そういえば授業中でした
感動の場面ではあったが同時に授業中でもあった。アダムはこの空気を壊したくはなかったが
ルナが変身をまだ上手くコントロールできていないことが解決していないので授業に戻る事に。
「さて、それじゃあ名残惜しいけど授業再開すんぞー」
『はぁい』
各々が魔力のコントロールに戻る中、ルナは先ほどのイメージの話を考えていた。
(変身にはイメージが大事、蜘蛛なら蜘蛛の特徴、百足なら百足の特徴、なら蝙蝠は何だろう?)
まず、蜘蛛の変身。さっきは目をイメージしてやってみたら出来た。
「うーん」
目を両手で覆って蜘蛛の顔をイメージすると
「出来た!」
背中から足が生えた。そして前回の夢でやった練習と同様に足は思うままに動かせる。目のイメージをさらに深めると今度は視界を分割できる事にも気がついた。
「うわー、これはすご、す・・・」
複数の映像が頭の中に映し出され・・・
「おえー!」
気持ち悪くなった。どうやら情報を処理できる限界があるようだ。それを超えると気持ち悪くなるらしい。
「うぐぐ、これだと目を使うにも色々と制限がありそう」
そう思いながら変身を解いて元に戻ると今度は再び足をイメージする。
「おお、今度はコントロールできる!」
伸びた足は現実的なサイズでーーーそれでもかなりデカイがーーー家や部屋を壊す程ではなかった。
「後は蝙蝠の・・・翼か」
パタパタと羽根を動かすイメージで腕を動かして見たが不発だった。首を傾げながら今度は翼を広げるイメージで自分の体を抱いてから広げる。
すると
「おおっ、できた」
バサッと音を立てて広がった翼、羽ばたいてみると体は容易く宙に浮いた。何度か羽ばたくとその度に上昇し、数度目で天井に頭をぶつけた。
「ぐえっ!」
頭を押さえながら地面に着地して翼をバタつかせていると目の前にアダムが立っていた。
「お前マジで隠す気ある?」
「えっ、いや、あのその・・・」
「コントロールは必要だけどポンポン新情報出されると困るぞ」
「すみません、ホントに、もう打ち止めなんで、ホントにごめんなさい」
怒るを通り越して呆れた様子のアダムにルナは平謝りだ。しかしルナはアダムに謝りつつ変身そのものの
コントロールのコツを掴んだ気がして少しだけ嬉しかった。
「んー・・・ぱっ!」
目隠しをして、唸る。すると背中から足が伸びて、六個の目が開眼する。
「んー・・・ばさっ!」
自分の肩を抱くようにしてから両手を広げる。すると今度は翼が開いた。
「んー・・・ばたばたっ!」
地面に膝をついて膝を両手でリズミカルに叩く。すると下半身が百足に変じた。
一通りのイメージと変身のトリガーとなる行為を頭の中で紐づけたことで変身はとてもスムーズになった。
「一時はどうしてやろうかと思ったが変身のイメージがつかめたようで何よりだ」
「はい、これで思った時に思った通りに変身できるかも・・・」
「それも良いが、それぞれの体の特性についても訓練しておくべきだろう。蜘蛛と言えば糸を張る事が出来たりするはずだが・・・」
アダムにそう言われてルナは頭の中で考える。
(糸ってどこから出してたっけ?)
口?それとも・・・
「お尻?やだなぁ・・・」
キュッとした顔をしながらルナは溜息をついた。ぷひー、と口を手で覆って空気を抜くようにしていると・・・
「む?」
なんだか手がべたべたする気がする。手のひらを見てみるとなんだかちょっと手がテカっているような気が。
「むむっ?」
手をこすり合わせてみるとペタペタした感じから何やら粘土をこねているような感触。
そしてそれをさらに続けてから手を放すとうにょーん、と糸が伸びた。
「むむむっ!?」
掌同士をつなぐように伸びた糸を人差し指と親指でつまんでくるくると捩ってみるとどんどんと
見知った糸の感じになっていくではないか。
「これが糸・・・?」
まるでゴムのようにみょんみょんと伸びたり縮んだりしている。その内に乾燥して来たのか片方の手から
離れて小さなボール状に纏まった。その手についた玉をまた指でつまんで伸ばしてみると少しぺたぺたするが
手から簡単に離れてまた玉に戻る。ルナは試しにその玉がくっついている方の手を翳してみる。
玉はくっついたままだ。自然に落ちることはないだろう。それをルナは試しに風の魔法を使って
飛ばしてみることにした。
「風よ・・・!」
糸玉を飛ばす様に掌から魔力を籠めてみると糸玉はぐにょーんと伸びながら飛んでいき壁に直撃した。
すると壁にぶつかった糸は存外強靭な物でまるで太いロープを思わせるようである。
しかもそれはルナが魔力を籠めると縮む。力を緩めると伸びる。
「おお、これすごい・・・でも取れるかな・・・」
壁に貼り付いた糸玉の先端を指で突いてみると引っ張っても大丈夫なくらいにくっついている。




