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時を戻った私は別の人生を歩みたい【書籍化】  作者: まるねこ


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 彼女の妹は婚約者候補の三人の中に入っているせいか震えているわ。可哀想に。


 そう思いながら見ているとヨランド様が更に話をしてきた。


「ユリア嬢はいつもお茶会や舞踏会には参加されていませんよね?」

「えぇ。そうですわね。必ず出席しなければいけないもの以外は休ませていただいていますわ」

「理由をお聞きしても?」

「あら、ご存知ではなくて?有名だと思っていたのですが」

「いえ、噂は色々と耳にしておりますが実際はどうなのかと思いまして」

「ふふっ。公の場で倒れて皆様にご迷惑をおかけしてはいけませんからこういった場に参加するのは最低限にしておりますわ」

「そうなのですね。もう体調は宜しいのですか?」

「えぇ、成長と共に発作はなくなりつつありますから」


 不躾な質問だわ。内心イライラしながらも平静を装って話をする。


 彼は私の言葉に相槌を打つようにした後、何かを考えているようだ。


 場内が突然騒がしくなった。


 どうやらランドルフ殿下が入場してきたようだ。


 みんな一斉に席を立ち、臣下の礼を執る。もちろん私もヨランド様も。


「今日のお茶会に集まってくれて有難う。今日は交流を兼ねたお茶会だから皆、気を張らずに楽しく過ごして欲しい」


 殿下の言葉でお茶会が開催の合図となった。


 私達が着席すると、従者達が一斉に動き出し、お菓子を並べお茶を淹れてくれる。並べられたお菓子はどれも一口で食べられるようになっている。


 フルーツと共にクッキーやフィナンシェのような物が皿に並んでいて目にも嬉しい。


 私は迷いながらもフィナンシェに手を付ける。王宮のお菓子って美味しいのよね。今回はお菓子を食べる事なんて殆どないのでつい、手が出てしまうわ。


 前回の生ではこの時期あたりから来ない殿下を一人で待ちながら食べていたわね。

 

 寂しい思い出だわ。


 今回は領地で食べる事もなかったし、伯爵邸はお菓子よりフルーツが出されていた。


 学院寮もお菓子はないので嬉しい。ギルドや治療院に行くときに買って食べればいいだろうって思うけれど、寄り道はしたくないのよね。偶に患者さんが差し入れしてくれるおやつを食べるくらいかな。


「ユリア嬢は甘い物が好きなんですね」


 どうやらヨランド様は考え事の世界から帰ってきたようだ。


「えぇ。はしたなくてすみません。寮暮らしだとあまり口にする機会がありませんから」

「この休み中も寮に?」

「えぇ、そうですわ」


 私がそう答えた時、向かいにいた令嬢がヨランド様へと声を掛けた。


「いつも制服姿のヨランド様も素敵ですが、今日の装いも輝いていて素敵ですわ」


 そう声が掛かるとヨランド様の隣に座っている令嬢や後ろ側にいた令嬢がこれ見よがしにヨランド様へと声を掛けている。


「あら、お席を替わった方が良いかしら?」


 私はそう言いながら斜め後ろにいた令嬢に席をどうぞと替わり、またお菓子に手を伸ばす。


 ふふっ。色々と聞かれた時は焦ったけれど、ヨランド様とお近づきになりたい令嬢が沢山いて助かったわ。


 ヨランド様のお陰で私は特に誰とも話をする事もなく、一人でお菓子とお茶をのんびり楽しむ事が出来て周りを見る余裕さえあった。


 殿下の周りには婚約者候補を始めとした令嬢や令息達が周りを取り囲むように群がっている。


 その他はポツポツと派閥同士でおしゃべりをする人達。


 中央にはヨランド様を取り巻く令嬢の群れ。


 そして下位貴族の席はそこまで移動している様子はなく、和やかにお茶を飲んでいるわ。


 上位貴族は婚約者や側近と仲良くなる事が目的だし、下位貴族は爵位の同じ者同士で協力しあうようにパカリと中央のヨランド様達が区切りとなり分かれている。


 私はその区切り部分でひっそりとお茶をしているのだけれど。


「ふぅ。お腹も満たされたわ。そろそろ頃合いかしらね」


 私が席を立ち、帰ろうと思ったその時。

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