クロエの魔力とティナの魔力とルナの体質
魔力を知覚できた二人からようやく解放されてルナは頬を摩りながら唸る。
「うぅぅ・・・もう」
「「ごめんね」」
そう言いつつ二人は満面の笑顔である。
両手をわきわきさせながら意味ありげに笑みを浮かべている
「もちもち」
「もちもち」
「怒るよ?」
「「・・・ごめんなさい」」
三人のやり取りを見ていたアダムは咳払いをして授業の続きに戻る事に。
「それでは魔力の知覚に目処が着いたところで今度はコントロールだな」
特にそこの二人、とアダムはティナとクロエを名指しする。
「雷の魔力も霧の魔力もどちらも他の魔力に影響を受けやすく、コントロールが難しい。特に努力が必要だ」
「「えー!」」
クロエとティナは揃って不満げな声を漏らした。
コントロールが悪いと魔法の精度や魔力の消費の増大などを招くのでできるだけ上手くコントロールできるようにならなければいけない。
「ではコントロールの練習についてだがこれは試験でやったことのある奴だぞ」
「手のひらに魔法を出して維持するやつですね」
皆はそれぞれ違う属性に適性をもっているがこの場合は火の魔法を使う事が多い。
元より火の適性がある者にとっては勢いを殺して球体になるようにコントロールすることで鍛錬することができるし、それ以外の適性のものは火を出すことそのものが出力を維持する訓練になるし、魔力を火に変換する作業がコントロールの訓練になるのだ。
「それではやってみてくれ」
アダムがそう言うとFクラスの面々は再び魔力を集中させて火の魔法を発現させる。
カティナ、マリー、ダズ、はまあまあの反応。テイロスは鍛冶で見慣れていたからか
適性がある魔法使い並みの精度を維持している。
「テイロス君すごい」
「ドワーフは鉄と火に長じるって奴ですね」
「熱くないの?」
三者三様の言葉が飛び、テイロスはちょっとだけ自慢げだ。そんな順調な四人とは別に・・・
「ね、ねえ・・・こっちまで消えそうなんだけど?」
「やっぱり霧しか出ない・・・」
「うわぁぁぁ・・・」
「こっちはこっちで酷いことに・・・!」
クロエを挟む形で並んでやっていたからかティナの火は雷を帯びたようにぱちぱちとはぜているし、クロエは掌から何故か水蒸気が立ち昇り、その影響を受けてかルナの火は油を注いだように大きくなったり戻ったりしている。
「ミスト、火のイメージはできているか?」
「できてる・・・と、おもうんですけど・・・」
実際できていないから仕方ないのだがクロエはまったく自信がないといった様子だ。
ティナはまだ火を起こせているがこちらも大体の魔力に親和性がある魔力だけに純粋に火を
起こすことができていない様子だ。
ルナはコントロールはできているのだが出力が馬鹿げているため火が大型になり、
クロエの霧に反応してしまっている。
雷はくっついて結びつく、霧は滲んで飲み込み同化させてしまう。この二つの特性が二人に自分の属性以外の
魔力の生成を困難にしてしまっているのだ。
「ふーむ、これは専門家を探すしかないな。雷はともかく霧に至っては特質までもっているし」
「えー・・・じゃあどうしたら?」
「火ではなくお前たちは自分の属性で同じことをするしかあるまい。ユピトールの場合は両手の指に雷を常に通電させるようにしてみろ」
「・・・私は?」
「ミストはそうだな、先ほど雲みたいに滞留させたことがあっただろう、あれを意識して形を変えてみたり圧縮してみたりしてみろ」
二人はその言葉を受けて再び手を翳し、ティナは両手の人差し指を突き合わせてみる。
「むーん」
「・・・むぅ」
すると今度は効果があった。ティナの指は人差し指同士をつなぐように電流が走り、クロエは掌の上に
霧のボールが出来上がっている。
「ふむ、これならコントロールはある程度できているとみていいな。しかしそう考えると属性の問題は本当に奥が深いな」
火はもっとも簡単とされている。しかしそれは一般の魔法使いの話。
目の前の二人には通用しない。アダムはそれなりに教師としてのキャリアがあったが
ここまではっきりと属性以外に問題が出ている生徒は珍しかった。
「しかし魔法に関しては使えないわけではない、十分すぎる」
ティナもクロエも特殊なだけで十分な素養を備えている。これは間違いない。
彼女達は一般の物差しでは落第者だが適性のある属性では平均以上かもしれないのだ。
アダムはこういった子をいかに導いていくか、自分が試されているかのように感じている。
「ほへー」
目の前の他人事のようにぼへーっとしているルナの事もであるが。




