46 逃走
やっぱり書くのは楽しいです。
宿主であるカナメの体が強い衝撃を受けたことで、クロウェは魔力を回復させるための眠りからゆっくりと目覚めた。彼はすぐにカナメへ語りかけた。しかし何の反応もなかった。
彼はカナメの義手の指先から糸状の触手を伸ばし、カナメの全身を探った。
「(全身の骨折。腹部に裂傷。血圧低下。)」
一刻も早く処置が必要な状態だと判断した彼は、周囲の様子を探るためにカナメの義眼を通して『白鷹』のシステム内に侵入し、残されていた記録を走査した。
「(ふむ、この赤い機体に攻撃されたのか。では今、ここへ接近しつつある者たちは敵ということだな。」
彼はカナメの義眼に搭載された感覚器を通して、接近しつつある兵士たちの様子を把握していた。どれもこれも彼の脅威となるような者たちではない。排除するのは容易いが、まずは宿主であるカナメの生命維持を第一にするべきだと彼は判断した。この世界の存在でない彼は、カナメの体を媒介としなければ、ごく僅かな力さえ振るうことができないからだ。
「(カナメに無断での体内への侵入は契約違反だが・・・非常事態ゆえ仕方がない。)」
彼はカナメの体内に触手を伸ばして、傷ついた身体を補修しはじめた。折れた骨を周囲にある機体の素材を使って繋ぎなおし、腹部の傷と内臓の損傷を内側から塞いでいく。さらに弱った心臓に触手を伸ばして全身の血流を回復させた。
「(この素材は魔力を通しやすい。)」
彼はカナメの補修を行う間、宿主と自らを守るための方策を実行した。残された『白鷹』の残骸を加工し、周囲に防壁を築いていく。カナメを完全に覆った彼は、宿主の体と自分の魔力を回復させるため、再び浅い眠りへと移行していった。
「なんだこれは?」
斥候兵が送ってきた映像を確認した花村は、画面の向こうにいる当惑した様子の部下へ問いかけた。
「(・・・分かりません。計測の結果、非常に強い魔力源が内部に存在することは分かりましたが、それ以外は一切不明です。)」
花村は映像をさらに良く観察した。直径2mほどの乳白色の球体が、なぎ倒された低木の間に鎮座している。斥候兵が現場に到達したときにはすでに、そこに在るはずの『白鷹』の姿はなく、この球体があったらしい。
計測の結果を見ても、中に捕獲対象である異世界の存在がいることは間違いない。彼は一緒に画面を覗き込んでいた副長と軽く視線を合わせた後、再び斥候兵へ問いかけた。
「中を調べるには壊すしかないな。やれそうか?」
「(工兵がいないので何とも言えませんが・・・少なくとも我々の装備では全く歯が立ちませんでした。)」
花村の率いる特殊部隊『長月』は、対人戦闘に特化しているため、大型魔獣との戦闘を行うための強力な火器を所持していない。
とはいえ今回の作戦に備え、中型クラスの魔獣となら互角以上に戦えるだけの兵装は十分に整えてある。にもかかわらず、全く歯が立たないという報告に、花村は心の裡で大きく顔を顰めた。
しかし表面上は眉一つ動かさないまま、彼は副官に視線を送った。副官は手元の端末に表示した作戦指針書に目を落とした後、軽く頭を振った。
花村は嘆息をぐっとこらえ、斥候兵へ指示を出した。
「作戦の特性上、大っぴらに動くわけにはいかん。軍の工兵隊は要請できない。だが放っておくわけにもいかん。」
言葉にしてみると改めて八方塞がりな状況が再認識され、思わず眉を顰めそうになる。だが彼はそれを意志の力で抑え込んだ。
「輸送艇を向かわせる。ひとまず球体を確保し、大宰府で刑部司殿に判断を仰ぐ。お前たちは球体周辺の捜索と警戒に当たれ。球体とは安全距離を十分に確保。必要以上に近づくな。」
