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2パロン医師side

「パロン医師、急いでオズボーン家へお願いします」


 緊急の魔法便が私の部屋へと飛び込んできた。


 何があったのか。


 助手を連れて私は急いでオズボーン伯爵家へと向かった。


 邸に到着すると、邸内は慌ただしい様子。


「一体どうしたのですかな?」


 慌てて玄関ホールに出てきた執事に聞くと、伯爵家の長女ユリア様が急に狂ったように叫び、震えだして尋常ではない様子だという。


 どういう事だろうか。


 三歳になったばかりのユリア様が唐突に?私は疑問に思いながらもユリア様の部屋へと急いだ。


 ユリア様は私が来た時には意識を失っている状態だった。


「先生、ユリアは大丈夫なのでしょうか?」


 心配して聞いてくる伯爵夫妻。


 ユリア様の侍女に状況を聞いた。普段と変わらずに朝起こしにきたけれど、身体を確認して鏡を見た後、突然叫び始めたと言っていた。


 私は寝ているユリア様の目を覗き込むと、ユリア様は目を覚ましたようだ。


 目覚めて落ち着いている間に手を翳して身体のいたる所を診察するが特に問題はない様子。

 そして声をかけた途端、何かを思い出したように恐怖に慄くように叫び始める。


 このままでは魔力暴走も起こしかねないと強制的に彼女を眠らせることにした。


「パロン先生、ユ、ユリアは」

「身体に異常はありません。ただ、何か過去にあったのですかな? 一瞬何かを思い出したような表情をした後、取り乱し始めた」

「それが、私達にも分からないのです。急に叫び始めたものですから」


 ……夫妻の様子からも虐待にあっているようには見えないな。


 ただ、幼子がこれほどまでに泣き叫ぶ事も不可解でしかない。


 何か、精神にとてつもない負荷が掛かっているのかもしれない。


「伯爵様、今日の所はこれで帰ります。私の方で過去に同じような症状が出ているかを探してみます」


 私はそう言うしかなかった。


 この症状は、修道院に保護される女性に稀にみる症状と酷似はしているが、大事に育てられている三歳の幼子がそのような経験するはずもない。


 謎は深まるばかりだ。


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