#2
目を開けると目の前にキレイな女の人がいた。
心配そうに俺の顔を見てくる。
「大丈夫ですか?」
少し低い声で聞いてくる。
「・・・はい、大丈夫です・・・」
「良かった・・・・」
女の人は胸を撫で下ろす。そして遠慮がちに聞いてくる。
「ねぇキミあそこに何か見える?」
女の人が指差すほうを見ると、
髪の毛を後ろで結っている男の人が居た。
「はい・・・・男の人が居ますね・・・それが何か?」
「やっぱり・・・幽霊見たことある?」
「・・・・ないと思います・・」
変な質問ばかりしてくる女の人は唸りながら何か考え事をしている。
「蓮!こっちに来て~」
女の人が誰かの名前を呼ぶと、さっきの男の人が近づいてきた。
近くで見るとかなりのイケメンさんだ。
「どうかしたのか?」
「それが・・・・あなたの姿見えるのに・・・霊が見えないの」
「はぁ?何いってんだ?俺が見えるのに霊がみえないだと
そんなのありえないだろ」
「そうよね・・・・・」
2人はこちらをチラチラ見ながらこそこそと話している。
5分くらい経っただろうか?女の人が問いかけてきた。
「昔・・・事故とかあった?」
「事故?・・・・」
香夜は記憶をたどる、香夜の記憶は5歳から始まる。
5歳のときに事故に合い頭を強く打ったらしく記憶喪失になった。
記憶喪失のことを言うと、2人はお互いの顔を見た。
「ちょっと良いかしら・・・」
そこでまた香夜は気を失った。
「蓮この子が言ったことが本当なら、そのときに霊視の力も失ったのかも
・・・・失ったじゃないか・・・封印みたいな感じかな?」
「だろうな・・・・俺は人間に見えやすいからあいつにも見えたんだろ
どうする?お前の霊力を流して込んで共鳴させればアイツに霊視の力と
霊力が蘇るんじゃないのか?」
蓮がそう言うと女の人――摩咲 涼――は暗い顔で言った。
「そうなんだけど・・・あの子の封印されている霊力は
成長すれば多分私より大きくなる・・さっき術をあの子に使ったとき
気が付いたの、今封印を解くとこの山にいる悪霊があのことの事を襲う」
「じゃあアイツの力をそのままにして置くのか?」
「・・・・・うん・・・」
消えそうな声で涼は答える。
「・・・はぁ、涼・・・お前だって気が付いているだろ?
さっき使った術のせいで封印が解けかけていて微量の霊力が漏れている
封印を解くにしろ解かないにしろアイツは絶対襲われる」
「・・・・あの子に術を教える人が居れば、ココで封印とけるのに」
溜息を付きながら涼は呟く。
「お前が教えれば良いだろ?」
「・・・・無理よ・・・私は教育者に向いていない」
蓮はイラっときたのか涼の頭を叩き怒鳴る
「なんでお前は直ぐに無理とか言うんだよ!昔からそうだよな
それより教育者に向いていないだぁ?ふざけんな!
お前の術で封印が解け掛けてるんだろ、涼お前が責任を取れ!
お前なら術なんか使わなくても、普通に受け止められただろ?
なのにお前は術を使って助けた、楽な方を選らんだ罰だ」
蓮が言い切ると、涼は涙目になっていた。
「・・・・・ッ!」
「そこまで言わなくても良いでしょ!私だって悩んだ結果がそれだったの!
術を使ったのは今日私がアノ日だからよ!」
涼は若干叫びながら言い切る。蓮は涼の最後の言葉で顔を赤くしていた。
「・・・・悪かった・・・言いすぎたな・・・」
「良いわ私もこの性格嫌いなの、この消極的な性格が。
それとこの子の教育はやります、ただしアナタも手伝うのよ連」
涼の顔はさっきまでとは違い、目に強い意志の光が光っている。
蓮は涼にわかったと言い、香夜を起こした。
「あれ・・・・俺・・・」
目を擦りながら香夜は起き上がる。
「ちょっと失礼」
涼はそう言って香夜の胸に手を当てる。突然のことに驚き後ろに下がろうとするが
蓮が香夜の体を掴んで固定する。
涼は香夜の体に力を流し込み、力を張り巡らせる。
最後に香夜の魂と共鳴させ香夜の封印を解く。
一瞬香夜の体が輝き香夜の中から強い力が発せられる。
「え?何したんですか?」
「アナタには力があるの・・・・陰陽師としての・・・」
変な人だと思っていたがココまでとは思っていなかった。
力?陰陽師?何言ってんの?
