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双鬼  作者: 鷹棒
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53話 成長

 虎徹さんに挑み続けた。


 何の成果も得られなかったが。


 そしてその頃。


「なんでテメェはそんなに速く動けんだよ!おい待てや!」


「自分で考えて……。バカ……」


「はぁ?とっとと教えやがれ!」


 山本さんと美玲ちゃんがものすごい速さで追いかけっこしてる。


 クラスで1番速い人と遅い人くらい差があるけども……。


「もう!ホントになんでそんなに速いの!」


 かりんさんはクラスの平均くらいの速さだ。


 それでもやっぱり美玲ちゃんに追いつくことはできない。


「かりんには教える……。全力を出しすぎ……。必要な分だけでいい……」


「あぁ?今なんつった!もう一回言えや!聞こえねぇだろ!」


「口より頭を動かせ……。バカ……」


「会話に一回バカって言わなきゃいけねぇのか!」


 山本さんがうるさいけど美玲ちゃんがサラッと大事なことを言った気がする。


 全力を出しすぎず、必要な分の異能を解放する。


 研究会の牛の人が完璧にやってたな。


 そうか、今までの俺はただ立ってるときにも異能を出しすぎていたんだ。


 虎徹さんたちは立ってるとき脱力しているな。


 だから長く戦えるし、威力の高い攻撃ができる。


 素早く動けるし、回避にも無駄がなくなる。


「どうだ?あっち見て考えはまとまったか?」


 虎徹さんが俺にそう確認してくる。


「はい、もう一度お願いできますか?」


「もちろんだ!さっきと同じようにはなるなよ!」


 力を入れるのは一瞬、異能は神経まで行き渡らせる。


 イメージはできた。


 あとは実行するだけ。


 ドォォォン!と音を響かせながら地面を蹴る。


 自分でも認識できないくらいの速度で虎徹さんに近付いた。


 当然、虎徹さんは俺に反応し爪で応戦してくる。


 翼で避けちゃダメだ。


 ガードするしかない。


 俺は右腕を同様に一瞬で動かして、虎徹さんの攻撃を受ける。


 そして壁に叩きつけられた。


「お前は一度に二つのことできねぇのか?」


 内側に纏えてなかったみたいだ。


「すいません……」


 俺の謝罪に対して、虎徹さんは笑いながらこう答える。


「まだいけるよな?」


「当然です!」


 何度でも挑んで、何度でも吹っ飛ばされた。


 少しずつ防げるようになったが、2撃目を耐えられない。


 2撃目を耐えると3撃目が来る。


 俺が成長すればするだけそれを上回る力でやられる。


 それをみっちり3時間も繰り返していたら。


 右脇腹に爪が来る。


 1番自然な動きで対応し、それを受ける。


 すかさず左肩に斜め上から逆の爪が振り下ろされるが、脇腹に潜り込んで回避。


 虎徹さんが回避と同時に浅い蹴りを放ってくるが、俺はその足を掴む。


 そのまま投げようとしたが、左側に来る攻撃に対応した結果離してしまった。


 そのまま距離を取られる。


「なんか鉄平君強くなったね」


 潤さんにこう言わせる程度には成長した。

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