牙を研ぐ、技を磨く
盛大なミスに気付いたので、現在投稿している分と、書き溜めの改稿のために、1週間ほど更新を止めさせていただきます。ご迷惑をお掛けします。
何で星なのに全ての場所で時間が同じなんだよってことに今更気付いたわけです。さすがに獣人国は時間をずらさないと整合性が取れない……
休載中に書き溜めも進めたいので、次回の更新は31日になります。本当に申し訳ない
少し太めで、紫の刀身に黒い柄の片刃の剣。カテゴリとしては長ドスに入るらしい。
[未完武器 欠けた蛇牙刃]
「重っ」
まだ振ってないステータスポイントは筋力値につぎ込むか。
「未完武器……?未完って、完成してないってことか?」
「ま、そうだな。未完ってよりは成長中、未熟ってのに近いかもしれねぇなぁ」
成長中の武器というわけだ。
「武器ってのはよぉ、戦いをその身に刻んで覚えてんだ。記憶が宿るもんなのよ。つまりは生きてるも同然。もちろん成長するし、それを武器の進化って呼ぶわけだが、普通の武器は大人からスタートして磨きをかけていくようなもんなのさ。だが、これは違う。子供からスタートして、大人になって成長していく。故に子供の頃の記憶は強く残り、その後の姿を左右する。いわば何にでもなれる原石みたいなもんなのさ。こういう武器はモンスターの幼体とかの素材で作ると出来上がるんだが、アンフィニッシュドナーガは精霊の幼体みたいなもんだからな」
「精霊の幼体?」
「おうよ。蛇の精霊、その子供っつうか、未熟な個体って感じだな」
あの強さで未熟とか、成体はどんだけ強いんだよ。
「で?武器の効果はどうよ」
[未完武器 欠けた蛇牙刃][推奨筋力値:40]
[武器種:刀][武器カテゴリ:長ドス]
[攻撃力:80][耐久値:1000/1000]
[強者特効:自身よりレベルまたは推奨レベルが高いほど攻撃力に上昇補正]
[耐久回復:MPを消費することで耐久値を回復する。MP1に対して10回復]
[毒付与:攻撃した者に状態異常:毒を付与する]
ナニコレチョーツヨイ。
「まぁ上級者用エリアのモンスターの素材使ってるから当たり前だが、序盤の強さじゃねぇな。なのに装備するのに必要な推奨筋力値はそこまで高くないのか」
「そこはお前さんに配慮してやったのよ。攻撃力と引き換えに軽くしたからお前さんでもちょっと鍛えりゃすぐ扱えるようになるだろうさ」
「おお!助かるよ」
ステータスポイントはアンフィニッシュドナーガと戦ったときのものが40ほど残っている。
筋力値に20振って、残りは──
[調律施設]
「いらっしゃいませ。調律施設です。今日はどのようなご用件で」
俺はウサギの一族の屋敷に来ている。
「スキルの習得ができるって聞いたんだけど」
「ええ。スキルの書ですね。現在取り扱っているものはこちらになります」
一覧のウィンドウが表示される。
ここは調律施設。様々な機能があるが、その1つがスキルの書の販売である。
スキルの書は、簡単に言えばスキルを習得することができるアイテムだ。
「うわ高っ」
俺が欲しいスキルは俺の全財産が吹き飛ぶ。
複数買う予定だったのだが、アンフィニッシュドナーガとの戦闘でいくつかスキルを覚えていたようで、必要なものが1つだけになった。
「これでも安い方ですよ。このスキルは獣人国じゃ需要が高いですから、その分流通してますし、スキルの書を作るのも容易なんですよ」
うーん。これ買うと所持金が450ダーラまで減るんだよなぁ。
「なんだ、10000ダーラか。端金じゃないか。これくらいなら私が出してもいいぞ」
「端金て……」
流石お貴族様。
「待ってください。王が貴女に許したのは戦闘面での助力です。金銭的支援は許されていない」
ティスストップが入る。
「なんだ、お堅いやつだな」
「それが私に与えられた仕事ですから」
「いいよ、自腹で」
──なるほどなぁ。やりてぇことはわかった。だが、そんなら素材が必要だ。魔力を通しやすい素材がな。アンフィニッシュドナーガなんて最適だが、あいつは牙しか遺らねぇからなぁ。
もう1つの武器について熊の鍛冶師──レーベ(ランシュにこっそり名前教えてもらった)に言ったところ、今ある素材では無理とのこと。
武器作成のために、現在地から近く、使えそうな素材を教えてもらったところ、俺の目的地に生息しているモンスターの素材のようなので、とりあえず砂塵の荒野に来ている。
「ここにはあんまりいい思い出がないが、今回は長居するわけでもないしな」
「確か通り魔蜥蜴……だったか?かなり厄介だと聞くが」
ランシュも付いて来た。
「あのクソ蜥蜴は絶対に許さん」
「そ、そうか。随分と殺気立っているな……」
俺がここに来た理由。それは、この竜巻だ。
「これ、本当に大丈夫なのか?」
「ああ。何度か行ったことがあるが、結構面白いぞ」
一見巻き上げられれば死にそうな竜巻だが、実はこれ自体にダメージ判定はない。普通に考えてみればそうだ。風に吹かれたからといって、それだけで怪我をすることはない。
正直、未だに半信半疑だが、意を決して竜巻の中に──
「うおっ、おおおおお!」
──飛び込んだ。
「どうだった?」
砂塵の荒野上空。
後から上がってきたランシュが言う。
「なんか、ギュルンギュルンして、グオオオってなって、グワングワンした……」
「この竜巻で語彙力がどこかに飛ばされたか?」
はは。洗濯機に放り込まれた衣類の気持ちが何となくわかったよ。
「まぁ、何はともあれ到着だ」
[天空の雲海]
反りがないので大太刀ではなく、両手剣ほどではないので残馬刀でもない。鍔もないので長ドスに分類されます。混同されやすいですが、大太刀と残馬刀は根本的に異なるらしいです。
このゲームにおける分類としては
武器カテゴリ:大太刀
武器種:刀の中でも、刀身が90cm以上の湾刀を指すカテゴリ。
武器カテゴリ:残馬刀
武器種:刀の中でも、刀身が長く直剣で、柄が25cm以上の直刀を指す。
武器カテゴリ:横刀
武器種:刀の中でも、刀身が70cm未満の直刀を指す。
武器カテゴリ:大刀
武器種:刀の中でも、刀身が70cm以上の直刀を指す。
武器カテゴリ:大刀
武器種:刀の中でも、長柄で先端に片刃で真っ直ぐな刃がついたものを指す。
武器カテゴリ:ドス
武器種:刀の中でも鍔がなく、刀身が70cm未満のものを指す。
武器カテゴリ:長ドス
武器種:刀の中でも鍔がなく、刀身が70cm以上のものを指す。
ややこしいですね。特に横刀、大刀、大刀あたりはもうね。でもゲーム製作陣が凝ったから仕方ないよね。うん。
ちなみに、欠けた蛇牙刃の場合だと、刀身が短ければドスではなく剣鉈の分類になります。武器種:鉈も剣鉈と腰鉈にわかれてます。ほんとややこしい。