欠けた牙、挑む心、刃は鋭く
修正内容は割烹(活動報告)に載せておきます
このサブタイ、セイリュウ戦に使うか迷ったんですけど、欠けた蛇牙刃だけ使うわけじゃないので
「まぁ、到着だ」
[天空の雲海]
天空の雲海は、文字通り空に雲が広がるエリアだ。雲が足場になっている。
「雲ってこんな感じなんだな。綿みたいだ」
「枕の素材にすると気持ちいいぞ」
家具に使うとか、本格的に綿じゃねぇか。
さぁて、お目当てのモンスターは……
「キュオオオオオオ!!」
「早速来たな!」
[遭遇:スカイワイバーン]
ドラゴンの素材は魔力を通しやすいらしい。スカイワイバーンもドラゴンの仲間のようなものなのだとか。
ちなみに、前足が翼になっているものがワイバーン、前足とは別に背中に翼が生えているのがドラゴンだ。
「手助けは?」
「いらないかな」
ランシュはかなりの高レベルなのだ。ゲーマーとして寄生プレイはプライドが許さない。
欠けた蛇牙刃を装備する。
「レベル差はほとんどないだろうが、高レベルに対する特効を除いてもかなり優秀だからな」
ワイバーンの攻撃手段は噛みつき、引っ掻き、突進、あとは翼で風を起こすとかか?稀にブレス攻撃を使うゲームもあるが、基本ブレスは使わないモンスターだ。
「この距離ならギリ届くか?」
スキルハイホップ、ストロングパワー起動。
「っらあ!」
低空で留まっていたため、胴体に刃が届いた。
傷口の鱗が剥がれ落ち、赤いポリゴンが吹き出す。
「切れ味抜群だな!」
数秒待っていると、毒でHPが尽き、地面に墜落した。
「6枚、まぁいい方だろ」
武器作成に必要なのは鱗。牙でもいいが、鱗だけで作る方が硬度は高くなるらしい。これを最低でも40枚集める必要がある。
3時間後。
[所持品]
[……]
[スカイワイバーンの鱗×56]
[スカイワイバーンの翼×3]
[ホバリングジェル×142]
「これくらいでいいか」
少し多めに50枚を目安として集めた。
「ホバリングジェルも結構あるじゃないか」
「クラウドスライムはスカイワイバーンと違って、複数体で固まってることもあったし、こちらが武器を出さない限り攻撃せずにふよふよ浮いてるだけだからな。一撃でサクサク仕留めれた」
ホバリングジェルもセイリュウとの戦闘に使えそうだったので、できるだけ集めておいた。
[現在時刻:00時49分]
「にしても、3時間探しても見つからないな」
「戦闘のタイムロスもあったし、このエリア広いんだよなぁ」
輪状森林は初期エリアのため、30分ほどでボスエリアに辿り着いたが、砂漠はマルドネまで1時間弱かかった。マルドネがエリアの中心にあるので、端から端まで2~3時間。縦だけでなく、横も同じくらい広さがあるので、動き回る目的地を探すのは難しい。
「積乱雲が目印らしいから、すぐ見つかると思ったんだけどなぁ」
「積乱雲は幾つかあったがな。全て無関係だった」
俺たちが探している場所、それは──
「あれじゃないか?」
「白い積乱雲か。特徴は一致してるけど、これで4つ目だからな」
変わった様子は見受けられない。
「とりあえず近づいてみるか」
跳躍スキルや筋力値に補正がかかるスキルで雲から雲へと飛び移り、積乱雲に接近する。
ちなみに、落ちれば砂漠まで急降下して落下ダメージで即死だ。
「おい、ヒセン」
俺を呼んだランシュの腕が、雲を突き抜けていた。
「ついに見つけたか」
このエリアの雲は実体があり、普通は突き抜けない。しかし、1ヶ所だけ、床以外の雲が突き抜ける積乱雲がある。
[雲上都市フィートハー]
「平日の深夜なのに、そこそこ人がいるんだな」
「あぁ、並日は冒険者は少ないはずだが、思ってたよりもいるな」
さらっと流しそうになったけど、平日の概念もあるのかよ。
「で、目的地はここの2階層だったな」
フィートハーは実体のある床雲に普通の雲が覆い被さって積乱雲のようになっている。そして、3つの床雲によって3つの階層にわかれている。
「ああ。2階層南側の訓練施設ってところらしい」
「冒険者のネットワークは凄まじいな」
「考察クランがわかりやすく情報纏めてくれてるからな」
2階層へは各階層に複数設置されている雲の螺旋階段を使う。
「にしても、建物は雲じゃないんだな」
「レンガだな。時々地上で物資を収集していると聞くぞ」
確かに、そうでなければそもそも食糧難でこの村は成立していないだろう。
[フィートハー 訓練施設]
訓練施設の中に入る。とりあえず、住民と思われる翼の生えた女性に話しかける。
ここは雲の上の隠れ里。雲上都市フィートハー。住民は人間ではなく、翼の生えた翼人族だ。
「あの、ここでアスレチックできるって聞いたんだけど」
「ホバリングアスレチックですね。ご覧の通り、アスレチックは床が突き抜けており、落ちると地上に落下しますので、命の保証はありません。よろしいですか?」
[サブクエスト:ホバリングアスレチック初級を開始しますか?]
[YES] [NO]
「いいね、スリルがある方が楽しい」
もちろんイエスだ。
「では、頑張ってくださいね」
しっかり準備運動をする。挙動は正常だ。よし。
「どちらが先にゴールするか、勝負でもするか?」
「いや、お前は死んだら生き返らないんだから、ここで待っててくれ」
「案ずるな。私は落ちない」
あー、これは説得できないやつだ。
自信に満ち溢れている者を説得するには、その自信を崩さねばならない。この場合、自信を失くさせるためには、落とすしかない。つまり死だ。本末転倒である。
「死んでも責任とらないからな」
「誰に向かって言っている?」
「負けたら飯……いや、武器奢りな」
「はっ、上等だ」
初級、中級、上級。アスレチックの三番勝負が始まった。
未だにヒロインが一切登場しないという危機的状況。たぶんこの章は主人公ぼっちのままですね。ちなみに、プロットでのヒロインはゲルグられて(存在を抹消されて)ます。ほんと、プロットの要素全然残ってない。
"並"日は誤字ではなく、リバステ(ゲーム)では平日は並日、休日は急日と表されます。冒険者が急に増える2日間という意味で土日を急日と呼びます。
万冥土隊とかいうわけのわからん組織の設定ができました。そこそこ気に入った。そのうち出します。