「(了解しました!)」
当面の行動が決まったことで、明るい表情で斥候兵が応答したのを確認した後、花村は通信を切断した。詰めていた息をふっと吐きだす。すると副官が、彼に問いかけた。
「基地や城砦への連絡は必要ありませんね?」
花村は小さく頷いた。
「こんな得体の知れないものを人間の拠点に近づけるわけにはいかん・・・しばらくは携帯糧食暮らしだな。」
それを聞いた副官は、ふう大きくとため息を吐いた。
「大宰府城砦で今夜、九州地方の地酒を飲むのを楽しみにしてた兵士たちは、さぞがっかりするでしょうね。」
「何言ってるんだ。一番がっかりしてるのはお前だろう?」
花村は副官の気遣いに対し小さく目を細め、軽口で切り返した。
「この件が片付いたら、刑部司殿からたっぷり賞与が出るはずだ。前線の連中にもそれとなくそう伝えてくれ。」
目を合わせた二人は口元を僅かに緩めた。そしてすぐに表情を切り替え、指揮所のモニターに作戦指針書を表示させた。
「現時点を持ってこの指揮所は破棄。我々は輸送艇に移動する。部隊を二つに分けるんだ。輸送に参加しない兵士たちには引き続き、生き残った犯罪者どもの捜索を行う。ここで逃げられては元も子もないからな。」
「了解しました。通信遮断も継続させます。」
「ああ、任せた。」
今回の作戦はあくまで秘密裏に行うよう、刑部司から厳命されている。もちろん犯罪者が他の仲間たちに連絡を取ることで、一般の市民たちに被害や不安が広がるのを防ぐためだ。
密かに皇国への反逆者を捕縛するこの『長月』部隊を指揮するようになってからというもの、花村はこれまでに何度も、同様の通信遮断や情報封鎖を行ってきた。
ただ今回、彼はこれまでにない違和感を感じていた。
それは都市内で活動することが多い『長月』を野外に遠征させたことや、軍の攻撃機を動かしたこととは関係ない。それは作戦の仕様だと理解しているからだ。彼が感じているのは、もっと言葉にできない気味の悪さだった。これまでやってきた裏の仕事とは違う、何か。
彼は指揮所を引き払う準備をしながら、ふと手元の資料に目を落とす。すると焼失した脱出カプセルに乗っていたと思われる少女の顔写真が目に入った。
彼女の死体はまだ見つかっていない。おそらくカプセルと共に完全に炭化してしまった可能性が高いだろう。それでも彼は彼女の痕跡を部下に捜索させていた。それも彼の感じている違和感によるものだった。
何かがおかしい。彼はその思いを軽く頭を振ることで、思考の隅へと追いやった。しかし彼自身も気が付かないうちに、得体の知れないその違和感は迷いとなって、彼の思考をじわじわと侵食していったのだった。
花村の指示に従い、輸送艇を『白鷹』の墜落現場へと寄せた兵士たちは、謎の白い球体を輸送用の大型浮遊コンテナに積み込む作業に当たっていた。
他の浮遊コンテナは切り離し、隊長たちと共に待機しているため、ここにあるのは牽引艇と大型コンテナのみだ。球体にワイヤーをかけ終えた兵士は牽引艇のクレーンを操作する仲間に向かって声を張り上げた。
「よーし、いいぞ! 持ち上げてくれ。」
彼は一緒にいた仲間と共に、素早くその場を離れる。退魔用装備の施された強化外装を着ていても、得体の知れない球体にワイヤーをかけるのは決して気持ちの良いものではない。
事前に隊長から指示された通りの安全距離を取り、彼らは作業を見守る。その時、一人の兵士が嘆息と共に、仲間へ向かって話しかけた。
「犯罪者狩りで輸送部隊に偽装するって任務だったはずなのにな。まさかマジで輸送部隊の真似事をさせられるとは思わんかったぜ。」
