56話 結果
食事を終えて食器を片付けていると、敦さんが帰ってきた。
「おかえりなさい」
「あぁ、ただいま」
敦さんの顔には少しだけ疲れが浮かんでいた。
「大丈夫ですか?」
それを感じてか、桃ちゃんが敦さんにそう聞いた。
それに対して敦さんはこう答える。
「問題ない。それとこの後、話がある。準備をしておいてくれ」
十中八九、会議の事だろう。
「分かりました」
全員でそう返事をし、各々が会議の準備を始める。
俺と山本さん、拓人君の男達は机や椅子の準備。
かりんさんと桃ちゃんの女性陣は食器の片付けを継続している。
その間、敦さんは風呂に行き身を清めている。
長い会議や戦闘をした後だ。
当然疲れも溜まるだろう。
できる限り次の話を短く終わらせたいな。
「待たせたな。これからマフィアとの会議で決まったことを伝える」
「はい」
だいたい30分くらい経ち、会議の準備ができた。
「結論から言おう。マフィアと全面的に協力することになった」
「それは異能研究会に対してですかー?」
「そうだ」
まぁそうだろうな。
「協力というのは具体的にはどういうことですか?」
桃ちゃんがそう聞く。
「今から話す」
敦さんがそう言った途端、全員の顔が一気に深妙なものになる。
「1ヶ月後、異能研究会に……パラレルワールドに乗り込む」
ん?どうやっていくんだ?
同じことを思ったのか、かりんさんがそれについて聞いた。
「どうやって?」
「今日読んだ資料に向こうの世界へのゲートの場所が書いてあった。話の都合上読み上げなかったらしいがな」
なるほど。
「でもどうして1ヶ月後なんですか?」
相手に時間を与えるのは少しまずいんじゃないか?
「正直に言おう。お前達が弱すぎる。俺も含めてな。おそらく異能研究会と対等に戦えるのは司だけだ。牛の女から聞き出した情報だが、あの女でさえ下っ端だそうだ。まぁ本人曰く周りの有象無象よりは強いそうだが……」
確かに俺たちはまるで戦力にならないだろう。
1ヶ月間で俺たちは強くなれるのか?
まぁ1日でこれだけ強くなってるんだ。
1ヶ月あればある程度は強くなれるだろう。
だが逆に1ヶ月で足りるのか?
「という事でお前達には1ヶ月間、死ぬ気で訓練してもらう。幸いというべきか最近異能生物の出現が活発になってきている。強くなれる手段はいくらでもある」
敦さんは少し溜めて言う。
「もう一度言うぞ。死ぬ気で頑張れ」




