50話 研究資料
「次はこの研究資料を読むぞ。流石に俺たちと研究会では戦う土俵が違うことくらい分かっているはずだ。ならば何か手段を残している。そう考えるのが妥当だろう」
確かにその通りかもしれない。
松島さんは軽く概要を読み上げた後、俺たちに必要そうなことを読んだ。
ーーー
異能ってのは生物のDNAと異能の素を上手い具合に混ぜたものだ。
ついでにいえば敵性生物は生物そのものに異能の素を混ぜ込んだものだな。
まぁ結論から言ってしまえば、強くなりたいなら自分の異能の生物について知ればいい。
習性、特徴、なんでもいい。
それを理解すれば体に現れる異能はより強固になり、性能が格段に上がる。
その異能によって得意な動きも違う。
例えば、隼は速く飛ぶことができるが、梟はそうはいかない。
要するにそういうことだ。
まぁ例外もある。
それが神話級といわれる異能だ。
双鬼も神話級だな。
神話級ってのはDNAすら人間の手によって作られてるから作った人間にしか理解ができない。
なるべく分かりやすくデータをまとめたから後で見てくれ。
まぁなんだかんだ言っても最後は気合だ。
冗談じゃないぞ?
異能ってのは意思によって現れるからな。
特に量産型なんかは気合が足りなきゃ戦力にならん。
逆に気合さえあれば神話級にすら勝てる。
もし量産型がいるなら自信は失うな。
ーーー
「なんだよ、そんなのマフィアじゃもうやってるじゃねぇか」
虎徹さんが少しがっかりしながら吐き捨てた。
「じゃあなんで研究会の奴らに勝ててねぇんだよ」
「あぁ?テメェは下っ端にすら勝てなぁじゃねぇかよ!あと敬語忘れんなよ!」
「そっすねーすいませんでしたー!強いんなら強いなりに敵倒せるようになって下さいよー!」
山本さんは何にそんな怒ってるんだ?
「山本!私たちの量産型が強くないって分かったからって人に当たらないでよ!恥ずかしい」
あぁ、そういうことか。
「仕方ねぇだろ?戦力外って言われてしかも気遣わせてよく分かんねぇこと書かれてよぉ」
最後のところか……。
「それ多分気遣いとかじゃないと思いますよー。敦さんも言ってた通り量産型にもなにかあるんですよー。多分ー」
「同感……。そもそも意味がなければ作る必要がない……。バカは考えてから喋って……」
「お前なぁ、それは励ましになってねぇぞ」
山本さんは軽口を叩いてはいるが表情は少し暗いままだ。