慣れない作業で苦労した仲間たちが、その軽口に反応して笑う。だが直後に起ったガンという音に驚いて、彼らは一斉に球体の方へ目を向け咄嗟に身構えた。大型の魔導クレーンを搭載した牽引艇は、がくんと大きく傾いていた。
「大きさの割りに随分重いな。この中身、一体どうなってんだ?」
「まさか、ドカンと行ったりしねえだろうな?」
何気なく言った仲間の一言で、兵士たちは表情を強張らせた。すると隣にいた兵士がその男の肩部装甲を拳で突いた。
「おかしなこと言うんじゃねえよ。さっきまで散々武器でぶっ叩いたけど、何にも起きなかっただろうが。」
「そ、それもそうだな・・・。」
肩を突かれた男がぎこちない笑みを浮かべたことで、兵士たちは表情を緩めた。しかしそれでも、彼らの心に中にある不気味な不安は、いつまでも消えずに残り続けたのだった。
「こっちも塞がれてるよ、マルちゃん。」
「くそっ、これ以上は無理か。」
墜落した『白鷹』へと向かっていたエイスケ、マリ、テイジの三人は、目的地まであと少しというところで足止めを食わされていた。陸戦兵たちが墜落現場周辺を完全に封鎖しているためだ。彼らは兵士たちの目を避けつつ、湿地の縁にある小さな森へと身を潜めた。
猫人族の血を引くマリの優れた知覚力によって、これまでは兵士を避けながら進むことができた。しかしこれ以上はとても近づけそうにない。彼らは木陰から、数百m先に見える墜落現場の様子を伺った。
「輸送艇が動いてんな。兵士を回収してんのか。」
そう呟いたエイスケに、マリが話しかける。
「ねえ、これからどうする?」
エイスケはしばらく考え込んだ後、ぐっと顔を上げてマリとテイジを見た。
「新道や小桜はもう捕まっちまったかもな。」
「!! すぐ助けに行かなきゃ!」
「待て、馬鹿猫。お前ならそう言うと思ってたけどな。」
すぐにでも飛び出そうとするマリを手で制して、エイスケは二人の顔を見た。
「俺たち三人だけで、あの連中とやり合えるわけないだろ? それに下手に暴れたら、二人の身が危なくなるかもしれねえ。」
エイスケにそう言われ、マリは不満顔でその場にしゃがみ込んだ。エイスケは目だけで小さく笑って、そのすぐ隣に座った。
「俺たちだけじゃ状況が分からな過ぎる。笹崎教官と合流したいが、通信できねえから難しいだろうな。」
彼はそう言うと、はああっと大きなため息を吐いた。
「高天原に戻るしかなさそうだな。俺、行軍は自信ねえんだけど仕方ねえ。もし足手まといなら俺を置いてお前たちだけでも・・・っておい! 何すんだ!?」
座っていたエイスケの体をひょいと抱え上げ、テイジは強化外装の肩に担ぎ上げた。あたふたと抗議するエイスケに、マリはにししと笑いかけた。
「安心してマルちゃん。あたしらが交代で運んであげるからさ。」
「そ、そうか、そりゃ、ありがてえ・・・ってそんな問題じゃねえ! 今動いたら確実に見つかるだろ。俺たちがこう動くのもあの連中、きっと予想してるだろうからな。」
テイジは、短い手足をばたつかせるエイスケをその場にそっと降ろした。乱れた上着を直すエイスケにマリが問いかけた。
「じゃあどうすればいいの?」
「夜を待つんだよ。獣人のお前たちなら、普通の兵士たちより有利だろ。」
「なるほど! 頭いいね! さすがマルちゃん!」
嬉しそうなマリに対し、エイスケは口に出しかけた言葉を飲み込み「ああ、そうだろ」とだけ言った。その後、三人は森の中に身を隠し、交代で仮眠を取りながら夜になるのをじっと待ち続けた。
簡易指揮所を引き払った花村は輸送コンテナ艇に乗り移っていた。謎の球体を積み込む作業に思いのほか時間がかかったため、すでに日が暮れてしまっている。作戦のため、本物の輸送部隊員を同乗させなかったことが仇となってしまったのだ。
