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時を戻った私は別の人生を歩みたい【書籍化】  作者: まるねこ


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 早速朝からいそいそと治療院へと足を運ぶ私。


「先生、おはようございます」

「ユナ、おはよう。早速ですがお願いします」


 そうそう、私の名前なのだけれど、最初はユリアで手伝っていたのね、でも貴族がずっと手伝うのは外聞が宜しくないようなので平民のユナという名で治療院のお手伝いをすることになったの。


 そしてギルドでは女だと安全面の問題があるのでグレアムの勧めもあってユゲールと昔から名乗っているわ。


 もちろん女の人でソロ活動している人だっているし、女性だけのパーティも数多くあるけれどね。


「ユナちゃん! 俺の嫁になっておくれっ!」

「ハイハイ。また来たんですか? 不注意は駄目ですよ? ガンツさん。はい、治療しました。次は怪我しないようにして下さいね」


 そんなやりとりをしながら治療を進めていく。


「ユナが治療院の手伝いをしてくれるようになってから怪我人が増えました。良いのか悪いのか」


 みんなで和気あいあいと話をする。夕方になるとエメの宿に顔を出してから寮に戻る。


 翌日からの三日間はギルドへ。いつもは学院後の数時間程度だったから小遣い程度の簡単な依頼しかこなしていなかったけれど、朝から夕方までに終わりそうな物を受注する。


 受注した依頼書は本格的な狩りなので準備はしっかりとしなければいけない。


 私はコツコツと貯めていたお金で足りないものを買い揃えて狩りへ向かった。


 朝から魔猪の討伐。畑を荒らして困っているのだとか。


 小さい猪の討伐はこれまで何度もしていたけれど、魔猪と言われるのは人間よりも数倍大きな猪型の魔物でとにかく強くて大きい。


 小遣い程度の報酬ではなく、しっかりと一つの仕事の報酬として支払われる額だったのよね。


「待て待て~!」


 魔物を追い掛け回し、そして魔法で瞬殺。ばっちりね。


 そして気づいた。

 やはり私は一人でも問題なく大きな魔物を倒せてしまうことに。


 残念ながら探すのに時間が必要になるので依頼の数はこなせないわ。


 楽して報酬アップを目指すなら討伐した魔物の買い取りの際に報酬をあげてもらうようにするしかない。それには魔物をより知る必要があるのよね。


 私の過去の知識では足りない。


 夢の中での倒し方だと報酬は最低限になる。


 街に戻り、魔物の依頼完了手続きを終えた後、ギルドに備え付けられているモンスターの特徴一覧を読む事にしたわ。もちろん報酬ランクも書いてあるのでどこを狙えば良いか考えやすい。


 傾向としては同じ魔物でも狩った後、肉が食用に回される魔物は血抜きをするのがベスト。毛や皮などの素材をメインとする魔物は傷が少ない物ほど報酬が高い。そして良質なものは肉でも素材でも報酬に気持ち分上乗せされるようだ。


 ……ふむふむ。


 私は熟読した後、周りを見ると既に日が暮れていたので焦ってエメの宿に向かった。


「いけませんよ! こんな遅くまで何やっていたんですか!」

「うぅ、ごめんなさい。遅くなるつもりはなかったの。ギルドで本を読んで気づいたらこんな時間になっていたの」


 エメは母親のように私を叱る。自分が悪いし、耳も痛いけれど、こうして心配して叱ってくれるエメが大好きだなって思う。


 流石に今日は遅いのでそのままエメの家に泊まることになった。もちろん家族としてね。


 働かざる者食うべからず。


 食事や宿の仕事を手伝った後、家族で夕食を食べて就寝となった。


 翌日もその翌日も魔物を狩れるような依頼書を二枚受注したわ。同じエリアだったのでこれならいけると思ってね。


 ちなみに一度の報酬は日雇い労働者が稼ぐ程度の報酬。魔法で攻撃するので掛かる費用は殆どない。貯まる一方ね。


 治療院も同じ程度の報酬。こちらは勉強も兼ねているので卒業までは続ける予定。


 ギルドの方はストレス解消でお金を貰っている感じ。コツコツ貯めていくわ。ウシシ。


 一枚、また一枚と積みあがっていく金貨を見てにやけが止まらないのは仕方がない。




 そうして二週間が経った頃に家から手紙が来た。


 王宮主催のお茶会の事をすっかりと忘れていたわ!!


 ……気が重い。


 ふぅと長く重い息を一つ吐いた後、父に明日邸に帰りますと返信しておいた。


 お茶会が終わったらすぐに寮に戻ってエメに報告しよう。そう心に決めたわ。邸には徒歩で帰った。

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