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Leaver and Stayer Online  作者: 星海 しいふ
第1章 青の咆哮、結ぶ誓い
12/28

鉄を打つも科学の範疇

ログインしてなくてもコメント書き込めるようにしてみました。あまり変わらない気がしますが


最後の方、何かよくわからん長台詞ありますが、読み飛ばしていいです。重要なあれじゃないので。


 俺は今、扉の前で1人棒立ちしている。実に暇である。何故か。その理由は、数分前に遡る。


「では、ここからは貴族間での情報共有だ。普通に国家機密なので、ヒセンは出ていってくれ」


 ランシュにそう言われて追い出されたわけである。いや、わかる。理屈は通ってる。でもさ、こっちはやる気になってるわけじゃん?

 イベントスキップ……MMOにあるわけねぇな。






「終わったぞ」


 扉が開き、ランシュが出てくる。


[現在時刻:21時05分]


 1時間経ってるんだが?

 暇潰しにずっと掲示板と攻略Wiki見てたせいでほぼ全てのエリアの概要は頭に入ったわ。ついでに最前線である海に生息する魚系モンスターの知識もついた。


「長すぎないか?」

「重要な会議なのだ。仕方あるまい」


 こちとら現役高校生なんだよ。明日も学校があるんだ。徹夜はなるべく避けたい。


「よし、じゃあ早速武器作りに行くぞ。案内してくれ」

「私も同行させていただきます」


 振り向くと、会議に出席していた猫獣人がいた。確か名前は──


「チルだっけ?」

「ティスです」


 全然違った。






 城を出ると、午後9時には似つかわしくない、朝日が街を照らしていた。


「日差がだいたい9時間ほどあるからな」

「にっさ……?」

「日の出や日没の時間の差だ。ここは冒険者が活動する大陸からかなり離れているからな。向こうでは5時くらいに日の出だろうが、こちらでは20時が日の出だ」


 相変わらず凝った世界観だ。






「おう、よく来たな」


 熊の人、名前は確かルーペみたいな感じの獣人が出迎えてくれる。

 やはり、敷地が広く、建物も立派な豪邸だ。


「ティス、武器作るのは俺がやってもいいのかい?」

「ええ、構いませんよ」

「そんじゃ、付いて来い。仕事場(鍛冶場)に連れてってやる」


 鍛冶場に向かう途中、数名の付き人がどこからともなく現れ、同行する。熊の耳があるだけだったり、手だけが熊になっていたりと、顔が人間の者しかいないのは俺への配慮だろうか。


「おめぇさん、どんな武器作りてぇんだ?」


 鍛冶場につくなり、金槌を持ち、準備をしながら聞いてきた。


「2つあるんだけど」

「ティス」

「2つなら、構いません」


 3つはダメかな?


「何を作る?言ってみな」

「1つはどんな武器になるか決まってないんだが、アンフィニッシュドナーガの牙を使いたい」

「ほう、久々に面白いもんが作れそうだ。だが、あの蛇精霊の幼体の牙だけじゃあ武器は作れねぇ。似たような素材持ってねぇか?」

「似たような……あ、ポイズンサーペントの牙は売らずに残しておいたの忘れてたな」

「おおそうかい、じゃあそれを使う。素材出しな。5分で仕上げてやる」


 5分って早くない?そういうもんなのか?


「待て、何か勘違いしていないか?センヨウは魔法使いだぞ」

「……は?」

「……え?」


 ランシュの言葉に、ルーペ?とティスは驚いた様子だ。


「あぁ、いいんだ。普通に剣でも槍でも作ってくれ」

「そいつぁ俺の口出しすることじゃあねぇか、いいのかい?」

「構わない」


 エンチャントした杖で殴る戦法をやっていたときから、このゲームでの戦闘方法(バトルスタイル)は決まった。


「そうかい。じゃあ、始めるとするか」


 魔法で炉に火をつけ、キィン、キィンと甲高い音をたてながら金槌で溶かした素材と鋼を混ぜ合わせたものを打つ。形が整ってきたところで、急速に冷やした。


「あれ?確か、ゆっくり冷やす焼きなましって工程がなかったっけ?」

「おう、よく知ってんじゃねぇか。焼きなましってのは、金属応力や加工硬化を取り除き、金属を柔らかく、加工しやすくするための工程なわけよ。だがまぁ、魔法で金属を柔らかくすることなんて造作もねぇからなぁ。鍛冶魔法が使える奴にとっちゃ必要ない工程なわけよ」


 なるほど。


「ユユロ」


 魔法で加工しやすくした鋼と素材の混合物を叩き、凹凸を無くし、形を整えていく。


 再び炉に入れ、熱する。


「焼き入れか」

「おめぇさん、鍛冶の経験あんのか?」

「まぁ、少しだけ」


 別ゲーでちょっとやったことがある。


「そうさ。焼き入れだ。赤くなっているだろう?この時、鉄はオーステナイトって幸三になってるんだ。そのオーステナイトを急速に冷やせば」


 赤くなった武器のもとを水で急速に冷却する。


「マルテンサイトっつう硬いが、かわりに脆い構造に変化すんのよ。このままじゃあ、脆くて使い物にならねぇ。だから焼き戻しだ」


 冷却したものをさらに加熱する。


「まずマルテンサイトからε炭化物が析出し、組織が低炭素マルテンサイトとε炭化物で構成されるようになる。もしオーステナイトが残っていた場合はベイナイトとなり、その後フェライト、ε炭化物、セメンタイトへと変化する」


 もう何言ってるかわからん。


「まぁ、オーステナイトが残っていなかった場合はε炭化物と低炭素マルテンサイトになるわけだが、ε炭化物は、一度母相中に溶け込み、χ炭化物を析出したのち、炭素をセメンタイトとして析出する。んで、炭素がなくなったマルテンサイトはフェライトに変わるんだ。結果的にフェライトとセメンタイトが残るわけだな。セメンタイトはフェライト素地ん中に細かい粒として散らばってるが、熱するうちに集まって、大きな粒に凝縮されんだ。そうしてセメンタイトはどんどん大きくなり、熱せられた組織はトルースタイト、さらにソルバイトという組織に変化するってのが、一連の流れだ」


 もう理解するのは諦めている。


「で、この反応を、魔法でスピードアップさせる。シータスタラット」


 魔法陣が浮かび上がる。


「あとは、これを冷して柄をつければ完成だ。ほらよ」


[未完武器(グロウィングウェポン) 欠けた蛇牙刃(タッタードファング)]

なんか科学っぽいこと言い出したぞこの熊。こう、好きなこと語り出すと止まらないのは人類に遺伝子レベルで組み込まれてるじゃないですか(そんなわけはない)。だから、熊さんはこうなるかなって。あとこういうところで地道に伏線張ってくんですよね。伏線になってるかはわかりませんけど


あ、作中ではめんどくさかったから言及してませんけどオーステナイトが残ってたとしてもフェライト、ε炭化物、セメンタイト、マルテンサイトが残ってマルテンサイトとε炭化物がフェライトとセメンタイトになって結局フェライトとセメンタイトだけが残りますよ


鍛冶に関しては専門家でもないですし、経験者ですらないですし、科学も……ね。なので、詳しい方は間違い等ございましたらコメントにてお願い致します

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