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悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
ルナの新しい力
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校外学習を終えて

それからルナ達は今度こそ何の災難に遭う事もなく帰路についた。

宿場町で休養を取り、元気になったFクラス。

そんな彼らが旧館に戻った時だった。



「おお、おかえりなさい」

「ただ今戻りました、留守に何かありましたか?」

「いえ、平和なもんでしたよ」

「そうですか、それはよかった。」


アダムが自分達の留守中に旧館を管理してくれていた用務員のおじさんに声を掛ける。

二人が話し合っている間に寮で生活する者は荷物を置きに、実家から通う組は帰り支度を始めた。


「校外学習とのことでしたが実際どうでした?」

「あぁ、そうですな。まぁ色々とありましたよ、とにかく皆が無事で良かった」


アダムの顔に疲れが見えて用務員のおじさんは苦笑い。

しかしそこに全く気にとめない人物が。


「おお、ディーン先生!戻りましたか!」


校外学習を提案した張本人である。


「校長先生、報告書に関しては明日にでも送りますから・・・」

「聞きましたぞぉ!」


何をだろうか、嫌な予感しかしない。アダムはこの人物が満面の笑顔でやって来ることに一度足りとていい思い出が無い。


「山賊と指名手配されている魔法使いを打倒したとか!」

「なんで知って・・・」

「砦に捕まっていたカティナ君を助けたとか!」

「うわぁ」


アダムのげんなりした顔を他所に校長の顔は輝いている。校長は自分の若い頃にした冒険と

同じように若者の冒険譚が大好きなのだ。自分語りも大好きだし、他人の自慢話も大好きという

一見するとただの話好きのようなものだがその根底には「若者ももっと冒険すべき」という

困った考えがある。


「これは賞賛されてしかるべきじゃないかね!」

「校長、それはそうかもしれませんがね」


アダムは興奮する校長を押し留めて言う。


「そうかもしれません、あの子たちは頑張った・・・ですがね」

「どうしたのかね?」

「あれはかなり厳しい戦いでしたよ、あの子たちもケガをしました。それだけじゃない、下手をすれば死んでいたかもしれない戦いだった」


アダムは冷静にそう答える。校長はその言葉を受けてようやく今回の活躍の実態がわかってきたようだった。


「捕まっていたアインザッツも一足遅かったら人買いに売られていたかもしれなかった」

「ふぅむ、まさかそれほど緊迫しているとは思わんかったな」

「下見する暇もなかったですからね」

「むむむ、そうか・・・」


おそらく校長は本心では「そういう冒険が若者を強くするのでは?」と思っているのだろう。

しかしながら彼も教育者の端くれ、アダムが言いたい事も理解できている。


「そうか、大変じゃったのう。ワシが大人気なかったようじゃ」

「魔法を使えるということは大きな事ですがそれ以上にあの子たちは未熟です。命がけをやってのけるにはあまりにも若すぎる」

「落ち着いて考えてみると確かに良く勝てたもんじゃ」

「落ち着かなくても心配はしてあげてくださいよ・・・」


呆れた様子のアダムに校長は少しばつが悪そうにしつつも不満を漏らす。


「だって大金星じゃし・・・犠牲者も出てないとはきいてたし・・・」

「正直、エトナ―・・・聖人の気配が近づいてなかったらどうなっていたか。それ以外によからぬ気配も感じていたから気が気じゃなかったんですよ」

「むう・・・、そうなると別の問題があるのう」

「別の問題?」


校長は顎に伸びる白いひげを触りながら言う。先ほどの浮かれた態度とは別の老練な魔法使いの顔だ。


「何故それほどの使い手が国境にいたのか、じゃ」

「・・・」

「フラウステッド君と言ったかの、その子の関係か?」

「いいえ、それはないでしょう。連れ去るにしても彼女自身はもちろん周囲が大変な騒ぎを起こすでしょうし」


悪魔化の能力を得た今の彼女を連れ去るのは早々できる事ではないだろう。

それに彼女は悪魔でも手を焼く魔神と大悪魔も恐れる聖人の庇護下にあるのだ。

誰でもわかる厄ネタを拾いたがる奴はまずいない。


「遭遇自体は偶然だと思いますよ。捕まった魔法使いが如何様な事をしていて、どのような組織に属し、どのような目的を持っていたか分かれば話は変わってきますが」

「ふーむ、君でもさすがにわからんか」

「情報がなさすぎるというのが本音ですね、それでいて関係がないという方向でいて欲しいというのもある」


とはいえ、魔法使いというのは度し難い生き物でもある。

人界に存在する生身の悪魔という冗談のような奇跡が表沙汰になればとんでもないことになる。


「あの子の事だけはどうか口外無用でお願いしますよ。ずっとは無理だったとしても、せめて学生の内だけでもあの子には普通の生活というのを続けさせてやりたい」

「そうじゃのう、確かに・・・あの子に関しては許す限りはそうしてやりたいのう」


一部の先生たちの中だけでの話ではあるが表向きでは彼女は今、悪魔化ができる生徒という立ち位置だ。

それを守って、生徒でいさせてあげる努力をしなければあの子はあっという間に

何も知らぬまに常識の外の存在として世間に認知されてしまうのだ。


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