2.どうしましょう?-きみが前面に出て交渉したまえ-
全48話予定です
私は挿絵は描けませんが曲ならなんとか作れたりします
という訳で、現在連載しているこの小説に曲を付けてみました
曲名は小説と同名の「レイドライバー」です
もしよろしければ一度聴いてみてください
▼Youtubeのリンクはこちら▼
https://youtu.be/N4ueViHp3SM
ちなみに他にもオリジナル曲をアップしています。もしもご興味がありましたら、ゼヒ聴いてみてください
▼以下が私のYoutubeチャンネルになります▼
https://youtube.com/@JohnD_72
曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
一方のカズである。
カズはずっとアルカテイルの作戦指揮所のなかにある別室に基地司令と共に詰めていた。その別室とは、作戦指揮所と隔離された部屋になっていて、こちらが回線を切れば指揮所側に会話が漏れる心配はない。それは現在、カズがこの地で作戦行動しているから作らせた、というのもある。それ以前に、元々この隔離室は作られる予定でいたのだ。それは何もカズだけの為に存在している訳ではない、基地司令だって秘密の会議というものが存在していておかしくないのだから。
そしてここは[あちら側]と回線を結ぶことが出来るようになっている。そう、軍と政府の上層部だ。同盟連合の意思決定機関といっていいその者たちと回線が繋げられるのは、やはりアルカテイル基地の中ではここだけだ。アルカテイル基地をほぼ無傷で陥落させてからというもの、基地にはいろいろな改装を施してきたが、その最たるものがこの部屋の存在である。
「どうしましょう?」
カズが語り掛ける。
向こうは、
「きみが前面に出て交渉したまえ。今回の作戦はきみに任せたのだし、きみなら上手くやってくれると信じている。それだけの貢献を認めている表れだと受け取ってくれればいい」
そんな声が向こう側から聞こえる。その意見に対して誰も反対しないのは、統制がとれいるのか、それともそれ程にカズを信頼しているのか。
それは間違いなく両方であろう。軍も政府もより良い結果を望んでいるし、その意思を相手が汲み取れると信じているのだ。そしてその相手はカズである。彼はそれだけの信頼を勝ち取るだけの実績を積み上げてきたし、これからもそれは続くと彼らは信じたいのである。
「ありがとうございます、と感謝を。それでは回線はそのまま繋げておきますので、もし何かありましたら直ぐに割り込みをお願いします」
と続けてから、
「ゼロフォー、イリーナ中尉に繋いで二国間協議がしたいと伝えてくれる?」
と続けた。その問いに反論するゼロフォーではない。[了解です、マスター]との声と共にしばらくしてイリーナがまず回線に出た。
「イリーナ中尉、この前はいろいろと」
と言ってクスッと笑い声を入れる。もちろん、わざとだ。
だが、イリーナには効果は絶大である。
「大尉……今は中佐殿でありますか、その節はとてもお世話になりました。今すぐお繋ぎしますので」
声のトーンが明らかに高い。鈍感な人でも[あぁ、相手は動揺しているんだな]と感じるくらいである。
しばらくして向こうから暗号通信を呼びかけられた。
第三者の存在が危惧される場面で相手とサシで話がしたい場合、通常は暗号を使う。それでなくとも無線通信も暗号化して送っているのだから難しい話ではない筈である。
ここで一般的なやり方として使用されるのは[共通鍵暗号]と[公開鍵暗号]という二つの暗号方式を組み合わせである。
まず[共通鍵暗号]だが、暗号化と復号に同じ鍵(共通鍵)を使う暗号方式である。特徴としては暗号化と復号の処理が軽いこと。そのため暗号通信では、実際に相手同士とのやりとりするデータの暗号化と復号にこの共通鍵暗号を利用する。
ただ、共通鍵暗号を使うには送信側と受信側の両者が、あらかじめ誰にも知られていない同じ鍵を持っていなければいけない。だが、あらかじめ通信相手を特定していない通信で両者が通信前に同じ鍵を持つことは原理的には不可能である。とはいえ、鍵をそのまま信号として送ると肝心の鍵が第三者に盗まれる恐れがあるので危険である。
全48話予定です