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双鬼  作者: 鷹棒
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55話 意外

 その後、とりあえず訓練を切り上げて解散した。


 もう空は真っ暗になってしまっている。


 兄さんはというと、どうやら異能生物の討伐をしていたようだ。


 今日の異能生物大量発生や異能研究会の攻撃といい、最近異能研究会の動きが活発になっているな。


 まぁ大量発生が研究会のせいなのかは分からないが……。


 でも確実だろう。


 じゃあ何が目的なんだ?


 双鬼が目的なのは間違いないだろうけど、なんで最近になってなんだ?


 俺と兄さんが双鬼を持っていることは知っていたはずだ。


 じゃあもっと早くに来ていたはずだろう。


 戦力が足りなかった?


 内部で揉めていた?


 どっちも違うと思う。


 明らかに戦力は過剰だ。


 1年や2年でそんなに変わるとも思えない。


 牛の女性の発言からは内輪揉めがあったような内容を感じ取れなかった。


 それとも……。


「鉄君?こっち手伝ってくれる?」


 考えようとしたところでかりんさんに呼ばれた。


 見たところ食事の手伝いを望んでいるようだ。


「あれ?桃ちゃんはどうしたんですか?」


 食事といえば桃ちゃんだ。


 それなのになんでかりんさんがキッチンに立ってるんだ?


「あー、桃ちゃんは今日の訓練で疲れちゃったみたいで今は寝てる。起きたときおいしいご飯を食べさせてあげたいから」


 なるほど。


 だから俺に手伝いを求めたわけか。


「分かりました」


 と、了承したところで山本さんがドアを開け放ちながら言った。


「ちょぉっと待ったぁ!」


 もうなんか嫌な予感しかしない……。


「俺が手伝ってやる!」


 やっぱり。


 善意100%の顔で言ってるけど、実は悪意しかないんじゃないか?


 そんなタイミングでも登場だった。


 まぁ無視だな。


 俺はキッチンに向かって歩こうとした。


 そうしたら俺の右肩に何かが乗っかってきた。


「おい鉄、お前の行く場所はそっちじゃねぇぞ?」


 振り向いて山本さんの顔を見ると山本さんは親指でドアを差しながらこう言う。


「水買ってこい」


「あっはい」


 俺に拒否権はなかった。


 かりんさんに止められるかと思ったが、それより先に喧嘩が起こった。


 俺は何も知らない。


 思考を停止させながら俺はコンビニまで歩き始めた。



 コンビニから帰ってきたら料理が出来上がっていた。


 早くないか?


 まだ10分と少ししか経ってないぞ。


 山本さんは満足そうな顔をしている反面、かりんさんは息を切らすほど疲れていた。


 まぁそういうことだろう。


 というか山本さんが作った料理を桃ちゃんに食べさせるのか?


 なんか可哀想だ……。


「おはようございます。当番を代わっていただきありがとうございます」


 桃ちゃんが起きてきた。


 そのまま食卓についた。


 敦さんはまだ会議があるため、他の5人での食事だ。


「いただきます」


 見た目は美味しそうだ。


 まぁかりんさんも作ってるんだ。


 なんとかなるだろう。


 恐る恐る料理を口に運んだ。


 一口噛んだ瞬間、舌に電撃が走った。


「……おいしい?だと?」


 なんかもう、めちゃくちゃおいしい。


「だから言ったろ?」


 山本さんが心外だと言わんばかりの表情で言った。


 ……俺はもう何も信じない。

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