「こいつの頭はおかしくねぇからな」
「蓮!余計なことは言わないでよ!信じさせる為にちょっと
消えてもらうわよ」
「りょーかいっと」
涼が指を鳴らすとさっきまで後ろにいた蓮が消えた
「は?」
「信じた?」
否定しようにも、人間がいきなり消えるなんてありえない
「彼は私の式神なの」
そう言ってまた指を鳴らす、すると蓮が何処からともなく現れる。
「信じたか?」
「・・・・・・・・・・・はい」
信じたくはないがココまでやられては信じるしかない。
「じゃあまずは自己紹介ね私は摩咲 涼でこっちのが蓮よろしくね。
掻い摘んで説明するとアナタは事故で霊力を封印されていたの
それを私が解いた。アナタの力は成長すると私より大きくなるの
そんな力を悪霊がほって置くわけない、それで私達がアナタに力の使い方を教える
良い?コレに拒否権なんて無いのアナタが死にたいなら止めない
生きたいなら私に従ってね、それよりあれ見える?」
涼の指差す先にはお爺さんと猫?がいた。
「お爺さんと猫みたいなのがいます」
「あれが悪霊で隣にいるのが妖魔たぶんアナタの霊力を感じて
近づいて来たんじゃないかしら?」
涼は立ち上がり腰のバックから文字の書かれている札を取り出し
悪霊と妖魔に向けて投げる。普通は髪なんて投げても変な方向に飛んでいくが
涼の投げた札は吸い込まれるように相手に向かって飛んでいく。
『浄』と涼が言うと札が光り当たった悪霊達は叫び消えていく。
目の前の現象に付いて行けなかった。
涼は振り向きニッコリ笑う。
「アノ程度ならお前の力を当てれば終ったのに何で『浄』の術を使ったんだ?」
「何でってあの術少ない力で派手だからこの子に見せてあげようかなって思って
そんなことよりまだ名前聞いてなかったわね」
「進藤香夜です」
「香夜くんね改めてよろしくね」
「よろしくお願いします!」
先ほどとは違い香夜の目に疑いの光は無く今は
期待と興奮で目を輝かしている。
「そうだこれ肌身離さず持っていてね」
涼が渡してきたのはペンダントだった。サイズは小さく
円の中に五芒星があり星の中心に宝石があしらわれている物だった。
「コレは多少の攻撃なら跳ね返すように私の力を込めた物です。
本当はこれ霊媒体質の人に付けて貰う物なんですけど
香夜君はまだ身を護る術がないのでコレを付けていて貰います」
ペンダントをつけると薄い膜みたいなのが香夜の体を包む。
「それと香夜君は何処に住んでるの?」
「H県です」
「私と同じね、どこら辺?」
「この山の麓の幸島市です」
「まぁ同じ市ね」
涼も同じ町に住んでいるらしい
「もしかして私立の幸島高校に入学するの?」
「そうです、今年から一人が暮らしなんです」
「家近いかもしれないわね、それより蓮いつまで霊体でいるつもりなの?
実体化しないの?」
「して良いのか?」
そう言って蓮は実体化する。実体化すると蓮から感じていた力が弱くなった。
「それよりずっと気になっていたんだけど、何で落ちてきたの?」
・・・・・・・忘れていた、ヤバイ今何時?
「ああああああの!今何時ですか?」
相当焦っているのか凄い慌てている。
「4時よどうしたのてか質問に答えてよ」
「俺山に着た皆とはぐれて道に迷ってさ迷っていたら落っこちたんです。
道に迷ったのは2時なんです!」
道に迷ってから既に2時間経っている。警察に通報されているかも知れない
「そうなんですか・・・・でもこの先に山の出口ありますよ?」
「え?」
「それといざとなった一緒に来た人たちや警察の記憶を
術で改ざんすることも出来ますし」
涼の言うほうを見ると人が大勢いた。
距離がかなり離れているため豆粒みたいだが
そのあと涼に頼んで皆の記憶を改ざんしてもらった。
そのあと明日ココに来てと言って渡された紙には香夜の
アパートから少し離れた駅に近いマンションの住所が書いてあった。
「近いですね徒歩15分ですよ」
「本当?じゃあ色々と教えられるわね」
そう言って涼は札を取り出し『移』と唱えると
消えた、最後に明日絶対に来てねと叫んでいた