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Leaver and Stayer Online  作者: 星海 しいふ
第1章 青の咆哮、結ぶ誓い
9/27

大抵のことは権力のゴリ押しでなんとかなる

どうでもいいけど、これ書いてる日の午前0時に某アーティストさんの新曲「へび」が出て、なんか運命感じました。ちなみに、今回の新曲は活動報告で考察してたりする。


「そこの君、アンフィニッシュドナーガをあのように倒すとは、何者だ?」


 プレイヤーネームが表示されてない。NPCか?

 いやしかし、猫か、或いは爬虫類のような細長い瞳孔の目。二股にわかれた舌。端々から感じられる人ではない要素。そして蛇系モンスターが多く出現するこの環境(エリア)


 モンスターじゃね?


 いやいや、でも遭遇(エンカウント)の表示が出てないってことはモンスターではないのか?でもウィンドウリングに干渉できるみたいな能力を持つモンスターの可能性もある。


 NPCの可能性9割、モンスターの可能性1割ってところか。後者なら普通に死ぬ。


「何者って言われても……レベル20にも満たない駆け出し冒険者ですけど。いや、さっきレベル上がってたし20は超えたか?」


 後でステータスを確認しておかなければ。


「何?レベル20未満だと?確かに弱い魔法しか使わないとは思っていたが、まさかそんなレベルでアンフィニッシュドナーガを、しかも1人で討伐したというのか」

「そうだな」


 何かフラグ踏んだか?低レベルで高レベルモンスターを倒すと発生するクエストとか、そんなところだろうか。


 てか、弱い魔法しか使わないと思っていたがって、こいつ俺が死にかけながら戦ってるの見てたのかよ。手助けとかしてくれればいいのに。


「相談があるのだが」


[ユニーククエスト:獣人国(ビーストランド)の守り人を開始しますか?]

[YES] [NO]


「私たちの国、獣人国(ビーストランド)で騎士団長をやってくれないか?」


 びぃすとらんど?きしだんちょー?ちょっと何言ってるかわかんないですねー。

 これかなりヤバいユニークでは?


 このゲーム、現在確認されている人間以外の人類、亜人はハーピィとゾンビだけのはずだ。事前にちゃんと調べた。そもそも、他国の存在は確認されてないはず。つまり俺はユニーククエスト、新種族、他国の存在という3つの情報(爆弾)を抱えているわけだ。

 俺の平穏なゲームライフが様々なクランから情報提供を求められ、追いかけ回される悪夢に……いや、普通に持ってる情報を公開すればいい話か。


 俺は情報の独占とかそういうのは気にしない。ネタバレは好まないので、むやみやたらに情報をひけらかすことはしないが、情報提供はすべきだ。


「てか、騎士団長?レベル20成り立ての俺が?」

「いや、素質があるという話だ。今の実力で騎士団長?はっ、無理だな」


 鼻で笑われた。

 あー、なんとなくこのクエストの内容が見えてきたぞ。


「要するに、騎士団長の素質があるから特訓して強くなれってことか?」

「その通りだ。話が早くて助かる」


 特訓クエストか。縛りプレイ強制するタイプだったら泣く。


「ここでは落ち着いて話すこともできない。とりあえず転移するぞ。ファルパロッサ・ニフリーラ」


 地面に魔法陣が浮かび、光に包まれる。そして、屋内に転移した。


「ここが私の屋敷だ」


 屋敷……


「そういえば自己紹介をしていなかったな。私はランシュ・B・シュランゲ。12ある貴族家の1つ、サナキ家の当主だ」

「あー、俺はヒセン。よろしく」


 屋敷って時点でそれなりの身分だとは思っていたが、貴族かよ。しかも当主って、結構すごい人なのでは?

 だが、1つ疑問がある。


「サナキ家当主なのに、姓はサナキじゃないんだな」

「まぁ、色々あるんだ」


 色々、ね。これ深くつっこむと好感度下がるやつだな。こういうのはある程度好感度が上がったときに向こうから話すのを待つか、それとなく聞いてみるのが一番いい。


「で、特訓って具体的には何をすればいいんだ?」

「特訓の前に、まずはこの国の滞在を王に認めてもらう必要がある。現状、君は不法入国者だからな」


 待て待て俺犯罪者じゃねぇか。


「ついでに言うとここは貴族街、一般人は入ることが許されない場所だ」


 処刑とかされませんかねぇ?いや、死んでもリスポーンするけど。


「それ、大丈夫なのか?」

「大丈夫だ。貴族パワーで何とかする」


 権力の濫用、これが身分の力か。何とか()()、ではなく何とか()()ってのが少し不安だが。


「今日の午後8時から貴族家当主と王による会議がある。そこで君の滞在を認めてもらう。だから、君にも出席してもらうぞ」


[現在時刻:18時52分]


「あー、じゃあそれまでログア……じゃない。寝てていいか?」


 この世界(ゲーム)では、ログアウトを冒険者の睡眠と捉えているらしい。


「わかった。使っていない部屋があったはずだ」






 リビングには誰もいない。河野家はゲーマー一家である。父も母も姉も弟もプロゲーマーで、家族で唯一俺だけが普通の高校生だ。故に、リビングに誰もいないことも多い。


「攻略Wikiに載ってない。やっぱ未発見のユニークか?」


 レンジで温めたカレーを口に入れつつ、スマホを操作する。


 ユニーククエスト。通常のクエストと違い、特殊な条件の達成で発生する貴重なもので、再度発生しないものや、同じプレイヤーが複数回受注できないものがほとんど。ユニーククエストの報酬は、そこでしか手に入らないものであったり、同じものが存在しない強力な魔法やスキル、アイテムである場合が多い。らしい。


「まぁ、後で掲示板とかで情報流しとくか」


 ユニーククエストは貴重なもの、報酬も価値のあるものばかり。何かの拍子に情報が漏れて、攻略クランやら考察クランやらに追いかけ回されるくらいなら、最初から公開した方がマシだ。

 俺は特別な存在になるより、快適にゲームを楽しんで攻略に貢献できればそれでいいのだ。

ランシュ・B・シュランゲ、当初の予定ではエキドナという名前の予定でしたが、名前を全部神話から持ってくる必要もないかなと思いました。

彼女は現代を生き、されど古代にルーツを持つ者。故にこの名前です。


ちなみに、ユニーククエスト:獣人国の守り人の発生条件は推奨レベルとの差が50以上のモンスターをソロ討伐することです。発生させた場所が違っていたら、出会っていたのはランシュじゃなかったし、主人公はいい乱数引いてる……かな?いいとも悪いとも捉えられる特殊な道に入ってます。そもそもユニーククエスト受注してる時点で特殊な道なんですけどね。


ファルパロッサ・ニフリーラ

ファルパロッサは自宅に転移する転移魔法、ニフリーラは複数人を対象とする派生魔法につけられます。ファルパロッサ・改みたいな。


特別な存在になるより快適にゲームを楽しんで攻略に貢献できればそれでいい。主人公はそういう人間。ガチ勢に追われるくらいならパッと全部吐きます。

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