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双鬼  作者: 鷹棒
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41話 乱戦

 2分ほど走り、現場に到着した。


 敵は一体だけではない。何体もいる。


「各自、臨機応変に対応しろ」


「了解」


 一応返事はしたが、臨機応変と言われても困るというのが本音だ。


 しかしこの場では正しいのかもしれない。


 敵の総数も強さも把握できていない現状、下手な指示を飛ばすより混乱せずに済む。


 さて、俺はどれと戦おうか。


 考えていると、後ろから凄まじい速度で何かが迫ってくるのを感じた。


「っっ!!」


 すんでのところで避けることはできたが、体制を崩してしまった。


 敵はその隙を逃さず、再度突進してきた。


「大丈夫か!」


 上空から声が聞こえる。兄さんだ。


 兄さんは地面に接近し、そのまま弧を描くように一回転して敵を踏みつけた。


 敵は再生しようとしたが、兄さんに再度踏みつけられて消滅した。


「気を付けろ、敵はまだいるぞ!」


「分かった、ありがとう兄さん」


 気を引き締めないとな。


 俺は辺りを見回して敵の位置を確認した。


 さっきので分かったことがある。


 敵は危険度2くらいで、しかも再生する個体だ。


 分かっているなら怖いものなどない、気をつければいいだけだ。


 俺は迫りくる兎型を見据え、スレスレで躱した。


 そのまま拳を振り上げ、敵は上空に飛んでいった。


 兎型は1匹だけではなく、あと2、3匹はいる。


 残りの全てが様々な方向から同時に突進してきた。


 同時に、ということは俺のところに着くのも同時なはずだ。


 俺は一歩後ろに下がり、サマーソルトの動きをした。


 さっき俺のいたところに敵は重なり、その全てを切り上げた。


「あとは任せました、虎徹さん!」


 虎徹さんがちょうど敵を倒し終わったのを確認し、合図を出した。


「任せろ!」


 虎徹さんは跳躍し、打ち上げられた敵を薙ぐように引き裂いた。


「敵はまだいる!さっさと動け!」


 虎徹さんは着地するなりそう言って、別の敵に向かって跳んでいった。



 それから戦闘は10分以上続いた。


「だいたい片付きましたかねー?」


「そうだね、見える範囲の敵は全部倒したんじゃないかな?」


 幸い大きな怪我をした人はいないし、住民への被害もない。


 道路が割れてしまったが、あれだけの規模の戦闘だ。これだけで済んでよかった。


「よし、とりあえず警察に任せたら俺たちは目的地に行くぞ」


 全員が了承の意を示す中で、山本さんだけが明後日の方を向いていた。


「どうしたんです?」


「いや、ちょっと気になった。確認してきていいか?」


「俺はいいですけど……」


 俺は敦さんの方を見た。


「あぁ、構わない。行ってこい」


 山本さんはその言葉を聞くなり、付近のビルの3階に跳んでいった。


 10秒ほど経ったあと、異能生物が窓を破りながら飛び出してきた。


「こいつは殺すな!前回の鳩と同じ奴だ!」


「分かったよ」


 潤さんはそう言うなり飛び上がって、敵を翼で包み込んだ。


 おそらく翼の中で暴れているだろうが、潤さんに対してそれは意味ないだろう。


「どうしてこれが前回の個体だと思った?」


 確かに前回の戦いでは鳩が大量発生したが、それだけでは根拠が薄いだろう。


「ただの勘です」


「勘……か。だったら本当なのだろう。山本の勘は舐めたらいけない」


「ではこの個体は本部に持ち帰って調べよう。文山に連絡すれば大丈夫だろう……」


 松島さんが携帯を取り出そうとした瞬間、潤さんがそれを止めた。


「待ってください!……消えました」


 消えた?


「倒したのでもなく、自滅でもなく?」


「はい、確かに消えました」


「……そうか、分かった。とりあえず目的地に向かうか」


「了解」

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