目があったらはじまる
まただ。
いきつけのスーパーに行ったら、今日はやたらと美女と目が合う。 二十代前半だろう。
肌が絹のように白くて滑らか。
黒髪も光り輝いている。
うちの肌と腹がたるみきった古女房にも見習ってほしいもんだ。
まただ。
せんべいに手を伸ばしたとき、ツマミを鞄に入れたとき。
もしかして俺に惚れたのか。 女房と畳は新しい方がいいっていうもんな。
どれ、声をかけてきたら茶店にでも誘うか。
鼻歌交じりにスーパーを出たところで、いよいよ美女が俺の手を取った。
「盗ったもの、返してくれません?」
「あんたのハートをかね」
「いえ。代金未払いの商品を、返してください」
END
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