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Leaver and Stayer Online  作者: 星海 しいふ
第1章 青の咆哮、結ぶ誓い
16/28

まるでゴキブリ

こんなサブタイでいいのか……


 俺が通っているのはバーチャル高校、VR上にある高校だが、授業時間はしっかり決まっているタイプの高校だ。


 午後4時。授業が終わる。


 ログアウトして、VRチェアから降りる。家の外に出て、日課の散歩を始める。

 ゲームばかりやっていては筋肉が衰えてしまう。バーチャル高校に通っているならなおさらだ。故に、朝と昼の散歩は健康のために欠かせない。健康だからこそゲームができるのである。


 30分ほどで帰ってくる。そしてVRチェアへ直行。リバステにログイン。


「っし、やるか」


 ランシュの屋敷のベッドで目覚める。


「起きたか」

「ずっとベッドの横にいたの?」

「いや、並日の冒険者は4時から5時頃に起きる者と8時から10時頃に起きる者が多いと聞くからな」


 これもこの世界の常識のようだ。


「で、今日は何をする?」

「今日は金曜日だし、徹夜でレベリングかな。でもその前にギルドに行く」

「マルドネに行くのか?」

「いやぁ、あそこ魔法使いギルドないんだよ。スタルテスに転移できる?」


 全ての街に全てのギルドがあるわけではない。街の特色や雰囲気などによって存在するギルドとしないギルドがあるのだ。

 ちなみに、スタルテスは最初の街だからか、全てのギルドが存在している。


「無理だな。私の魔法は1つ前に訪れた街にしか向かえない。前回フィートハーからファルパロッサ・ニフリーラで帰ったから、転移先はフィートハーだ」

「結構面倒だな」


 空に浮いているフィートハーから地上に降りなければならない上、移動する街であるため降りる場所がどこかわからない。


「でもまぁ、フィートハー以外転移できないんだったら、行くしかないだろ」

「わかった。ゼルフィラン・ニフリーラ」


 地面に魔法陣が浮かび、光に包まれる。


[雲上都市フィートハー]


「またここから降りるのか」


 前回降りた時は5分くらいかかった。


「まぁ、アスレチックだと思えばそこまで難しくもない。目指すは5分切り。RTAスタートだ!」






[ストップウォッチ]

[00:04:53.67]


「うむ。悪くない」


 5分は切ってる。まぁよくやった方だろう。


「現在地は……西寄りだな」


 スタルテスは東側だ。


「なら次のエリアに向かった方が早いかも知れんな」

「次?魔法使いギルドあんの?」

「あるだろう。砂塵の荒野を抜けて獣道の山脈を越えると平穏無事の盆地がある。その盆地はモンスターも存在しないため、一帯が街のように機能しているそうだ」

「獣道の山脈を挟むならスタルテスの方が早くないか?」


 1度倒したエリアボスは、再戦もできるが、倒さずエリア間を移動することもできる。


「いや、獣道の山脈は輪状森林と同じように、盆地を取り囲むようになっている。盆地に入るだけならエリアボスと戦う必要はない」

「じゃあ、そっちに向かおう」


 ザッザッ、と足音が聞こえる。

 俺は忘れていた。ここは砂塵の荒野。生息するモンスターは──


「あ……」


 腕が切りつけられる。


「クソ蜥蜴ぇぇぇ!!」


 悪夢の始まりだった。






[HP:21/30]


 移動距離が短かったため被害が少なくて済んだ。

 ランシュはパラメータが高かったので当然のようにノーダメ。クソ食らえ。


「もう、あの蜥蜴、なんかもう、一周回ってどうでもよくなってきた」


 あのカスダメに慣れてきてしまった。


「私は見てた方がいいか?」

「あぁ。1人でやる」

「……なぁ、私が居る意味あるか?居ても居なくてもどっちでもいい気がするが」

「いや、ランシュがいないと帰れないから」

「私を何だと思ってるんだ……」


 正直に言えば移動係(ワープゲート)以上の価値はないが、こういうのは言わぬが花である。


「さぁて、さっさと倒して進みますか!」


[遭遇:エリアボス ブラックスコーピオン]

[推奨レベル:Lv.15]


 砂塵の荒野のエリアボスは文字通り黒い蠍だ。大きさは自動車くらいだろうか。


 先手を取ったのはブラックスコーピオン、カサカサと素早い動きで肉薄し、鋏を叩きつける。


「おわっ!」


[イスチューコンダクト]


「っぶねぇ!」


 回避スキルを使い、後方に跳んで避ける。


「なかなかのスピード、それに攻撃力も高そうだな。本当に推奨レベル15か?」


 鋏の追撃を欠けた蛇牙刃(タッタードファング)でパリィし、距離を取る。


「武器性能がいいおかげで弾けた。が、まともに食らえば即死だと思っていいかもな」


 ブラックスコーピオンは再度接近、鋏での攻撃をパリィすると、シュッと針が顔に向かって突き出された。


「セギ!」


 左手に魔導書を持ち、防御の魔法を発動。キィン、と甲高い音が響く。

 鋏は直撃すればたぶん死ぬ。針は掠っても毒で死ぬ。


「つまり被弾なしで倒せと。上等じゃねぇか」


 スキル風走り起動。速度値に補正がかかった状態で、ブラックスコーピオンの側面に回り込む。

 スキルストロングパワー起動。筋力値を強化し、甲殻に刃を叩きつける。バキン、という音と共にブラックスコーピオンの体にヒビが入った。


「スキルの補正がかかった一撃でヒビが入る程度、こりゃ相当硬い装甲だったんだろうな」


 欠けた蛇牙刃(タッタードファング)は序盤の武器としてはかなり高い火力を誇る。にも関わらずヒビが入ったとはいえ、砕けなかった。


 ブラックスコーピオンが飛び退く。


「今の一撃、たぶん毒を付与できてない」


 毒の侵入経路は傷口からだ。体内に刃が通っていない以上、恐らく毒状態になっていない。


「次は必ず、毒をぶち込む」

バーチャル高校は通信制高校の進化系みたいな。専門的な質問とか指摘とか来てもどうしようもないので、こういうのは「SFだなぁ」で片付けていただければ。


推奨レベルに関してですが、あれはそもそもパーティ(3~5人程度)を想定して設定されているので、ソロの主人公には参考にならない値になってます。


アングリーイミット→怒豪放攻(どごうほうこう)怒発衝纏(どはつしょうてん)

怒っているほど筋力値と速度値を上昇させるスキル。主人公が砂塵の荒野で使えばかなり効果を発揮しそうですね。え?どうやって怒り具合を判断するかって?それはそのぉ、あまり公にできない方法で……

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