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双鬼  作者: 鷹棒
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48話 逃亡

 松島さんは日記を数ページめくった後、また読み始めた。


 あんな内容がそんなに書いてあるのか……。


 ーーー


 国から手紙が来た。


 研究に協力しろ。拒否すれば嫁の命はない。


 18歳の時に結婚してから両親が死に、2人で2年間過ごしてきた。


 付き合いこそ短いがそんなのは関係ない。


 彩花は俺の心の支えだ。今も昔も。


 どんな計画だろうと協力してやる!


 彩花を守るために!



 異能研究会とかいう組織の開発長に任命された。


 なんとかしてこのよく分からん物質を兵器に変えろ。


 命令はそれだけだった。


 拒否すれば当然、彩花の命はない。


 今まで培った知識を総動員させて開発を進めた。



 おいおい、鬼をつくれだと?


 しかも独自の機能を加えてか?


 ようやく犬が安定したって段階なのにか?


 まぁ仕方ない。


 俺にはやらないなんて選択肢はないんだ。



 なんとか完成した。


 途中で何人もの死人がでた。


 しかし完成してしまえば後は実験だけだな。


 被験者に俺が選ばれなければ全てが解決したんだがな……。



 俺は決めた。


 ここから逃げようと思う。


 流石にもう耐えられない。


 どれだけ身体を弄られたらいいんだ?


 このままじゃ持って数ヶ月。


 彩花を置いて死にたくない。


 偶然見つけたあのゲートを潜れば。


 あのパラレルワールドに続くゲートに!



 計画は今日実行だ。


 何人か協力者が現れたのが幸運だった。


 そいつらに全部託した。


 後はなんとかしてくれるだろう。


 俺は彩花と2人でゲートを潜って2人で暮らす。


 もううんざりなんだ。


 俺は天才になりたかっただけなんだよ……。



 こっちの世界は随分と平和なんだな。


 向こうは廃棄ガスが充満してるってのに、こっちは空気がうめぇ。


 本当にパラレルワールドなのかと疑いたくなるくらい違うな。


 とりあえずもう安心だ。


 彩花と2人で過ごせるんだ。



 なんか体調が悪い。


 というより身体中が蝕まれているような痛みが絶え間なくする。


 間違いなく鬼のせいだな。


 能力をぶち込みすぎたせいで体に負荷がかかってるんだな。


 これが2つに分かれれば人間でも耐えられるんだけどな……。



 ついに研究会も人間を派遣してきやがった!


 顔馴染みを派遣するとはあいつも性格が悪いな。


 まぁ殺す以外に選択肢はないんだ。


 それにしても本当に体が持たないな。


 あと何回か戦闘したら間違いなく死ぬ。


 という事でゲートに細工をしておいた。


 これでもう安心だ。



 彩花が子供がほしいと言ってきた。


 考えたこともなかったな。


 俺は彩花といる時間が好きだ。


 子供が産まれるとその時間が減る?


 いや、彩花の頼みだしな。


 いても困るわけじゃない。


 それに鬼を子供に分けたら……。


 流石にこれを彩花に言うと怒られそうだから黙っていよう。



 子供が産まれた。


 治と名付けた。


 想像の100倍可愛い。


 まぁ彩花の100分の1にも満たないがな!



 2人目……?


 さらに彩花との時間が減るぞ!


 まぁ仕方ない。



 という事で2人目が産まれました。


 名前は鉄平。


 念のためもう半分の鬼も託した。


 もう研究会は襲ってこないし、2人の体には影響がないはずだ。


 鬼を使う機会もないから生きるのに不都合はないだろう。



 は?


 なんでこんなことが起きるんだよ!


 ふざけんなよ!


 誰のせいだ?


 こいつらか?


 このガキ2人が悪いのか?


 こいつらが産まれなければ!


 こいつらさえいなければ!


 ……彩花が死ぬ必要なんてなかったんだよ……!

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