周辺の捜索と包囲を続ける隊員たちに交代要員を派遣し、作戦の変更点を伝え終えた頃にはもう、この時間になってしまった。出来れば明るいうちに捕縛を終えたいと考えていた花村としては忸怩たる思いだったが、それを兵士たちに悟らせるわけにはいかない。
副官との打ち合わせを終えた後、交代で仮眠を取るため、彼は牽引邸内にある休憩室へと向かった。
しかし彼は窓際のベンチに横になった直後、再び飛び起きることになった。休憩室内に何者かが侵入してきた気配を察知したからだ。
彼はベンチの近くに設置されたスイッチを操作して照明を灯した。天井に設置された照明の魔力光によって、侵入者の姿が露になる。
「笹崎アヤメ1等空尉・・・何用だ?」
そこにいたのは美しい顔立ちをした若い女だった。淡い照明が開け放った頭部装甲のシールドに差し込み、彼女の僅かに赤みを帯びた黒髪を艶やかに輝かせる。士官用の強化外装を身に纏った彼女は、花村が「どうやってここに侵入したのか」と問いかけなかったことで、赤い紅の引かれた唇を僅かに歪めた。
「顔を見に来ただけだ。学生の操縦する訓練機を、空戦機で騙し撃ちするような連中のな。」
そんなはずはないのは、双方ともによく分かっている。花村は彼女の言葉を無視した。
「君には逮捕状が出ている。罪状は国家反逆。大人しく投降しろ。」
「身に覚えのない罪で投降するつもりはない。それよりお前たち何者だ?」
当然花村は答えない。狭い休憩室内で、小さなテーブルをはさんで向かい合う二人。花村はアヤメを油断なく観察しながら、テーブルの上に置いた魔力端末に目を向けた。警報装置を作動させ、兵士たちを呼ぶにはこの端末が必要だ。
花村は素早く端末に手を伸ばした。しかしそれはアヤメの繰り出した鋭い拳によって阻止された。花村は拳を素早く躱した。強化外装の拳を生身で喰らえば、人間の体など一たまりもない。この場の主導権は完全に彼女が握っている。花村はそう思った。
一方、アヤメは内心、花村が自分の拳を躱したことに驚きを隠せなかった。牽制だったとはいえ、魔力で強化した自分の攻撃を生身で完全に回避されるとは思っていなかったのだ。花村が手練れであることを確信した彼女は、身構えながら体内の魔力を高め始めた。そしてそれを悟られないよう、花村に話しかけた。
「聞いても答えるはずはないか。これ以上話しても意味はなさそうだ。」
花村はその言葉に違和感を感じ、彼女に問いかけた。
「我々が確保したあの球体を取り返しに来たのではないのか?」
「あれは今の私の手に余る。最初に言った通り、お前たちの顔を見に来ただけだ。」
花村は思わず眉を顰めた。それを見たアヤメは敢えて、からかうような口調で言い放った。
「拳を躱されて確信した。お前たちは正規軍兵士じゃない。対人戦闘、それも武装した犯罪者確保に特化した部隊だ。おそらく・・・刑部省管轄の特殊部隊、違うか?」
その途端、花村は伏せるように体を沈み込ませた。アヤメが彼の姿を見失った刹那を突いて、彼は素早くテーブルを回り込み、視覚外からアヤメに掴みかかった。魔力を充填していたアヤメは反撃をせず、そのまま僅かに体を引く。掴まれたら危険だと、咄嗟に判断した結果だった。
その隙を突いて、花村はテーブルの端末を手に取った。直後、艇内に警報が鳴り響く。アヤメはニヤリと笑って、ぐっと拳を後ろに引いた。
「正直な男は嫌いじゃない。」
「・・・っち!」
花村は思わず舌打ちをして、左手を目の前に掲げた。指に嵌った指輪を操作し、無詠唱のまま全力で魔力の防壁を張る。その直後、アヤメが大きく拳を振り抜いた。
「『炎熱拳!』」
