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Leaver and Stayer Online  作者: 星海 しいふ
第1章 青の咆哮、結ぶ誓い
18/28

ギルドというより怪しい宗教団体

SAOダンジョンさぁ……難易度上げて無課金勢を攻撃するのやめましょうよ……

進化の導きを下さい

(SAO初日に書いてます)


「これで手続きは終了となります。こちらが会員証です」


 手続きを終えた俺たちは、ギルドを出よ──


「ねぇ君、錬金術興味ない?」

「ちょ、抜け駆けはズルいぞ。俺らと一緒に魔法の研究しようぜ」

「占いやるー?」

「魔道具作りに興味は?ありますよね?」

「我らと共に深淵の境地へ……」

「この世界に動物愛護を!」

「この魔導書買ってけよ」

「うわ黒フードじゃん。こんな怪しい奴ら無視していいからさ、私たちと呪術やらない?」

「何を言うか、我らは怪しい者ではない。ただ世界の闇を──」

「呪術師てめぇらまた生け贄に使う気だろ。そんなことより魔法を料理に──」

「うちのクラン入りません?」

「心外だなぁ。ただ目玉1つ貸して貰おうと──」

「お前なに売ろうとしてんだ。それ全部自爆系の──」

「エンチャントは素晴らしいぞ。若人よ、エンチャントは素晴らしいぞ」

「結局バフが正義なのよ」

「魔法でサトウキビをイモムシに変える研究してるんだけど──」

「──呪い殺すよ」

「──上等だやってみろ!」

「ねぇ私が作ったホラゲーみたいな悲鳴を発する羊蜥蜴猫キメラバード改三ちゃんどこ行ったか知らない?」

「薩摩芋を爆発させる魔法作ってみたんだけど」

「あ、やべ硫酸溢した」

「ギャァァァァァァァ!!」

「あ、キメラバード」

「何の騒ぎ?新しい生け贄入荷したの?」

「新規プレイヤーを生け贄って言うな」

「どんな物質もヌメヌメした感触になる魔法──」

「葉っぱを引きちぎったら自傷ダメージ受ける魔法──」

「新発売、踏めば踏むほど繁殖する汚い雑草──」

「全力疾走アルティメット焼き鳥魔法──」

「待って何そのパワーワード、気になるんだけど」

「とりま洗脳系の魔法──」

「誰か睡眠薬──」

「麻酔銃持って──」


 ギルドに入ったときから視線がこちらに集まっていたが、何というか、この空間は狂気に満ちている。

 あちこちで怪しすぎる実験が行われ、危険の匂いしかしない勧誘が……何だこれ、ジャックオーランタンみたいにくり貫かれたリンゴ?


「あ、喋る無限増殖リンゴちゃん、ここにいたんだね。君はまだ未完成なんだから勝手に動いちゃだめでしょ」

「ユルジデェェェ、イダィィィ」

「うん。良い子良い子」


 何も聞かなかったし、何も見なかった。そういうことにしよう。


「何というか、ここは……」

「控えめに言って、異常者の集まり?」

「そ、そこまでは言わないが……退散しよう」


 真面な人もまぁいなかったわけではないが、それ以上に個性の強い人が多すぎた。普通に恐怖しか感じない。


「はぁ、外の空気がすごく新鮮に感じる」

「そうだ、せっかくここまで来たんだし、少し寄って行きたい場所がある」






「本当にこっちで合ってるのか?」

「ああ、間違いない。何度か来ているからな。ここを左に曲がる」

「何この極端に細い路地。通れんのかよ」


 ランシュに連れられ、メインストリートから離れた裏路地を移動していた。


「ここだ」

「マジで?」


 そこは、極細路地の途中にある扉だった。


 ランシュがドアを開けて中に入る。俺もランシュに続き、中に入ってみる。


「いらっしゃい」


 少し無愛想な声色で言われる。


「ここは?」

「様々な毒を取り扱う専門店だ。暗殺者だったり、諜報員だったりも利用するような店だから、店長は不用意に客と関わらないし、無駄な詮索をしないのがいいところだ」


 結構物騒な店だな。


「あー!ランシュちゃんだ!久しぶり!」


 天真爛漫な声が店内に響く。


「久しぶりだな、ナイアス。何か良い毒あるか?」

「あ、毒じゃないけどこれがあるよ」


 ひょいっとナイアスは1つの瓶をランシュに投げた。


「不用意に客と関わらないんじゃなかったのかよ」

「店長は、だ。店員もそうとは言ってない。踏み込みすぎると店長が止めるが、ナイアスは好奇心旺盛でな。まぁ、これでもナイアスは優秀だ」

「君、初めましてだねぇ。私ナイアス。よろしく。君の名前は?冒険者さん?毒関連の武器とか持ってない?冒険者ってほんとに生き返るの?職業は?なんでランシュちゃんといるの?あ、そうだ。友好の印にカンピロバクター・コリをあげよう」

「質問が多……いや待て、カンピロバクターって鶏肉とかについてる菌だろ」


 なんてものを渡そうとするんだ。


「ナイアス、この瓶は?」

「ん?あぁ、それね。結核菌」

「けっ……軽いノリで投げていいものではないだろ」

「なぁ、こいつ本当に優秀か?」


 毒やら菌やらの扱いが随分軽いというかテキトーというか。


「使ってる毒は前と変わってない?そっちの冒険者さんは?」

「私の使っているものに変化はない。ヒセンはアンフィニッシュドナーガの素材を使ったため武器に毒の性能がある」

「アンフィ……なら作るときに他の素材も混ぜなかった?何混ぜた?」

「あ、ポイズンサーペントの牙を──」

「じゃあ出血毒だね。ランシュちゃんが使ってる銀蛇の細剣(トライトキシン)の第二の毒と同じやつだよ。併用すれば効果は強まるから。じゃあ、毒は普段通りでいい?」


 なんか、急にちゃんと仕事し始めたな。


「いや、私の毒と重複しても問題ないものにしてくれ」

「そうだね……これとかは?恒常性を弱める毒だから熱とか冷気とかと相性いいよ。あとはこれ、昨日作った免疫毒。自然免疫系を過剰反応させて意図的にパイロトーシスを起こすんだよ」


 このゲーム、NPCの偏差値高くない?


「じゃあそれで」

「はいはーい。2つで45万ね」

「高っ」

「思ったより安かったな」


 ぶ、ブルジョワだ……

ちょくちょく科学的なお話が出てきますが、医療関連と料理関連、鍛冶関連とかは異様なほどに発達してます。NPCたちが自力でたどり着いたとは思えないほど、異様に。ちなみになんですけど、トランジスタシスって医学的にも使われるようになったけど、エヴァの造語らしいですね。


DenQ

実害が出るホラーアイテムを作るヤバイ人。読み方はでんきゅう。キメラバードは羊の顔に鳥の嘴にトカゲの体に猫の尻尾にコウモリの翼にドラゴンの爪に狼の牙に人の声という気色悪い見た目。戦闘モードを起動すると即死級の猛毒ガスを周囲に撒き散らして味方共々殲滅する問題児。殺人リンゴは言語機能を発達させたらしく、ユルジデェェェ、イダィィィ、タスゲテェェェェェ、ヤメテェェ、コロザナイデェェなどなど、数種類の鳴き声を使い分けるらしい。運営側のブラックリストに入っている。絶対に再登場はさせない。


全力疾走アルティメット焼き鳥魔法は、文字通り全力疾走してアルティメット焼き鳥を作る魔法です(は?)

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