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双鬼  作者: 鷹棒
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73話 決断

 かりんたちと敵のかけっこは長くは続かなかった。


「君たちの異能って犬と猫でしょ? いやー、量産型で逃げ切れると思われてるなんて神話級も舐められたもんだね」


 シュッと風を切る音と同時に、敵は3人の前に着地した。


「神話級ですって!?」


 かりんたちの視界には白い虎を解放した男が映っている。


 それを神話級だとは思っていなかったのだろう。


「あれ、知らない? 白虎(びゃっこ)って言うんだけど」


「あ? 白虎だかなんだか知らねぇけど……」


「山本!」


 かりんが再び静止を促す。


 目の前にいる白い虎、そして白虎という名前。


 加えてここがゲートより西側という事実。


 それがかりんに一つの結論を与えた。


 それが中国の伝説の四神であること。


 そして他の方位を担当している人の下には朱雀、玄武(げんぶ)青龍(せいりゅう)がいるという可能性を。


「あなたたちの目的は……?」


 かりんが訊ねる。


 早く他の人と合流しなければならないという考えまでは浮かんだが、それを実行するための考えが浮かばない。


 これはそのための時間稼ぎだ。


()()を守ること。それ以外なんにも知らないよ」


 あれとはもちろん塔のことだ。


「それは何のために?」


「知らないって言ったでしょ?」


「それは何で……」


「黙れ」


 その声が発せられた瞬間、かりんたちの腕が震えた。


「質問は一回にしてくれないかな? 最初にいったよね? なんにも知らないってさ」


 白虎は決して不機嫌なわけでも怒ってるわけでもない。


 ただ、恐怖がこの空間を支配していた。


「どうするの? 退くなら別に追わないよ? 戦うなら全力で相手しようか」


 白虎は3人に『退く』という選択肢を与えた。


「どうする、かりん」


「ここは退きたいけど……」


「かりん姉に全部任せる……。好きにして……」


 2人はかりんに選択を委ねた。


「……戦うよ」


 かりんは決断を下す。


「は? マジで言ってんのか! お前、相手が見えてねぇのか?」


 山本が狼狽(うろた)える。


 それは美玲とて例外でない。


「いい? 正直、あれに勝てないようじゃこれから先なんにもできないと思う。帰って修行しなおす時間もないし、退いたところでみんなが無事な保証なんてない。じゃあ私たちだけで戦うしかないよ」


 かりんは2人に説明した。


「だけどよ……」


 山本はまだ納得しない、できない。


 本能で実力差を感じ取ってしまったからだ。


「私たちがメンバーの中で一番弱いの! ここで逃げて何になれるの!」


 かりんも悩んで出した結論だ。


 それを山本は感じ取った。


「いいぜ、そう言われたらやるしかなくなるじゃねぇか!」


「美玲ちゃんもいいよね?」


「勿論……」


 3人は戦闘態勢を取った。


「おっ、やる気だね」


 白虎も3人に対して、相応の対応を取る。


 双方が異能を本格的に解放し、場の空気が変わった。

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