拳から放たれた衝撃波が花村がさっきまで横になっていたベンチに炸裂すると同時に、室内を爆炎が包み込んだ。輸送艇の壁が崩壊し、花村は衝撃波で床に叩きつけられた。アヤメは爆炎に飛び込むと、自らが開けた壁の穴を通って艇外へと脱出していった。
間もなく、副官が兵士たちと共に室内に雪崩れ込んできた。消火作業を指示した副官は、すぐに床に倒れている花村に駆け寄った。
「大丈夫ですか、隊長!?」
花村は体の前面に軽い火傷を負っていた。着ていた隊服にもあちこちに焼け焦げが出来ている。彼は副官の手を借りてその場に立ち上がると、崩壊した休憩室の壁を穴を睨んだ。
「・・・厄介な女だ。こちらの情報を集めるだけじゃなく、仲間に自分の居場所を知らせやがった。」
その後、花村からアヤメの話を聞いた副官は、顔を引き攣らせた。
「拳で輸送艇の外壁を撃ち抜いたんですか・・・。」
副官は青ざめた顔で絶句した。戦闘用の機体ほどでないとはいえ、軍用機に使用される装甲板を拳で破壊するなど、とても人間業ではない。
「元『紅隼』乗りらしいからな。お貴族様は伊達じゃないってことなんだろう。」
医療班員からの応急治療を受けながら、花村はすぐに兵士たちに兵装を改めさせた。耐火装備に換装した陸戦兵たちは準備を終えるとすぐに、逃亡したアヤメの追跡に向かったのだった。
夜陰の乗じて森の中から移動をしようとしていたエイスケたちは、突然響き渡った爆音に驚き、輸送艇に目を向けた。
「爆発!?」
警報が鳴り響く中、赤い炎の揺らめきが夜の闇の向こうに見える。直後、分隊内限定の標準通信を知らせる信号が、三人の端末から聞こえ始めた。
「笹崎教官!!」
「(一時的に通信を回復させた。隊内通信だけだがな。だがおかげで位置を捕捉できた。そちらに向かう。)」
アヤメはそれだけ言うと通信を切った。標準隊内通信はすぐにまた使えなくなったが、その頃にはすでにアヤメは三人の元に駆け付けていた。
「お前たち、無事だったか。新道も無事のようだ。小桜はどうした?」
アヤメの言葉にエイスケたちは不安そうに視線を交わした。アヤメは「分かった」とだけ言って、小さく頷いた。
「まずは我々が生き残ることを考えよう。彼女のことはそれからだ。」
「生き残るって教官、一体何が起きてるんですか? それにあの連中は・・・!?」
アヤメはすぐにエイスケの問いを制した。
「詳しい話は包囲を抜けた後でな。私が連中の目を引き付ける。お前たちはその間に、私が指示する地点を目指せ。」
「で、でも教官・・・!?」
それでもまだ不安そうに問いかけるエイスケたちに向かって、アヤメは大きく声を張り上げた。
「222特別分隊、整列!」
反射的に整列し、姿勢を正す三人。それを見てアヤメは優しい笑みを浮かべた。
「よし、いい顔になったじゃないか。」
三人が少し落ち着きを取り戻したタイミングを逃さず、アヤメは腰に手を当てて自らの教え子たちに指示を出した。
「現時刻を持って、訓練ミッションの変更を行う。ここからは生存訓練だ。どんな手を使ってでも、絶対に生き残れ。いいな?」
「「「はい! 教官殿!!」」」
「よし! では行け!!」
三人は後ろを振り返ることもせず、アヤメが彼らの端末に送った情報に従い、闇の中へと駆け出していった。それを見送ったアヤメは彼らの背中に向かってぽつりと呟いた。
「・・・死ぬなよ。」
頭部装甲のシールドを引き下ろした後、彼女はエイスケたちが消えた方向に背を向けた。そしてこちらに向かってくる陸戦兵たちを迎撃するため、体内の魔力を徐々に徐々に、高めていったのだった。
読んでくださった方、ありがとうございました。




