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悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
ルナの新しい力
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くっついた!

よくよく考えると糸玉の元は片方の手にくっついたままである。


「およよっ!」


手を振ってみても糸が同じように震えるばかりである。

ルナはなんとか糸を外して見ようとしたが・・・


「ダメだ、取れない」


仕方ないのでアダムに助けを求めることにした。


「ディーン先生」

「なんだ?」

「取れなくなりました」

「そうか」


アダムの顔には明らかな疲れが見えていた。


「これは蜘蛛の糸か?」

「多分そうです。息を吹きかけたら手がペタペタし始めたので捏ねて見たらこんな事に」

「うーむ、わからん」


アダムは魔法の先生をしているが魔物や使い魔、悪魔などの生態ーーこれを魔法生物学というーーーの専門家ではない。


「とにかくこれを手から外したいと」

「そうです」

「引っ張って取れないとすると・・・先ずは切るか」


短刀を抜いて真ん中辺りに刃を当てて見る。すると弾力が凄く、しかもなんだかペタペタしているのですこぶる切りにくい。


「トリモチみたいだな、もしくは松脂」

「乾くとちょっとマシになるんですけどね」


刃についてしまい、アダムはくっつくのを危惧して一旦糸から刃を離した。


「うーむ、これはかなり物理的な力に強いようだ」

「火とかで切れませんか?」

「切れたら良いが燃えたらどうする」


ルナは糸を伝って火が自分に燃え移るのを想像してうへぇっとなった。そんなルナを他所にアダムはふと、蜘蛛の生態について思い出した。


「巣を作る蜘蛛は糸を再利用するそうだが」

「再利用?」

「糸を食べるんだそうだ、似たようなことは出来ないか?」

「似たようなことと言うと?」

「唾を付けてみるとか」


ルナは口に指を入れてから糸に触れてみる。すると糸はまるで雪のように溶けた。


「切れました!」


同じように手に残っていたものも指を湿らせてから触るとあっさりと手から離れた。


「まさしく蜘蛛の糸だな」

「・・・そういえば先生、アラクネ糸ってありますよね?」

「ああ、魔物・・・じゃなかった、アラクネが作る糸だな?確かにあるぞ、細くよっても強靭なものだ」


アラクネ、上半身が女性の魔物で古くから糸を作るために人間と共存してきた存在。

かつては家畜として生きていた彼女達も今は月光教の元、種族として人間たちと対等に共存している。


「あの糸と私の糸って何が違うんでしょうか?」

「恐らくは熱処理じゃないか?彼女達は糸を細くよって、それから湯に通して荒い糸に仕上げるらしい。それを束ねて糸の束にした後洗浄して紡いでアラクネ糸にする。一巻き作るのに結構掛かったはずだぞ」


ルナは少し考えると再び吐息を手に吹きかける。すると今度はどれだけ擦ってもぺたぺたしない。


「あれ?」

「変身した時の変化が治まったんじゃないか?もしかすると糸は蜘蛛の特徴を出さないと長期間は出せないのかもしれんな」


そう言われたルナは少し考える。足を出してしまうと随分と場所を取ってしまう。

集中していると足が時々動くのだが蜘蛛の足もそうだと近くに誰かが来た時に怪我をさせてしまうかもしれない。

しかし糸をちゃんと使えるようになっときたいのである。


「そうだ、目を出してみたら・・・」


変化する部分はまだルナ自身も気づいていない部分があるがその中でも部分的に変身が可能なのではと思うのが目の部分である。蜘蛛の目を開けば糸を出せるのではとルナは思い、両目を手で塞いで蜘蛛の目をイメージする。


「むー・・・ぱっ!できた」


眼をぱちぱちさせると目が開いたのがわかる。こればっかりは感覚でしかないが。

そしてその目を瞬かせながらルナは再び手に息を吹きかける。今度は魔力を意識してみるのも忘れない。


「ぺたぺたしてきた・・・!」


どんどんと先ほどと同じように手で捏ねているとペタペタが一つの球体になった。

それは伸ばさずに触ってみると粘土のようでしっとりしている。

なんとも言えない肌触りにルナはちょっと癖になりそうだった。




「よし、実技の授業はここまでだ。午後からまた座学だからなー」


しばらく夢中になって糸玉を作ったりしていたがふとアダムの授業が終わりの時間を告げたことで

我に返った。


「あー、なんか疲れたー」


ティナが溜息をつきながら大きく伸びをしている。他のメンバーもコントロールという神経を使う

練習の後だからか少し疲れた様子だ。


「ルナちゃんはどうだった?いい感じ?」

「うん、ある程度はコントロールできるようになったかも」

「魔力に関しては元から大丈夫なのいーなー・・・っとそれなに?」


ティナが目ざとくルナが作った糸玉を見つけた。


「蜘蛛の力を使って作ったの、伸ばして糸みたいにもできるよ」

「マジ?アラクネ糸みたいなやつ?だったらいいのあるよ!」


ティナがごそごそと鞄から取り出したのはティナの予備の杖だった。


「これ、なんか不格好だけど・・・杖なの?」

「元々これスピンドルだったんだよね、コマの部分が・・・あった!」


杖というよりなんだか菜箸みたいだったが、コマの部分に当たるパーツをくっつけるとまさしく

スピンドルとなった。

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