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王宮も落ち着きを取り戻し、以前のような活気を取り戻しつつある。
今日の卒業式には両親と師匠がいるわ。本来なら師匠は参加出来ないのだけれど、陛下の護衛として来賓席に涼しい顔をして座っている。式は陛下からの祝辞、学院長の祝辞を述べた後、卒業生の挨拶になった。
「本年度首席であるユリア・オズボーン前へ」
「はい」
私は壇に上がり卒業の言葉を述べる。
「私たちは数多くの苦難を乗り越え、ようやく卒業を迎えることが出来ました。多くの仲間の怪我や死。
どれも私たちの人生において苦難の連続でした。いつものように笑顔でおはようと言う友たちが居なくなるのではないかという恐怖。私たちが当たり前だと思っていた平和はとても貴重で大切なのだと私たちは学びました。
辛い時に辛いと言えず。
逃げたい、苦しい気持ちを伝える事が出来ず、たすけてと言えなかったこともあります。ですが、友人や家族がいつも側にいて支えてくれました。
私にとって学生生活はとても眩しくてかけがえのないものでした。
もっと一緒に居たい。もっと遊びたい。もっと勉強したい。もっと、もっとという思いが溢れています。
ランドルフ殿下をはじめ、卒業式に参加出来なかった人たちも多くいます。私たちはその人たちの思いも抱えて一緒に卒業していきます。
温かく見守ってくださったお父様、お母様、先生方。今まで本当に有難う御座いました」
長かったようでとっても短かった学生生活。
本当に濃い時間を過ごしたと思う。
リーズという親友も出来て学生生活はとても楽しかった。本当に色々あった。でもこうして卒業を迎えることができたわ。
いろんな事が一杯あって、苦しくて逃げ出してしまいたい気持ちばかりだったけれど、エメやパロン先生たちに支えられて、ジャンニーノ先生や師匠にも会えた。
悪い事ばかりではなかったわ。
私は卒業生代表の言葉を述べた後、陛下に礼をして席に戻った。元Sクラスの人たちからは涙する声が聞こえてきた。
そして式が終わり、私は寮へと戻ってきた。明日からは王宮の寮へ荷物の引っ越しになる。
大切な荷物を小屋に運び込んだ。
「ランドルフ様、狭いですがすぐに荷物を寮に運ぶのでその間だけ我慢して下さいね」
父からは家から通うようにと言われているけれど、今更家に戻るのは恥ずかしい。それに婚約者のいない私は完全な行き遅れの令嬢だもの。
家にいたら弟たちの今後に関わってきてしまうからね。
ジョナスはマロンに小言を言われながらも勉強を頑張っていて教師たちから優秀だ、もっと早くに取り組んでいればもっと違っていたのにと残念がられているらしい。
アレンは我儘放題だったけれど、レナが侍女に付いてからバッサリと言われ続けてようやく貴族としての責任やあり方に自覚が出てきていて真面目に勉強に取り組みはじめているらしい。
二人とも良い方向に向かっていて安心しているわ。流石マロンとレナね!
『ユリア様、ご卒業おめでとうございます!』
『シェイラード嬢、ありがとうございます』
シェイラード嬢から伝言魔法が飛んできた。
彼女はすっかり元気になり、母方の親戚の人と結婚が決まったらしい。ブロル元総長は強制労働に送られたけれど、手紙はやり取り出来るみたい。
彼はシェイラード嬢の結婚にとても喜んでいるらしい。夫人はブロル元総長がいつでも帰ってこれるようにと居場所を作るよう今は動いているのだとか。
ヨランド様はというと、卒業と同時にリーズにとうとう告白したわ。皆の前で! リーズの返事はもちろんOK。
クラスメイトに揶揄われながらも顔を真っ赤にしていてとても嬉しそうだった。こっちまで恥ずかしくなっちゃった。リーズには絶対に幸せになってもらいたいわ。
『ユリア! 緊急事態だ。すぐ王宮へ』
『師匠、今日の緊急事態はなんですか?』
『王都の南側にAクラスの魔獣が出たんだ』
『わかりました。準備してすぐに向かいます』
『ああ、頼んだ!』
私は持っていた荷物を足元に置いて声を掛けた。
「ランドルフ様、行ってきますね!」
「ニャー」
……え。
【完】
番外編最後までお付き合い頂きありがとうございました!
いやー番外編、ここまで長くするつもりは無かったんですが、長くなってしまいました。
12月7日に発売された書籍にはランドルフの話や特典も話が読めますので読んでいただけると嬉しいです!
ここ最近は『魔力無し判定の令嬢は冒険者を目指します!』1日3回更新と過去作品の手直しでヒィヒィ言っていますが、なんとか頑張っています。
カクヨムコン10 ファンタジー恋愛部門で現在1位となりました!
これも皆様のおかげです!!
この場でお礼を言わせて下さい。本当にありがとうございます。(*´Д`*)
これからも良い作品を出していけるように頑張っていきます!
最後までお読みいただきありがとうございました⭐︎




