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1プロローグ※苦手な方はご注意下さい

宜しくお願いします( ´ ▽ ` )

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 暗い牢の中で泣き叫ぶけれど、誰も助けてくれない。


 私の泣き叫ぶ姿を見ながら男達は下品に笑っていた。


「こんな扱いをして良かったのですかい?殿下の最愛だったのでしょう?」

「……」


 その様子をただジッと見ていたランドルフ殿下。


 彼らは下品な笑いをしながら袖に付いている星のカフスを外し、服を脱いでいる。


 ランドルフ殿下は嬲り者にされる様子をジッと見届けた後その場を去っていった。


 ランドルフ殿下が立ち去った後も私は男達に何度も何度も弄ばれ、暗い牢の中で放置された。



 冷たく光もない地下の牢。


 助けを求めようにも声は枯れ、動く気力もない。


 家族も友人たちも


 ……誰も私を助けてくれない。


 どれくらい経ったのかも分からない。


 一日に一度ある水と硬いパンが置かれたのは何回目だっただろうか。


「おい、出ろ」


 現れた仮面の男たちに魔法錠をかけられ無理やり歩かされる。


 ……あの仮面。


 私は処刑場へと連れていかれるのね。


 広場の中心に設けられた処刑台に無理やり座らされた。


「この者はランドルフ王太子殿下を毒殺しようとした。本来なら毒殺であるが、この女は他にも男を誑かし、国家の転覆を図ろうとしていたため、この場での公開処刑となる」


 処刑人がそう高らかに宣言した。処刑を見届けるのは広場に集まった人々とランドルフ王太子殿下。


 その隣には震えながら殿下の腕にしがみついている赤髪の女、そうヴェーラ・ヴェネジクト侯爵令嬢がいた。

 怯えているように見せながら私を見てニヤニヤと笑っている。


 あぁ、私は彼女に完全に嵌められたのだと。


 その瞬間理解した。


 口には布を噛まされているため声も出せない。


 ただランドルフ殿下を睨みつける。

 瞬きもせずに。


 そして、私はこの世を去った。




────────



「……様、ユリアお嬢様」


 誰かが私を呼ぶ声がする。重い瞼を開けると、侍女のエメが私を揺すっていた。


 ……エメ?


 随分若いわ。これは夢なのかしら。


「エメ?」


 そう声を出すと自分の声も甲高い。ふと自分の手を見ると、小さな手に驚く。


「エメ! 鏡を持ってきてっ」

「ユリアお嬢様、大丈夫ですか? まだ寝ぼけています?」


 自分の頬を触り、身体を確認する。


 そしてエメの持ってきた鏡を見てこれ以上ないくらいに驚愕した。


 幼くなっているわ!


 さっき、処刑され、た、はず。なのに子供に戻った??


 そう思った途端、殺される前の光景がフラッシュバックされる。


「いやぁぁぁ。助けてっ。助けて! 誰かぁぁ」


 怖くて泣き叫び、ガタガタと震え、動くこともままならない。


 嘘よ、嘘よ。

 あれは嘘。

 夢、夢なの。


 怖い、思い出したくない。

 誰か。


「お嬢様!? す、すぐに旦那様をお呼びします」


 私の尋常でない様子にエメは気が動転しながらも父を呼びに部屋を出ていった。


「ユリア! 大丈夫か?」


 父のブライアンと母のペリーヌは震えながらブツブツと呟いている私に驚いたようだ。


「いやぁぁ、あっちへいって!! あんた達なんて大嫌い! 誰も助けてくれなかったじゃない! 嫌いよ! あっちへいって!」


 そう泣き叫び、私は気を失ったみたい。




「ふむ。目が覚めましたかな?」


 医者のパロン先生が私の目を開いて覗き込んでいた。


「パロンせんせい?」


 先生はフムフムと手を翳して異常がないかを確認している。


「突然叫びながら倒れたと聞いたのだが、何かあったのか?」


 ……何かあったのか。


 その言葉にまた記憶が蘇る。


 嫌な記憶、辛い、苦しい、死んでしまいたい。


「いやぁぁ」


 私はまた叫び、のたうち回る。

 止めて、止めて、私を殺してと。


 その様子を見たパロン先生は私の目に手を翳すと私の瞼は重くなった。


 どうやら強制的に眠らされたようだ。


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