杖は打撃武器の一種
一応言っておきますけど、杖は打撃武器じゃないです。どっかの阿呆が打撃武器として使ってるだけです。
「ここが最初の町か」
[原点都市スタルテス]
「よし、じゃあ早速──」
とりあえず戦いながら魔法を試してみようと思っていると、ゲームウィンドウが現れた。
「ん?何これ、取説?うわー気持ち悪いくらい詳細にこのゲームの説明してやがるよ」
まぁ攻略wikiで大体のシステムは予習済みなので、これは無視だな。
「まずはステータスでも確認しておくか」
──ステータス──
ヒセン Lv.1
○種族
人間
○主職業/副職業
魔法使い/なし
○所属クラン
無所属
○パラメータ
パラメータポイント:5
体力:20
魔力:40
筋力:10
防御:10(55)
速度:5
持久:5
技術:10
幸運:10
才能:10
友好:10
○装備
武器(右):スールの杖
武器(左):魔導書「氷魔法」
頭:なし
体:冒険者の服(防御+20)
脚:冒険者のズボン(防御+20)
靴:冒険者の靴(防御+5)
アクセサリー:リスポーンリング
アクセサリー:ウィンドウリング
アクセサリー:なし
○スキル
なし
○魔法
バスラ
セギ
チリド
ニヒミ
魔法付与:冷雪
─────────
「あれ、パラメータポイントが入ってる」
このゲームでは、レベルアップごとにパラメータポイントを獲得し、それを割り振ることで自身を強化できる。
「んー、ソロだし速度に5ポイント入れとくか」
ヘイトを受け持ってくれるタンクがいない以上、敵の攻撃を躱す必要があるため、速度値も上げていかなければならない。
とりあえず門からスタルテスの外に出る。
この魔鳥猖獗の大草原はチュートリアル用のマップで、VRMMOやVRゲーム自体をやったことがない人が、ゲームに慣れるために用意されている。
[チュートリアルクエストを開始しますか?]
[YES] [NO]
「NOだな。めんどくさいし」
100mほど歩けば、すぐに森まで辿り着いた。
[豊穣の輪状森林]
「魔鳥猖獗の大草原はチュートリアル用のマップなので、ここが実質最初のエリアってわけか。野菜が取れるらしいし、ある程度採っ──」
「ギャギャッ!」
左の方から何かが飛びかかってくる。ゴブリンだ。
斧を振りかぶって飛んできたゴブリンの攻撃を、後ろに退いて回避する。
[遭遇:ゴブリン]
「とりあえず、魔法の威力検証だな。バスラ!」
右手に持った杖をゴブリンの方に向け、魔法の名前を唱える。すると、杖の先から放たれた閃光が、ゴブリンの顔を吹き飛ばす。
このゲームにおける魔法の発動条件は魔法名の詠唱と、杖または魔導書の装備だ。長ったらしい詠唱文は魔法によってあるものとないものがあり、詠唱はあくまでも威力に補正がかかるだけのものがほとんどで、必須のものは少ないそうだ。
顔の吹き飛んだゴブリンは、もちろんポリゴンと化し、素材を落として消えた。
「おお、ヘッドショットとはいえ一撃か。ビームを出すだけの単純な魔法だけど、なかなか使いやすい」
使用MPも10だけ。これはかなりいい。
「落としたのは牙と斧か」
斧の方は武器として使えそうだ。
バシュン、と何かが跳ねる音がする。
「あ、スライム」
[遭遇:スライム]
こちらに飛びかかってきたスライムに、咄嗟にゴブリンの石斧を投げつける。
石斧はスライムに命中し、一撃で倒せた。
「こんな威力の低そうな石斧でも一撃って、どんだけHP少ないんだよ」
そう呟きながら、スライムの落とした素材と投げた斧を拾い上げ──
「って、もう耐久値半分ちょい!?さっき拾ったときの耐久から考えて、これ5回くらいで壊れるんじゃないか?」
脆いのはモンスターだけではないらしい。
「これ、ゴブリンのHPが低すぎてどの魔法でも一撃とかないよな?」
30分くらい植物を採取しつつ、モンスターを倒していて、魔法も一通り試し終わった。
まずニヒミ。雪玉をぶつけるだけで、殺傷能力がほとんどなかった。恐らく目眩まし用の魔法だろう。
次にチリド。氷の弾を飛ばす魔法で、威力も申し分ないが、バスラの方が強い。というか、たぶんバスラは貫通性能が高い。
そして魔法付与:冷雪。武器に氷属性を付与するものだが、ゴブリンの石斧ではDPSに欠ける。スリップダメージを与える状態異常:降霜は、一撃で倒せるゴブリンやスライムには回りくどいやり方になる。
「それに、これMPを30も使うんだよなぁ」
今俺のMP上限は40、一度使ってしまえばMPは半分以下になる。
「現状、消費するMPのわりに恩恵が少ないから、バスラでいいんだよなぁ」
ちなみに、セギは──
「ギャギャギャ!」
「うおっ、セギ!」
ゴブリンが背後から飛びかかってきた。後ろからキィン、と斧と魔力の盾がぶつかる音が聞こえる。
セギは防御魔法だ。使用MPは10。つまりMPは30残る。もしMPが全快しているなら、だが。
[MP:6/40]
魔法の検証でMPが減っていて、魔法を使えない。
MPは2秒につき1回復する。バスラを撃てるまであと8秒。
振り向くと、盾に弾かれて空中で体勢を崩したゴブリンがいる。
「隙あり!」
「ギッ」
とりあえず右手に持っていた杖でゴブリンの顔をぶん殴る。小さな体が勢いよく飛んでいき、木にぶつかった。
背中を強打したゴブリンはそのままポリゴンとなって散った。
「手斧じゃダメージが低くすぎて5回クリティカルを叩き込んでようやく倒せたゴブリンが木にぶつかったとはいえ一撃。これ、杖に魔法付与すればもっと強力になるんじゃないか?」
まぁ、ゴブリンやスライムはバスラで一撃なので、わざわざ魔法付与した杖で殴る必要はないのだが。
「野菜も結構採れたし、レベルも9まで上がったし、もうそろそろエリアボスを──」
「シャーッ!!」
バキン!
右後方から飛びかかってきた蛇の牙を、持っていた石斧でパリィする。
「チッ、ゴブリンの石斧が一撃で壊れた。こいつは手強そうだな!」
作者はMMOとかやったことないので、情報ソースが某半裸鳥頭の作品くらいなのです。RPGもほとんどやったことない。これで何でVRゲーム書こうと思ったのか不思議。
作者「何でソロなのに魔法職なんだよ」
主人公「そういう気分だったんだよ」
作者「描写が大変じゃろがぁぁぁぁぁ!!!」
※魔法職は物理職に比べて若干スキルを習得しづらいので回避スキルなども序盤でほいほい覚えさせられない。
主人公くんが着ている冒険者の装備は軽く動きやすい変わりに防御力が低く、キャラメイク時に選択できる防具の中でも2番目に安いので所持金が8000スタートです(普通はだいたい5000くらい)
一番安いのは貧民の装備(貧民のボロ服,貧民のボロズボン)
ちなみに聖職者系のジョブを選択すると問答無用で聖職者の装備(聖職者の祭服(体脚共通),十字架のネックレス(アクセサリー))と黒の革靴が選択され、所持金は「欲望は毒である」みたいな感じの教えに基づき一文無しでスタートします。
更新ペースは月曜、木曜、土曜に更新にしようと思います。