持ち、それぞれで攻撃すると仮定すると・・・。


「かっこいいかも!」


実用性は度外視、というより考えてなかった。おそらくすごく使いづらいかもしれないがやってみなければわからない。せっかく練習しているのだしやってみよう!と思い立ってルナは練習用の斧を持ったまま変身した。


『よし!これから・・・あれっ』


右手に握りしめていた木製の斧に違和感を感じて目をやると・・・


『あ、あれっ・・・』


金属製の鍵をモチーフにした斧が手に収まっていた。


『ぎゃー!なにこれ!』


直感として自分がしでかしたことを理解した。斧は満月のように薄い金色の金属でできており、試しに地面を軽く叩いてみると重厚な金属音がする。


『ど、どうしよう・・・これは流石に使えないよ』


アダムに注意されたばかりだというのに見た目からして殺傷力はもちろん、なにかヤバい付加価値がありそうな代物が出てきてしまった。

これはルナが悪魔に転生する儀式を完遂した際に他の大悪魔から捧げられたお祝いの品の一つであり『開闢の鍵』、すなわち悪魔としてこの世に産まれ落ちた彼女の『始まり』を祝福して用意されたもの。

鍵という形状は刃に鋭さの他に「開く」意味を与える。斧であることも相まって扉や錠前をぶっ壊す性能に特化しているのだ。

アービル、もといブリヴァルの為に作られたものであるため世界に一つしかない。

床に置いてみても変化はなく、どうしたものかと思っていたがルナの姿に戻ってみるとまた斧は木製に戻った。


握って変身すると斧は変化した。しかもなんかとんでもない変化である。


「やば、変身するときに何か持ってたら変な事が起きそう・・・」


悪魔化はともかく変身する時は手ぶらでないと危ない。ルナはそう思った。

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