表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
双鬼  作者: 鷹棒
76/78

75話 理由

1ヶ月ぶりの投稿です。

課題や体調の悪化、そして私のモチベーションの低下により執筆が滞っておりました。

本日より再開させていただきますので、今後ともよろしくお願いします。

そしてすみませんでした。

 まず山本が倒れた。


 追うようにして美玲も床に転がった。


 そしてかりんも次期にそうなるであろう状況だった。


「あのさ、聞いてよ。僕は不思議だと思うんだ」


 ただ白虎の気まぐれで立っていられるだけ。


「……何が?」


 絶対に勝てないことが分かってしまった。


 自分の選択が間違いだと気付いてしまった。


 今はただひたすらに、まだ死にたくないという思いだけで立っている。


 だから少しでも時間を稼ぐ。


 だから話を広げる。


「量産型って弱いじゃない? それでもまだ作られてるのってなんでだと思う?」


 かりんは地下で敦に言われた言葉と、ついさっき白虎が溢した言葉から推察する。


「量産型に()()隠されているから……?」


「おっ、凄い。実はそうなんだよ」


 白虎は手を叩きながらかりんに賞賛を送る。


「じゃあさ、その()()ってなんだと思う?」


 かりんは再び考える。


 時間をかけてはいけない。


 白虎を怒らせてはいけない。


 そんなプレッシャーの中、ごく微量の情報だけで推察する。


(量産型が未だに作られている理由……普通の異能にはない力、それこそ双鬼に宿っているような力があるから? 違う、それはわざわざ量産型でやる必要がない)


 一つの可能性が浮かんだが、すぐに否定する。


(白虎が言った言葉、状況を思い出せ! 強い異能を作れるからあんな可能性にかけなくていい。そしてその後すぐに山本と美玲ちゃんがやられた。考えろ、考えろ考えろ!)


「ねぇ、黙ってないで早く答えて……」


 白虎がイラつき出したその時だった。


「……神話級にも勝る戦闘力」


 ぽつりと口から溢れた。


 考えの正しさを精査するより前に……頭に浮かんだ瞬間だった。


「なに? 最初から知ってたの?」


「知らない、ただ考えただけ」


「へぇ、頭いいんだ」


 かりんの考えは正解だった。


「じゃあさ、頭いいなら僕が今から言うこと分かってくれるよね?」


 そう前置きしてから白虎はかりんに説明を始める。


「そもそもね、今作られている大抵の異能にはリミッターがつけられてるのさ。当然、僕の異能だって例外じゃない。その例外っていうのが……」


「量産型」


「そうだね、でもそれにも理由があるんだよ。量産型の異能は出力が他の異能に比べて何倍も低いんだ。つまり量産型はリミッターをかけるまでもなく限界なんて迎えられっこないんだ。だからリミッターをつけずに作り続けた。量産型だからね、コスト削減は大事だよ」


 かりんは白虎が何を言いたいのか薄々気付き始めた。


「でもいつの日か通常型の異能も量産できるようになった。当然量産型の生産を中止すべきだって話が出たよ。でも1人のバカが言ったんだ。量産型は構造上、そして理論上は最強になり得る。ってね」


 量産型は通常型よりも構造が単純な分、負荷にも多く耐えられる。


 つまりはリミッターの先まで理論上は耐えられる唯一の異能ということだ。


「だからさ……お前ら寝てないではやく限界超えやがれ」


 話は終わりだ。


 そんな声音だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