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双鬼  作者: 鷹棒
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29話 圧倒

 龍宮寺さんの強さはずば抜けていた。


 山本さんが勝てないのも納得がいく強さだ。


 敦さんと虎徹さんが2人がかりでも倒せなかった女性を圧倒している。


 龍宮寺さんの異能である龍の腕をひと薙すれば、まさしく台風に等しいくらいの風が吹き荒れる。


「なんでよ!なんで向こうの人間じゃないのにこんなに強いのよ!」


 女性はかなり焦っている様子だ。


 しかし龍宮寺さんは気にも留めない。


「喋る余裕があるのか?」


 まさしくその通りだった。


 敦さんたちとの戦闘では、暴れ牛と言えるほどの強さを発揮していた女性が、今では乳牛と言っていいほど何もできていない。


「なによ!随分と余裕そうね!」


「負け惜しみか?」


 いや、ただの負け惜しみには聞こえない。


 何か作戦がある。そういった声だった。


「早く起きなさいよ!熊沢(くまざわ)!」


 熊沢?誰だ、聞いたことがない…。


 しかし直感的に理解した。


 あの巨大な異能生物のことだ…!


 じゃああの異能生物は人なのか?


 女性の呼びかけに応えるように、異能生物は立ち上がった。


 熊沢と思しき異能生物はすぐさま龍宮寺さんに向かって拳を振り下ろした。


 避けることは容易いだろう。


 しかし避けてしまえばさらに被害が大きくなる。


 どうするんだ!?


「潤、なんとかしろ」


「人使いが荒いですね…」


 潤さんだ。もう帰ってきたのか!


 龍宮寺さんはそれだけ言って、熊の攻撃を意識から外した。


 完全に潤さんを信頼している。


 潤さんもその信頼に応えようとしている。


 これがマフィアの関係なのかな?


 潤さんは異能を翼だけ解放して熊の腕に向かって飛んでいく。


 この戦いで分かった。異能は解放させる部分が少ないほどより強力なものになる。


 だから潤さんは翼だけで飛んで行った。


 潤さんと熊の腕が衝突する。


 同時に轟音が鳴り響く。


 張り手を防いだように、背中から衝撃波が発生するのは変わらない。


 さっきのパターンだと、潤さんは衝撃に耐えきれず吹っ飛んでしまう。


 しかし今回は違った。


 決して全ての衝撃を受け切れるわけではない。


 潤さんは体を捻って、熊の腕を振り払った。


 勢いは弱まった。


 しかしコンクリートに亀裂が入るくらいの衝撃は残っているはずだ。


 俺は腕を目で追う。


 腕の先、地面の上には虎徹さんと、さっきまで俺の近くにいた兄さんがいた。


 2人は迫りくる腕に対して、同時に全力の攻撃を繰り出す。


 虎徹さんは両腕を使った引っ掻きを、兄さんは左腕を使った正拳突きを。


 普通ならば2人とも潰れていただろう。


 しかし、潤さんが衝撃を殺している。


 2人の攻撃と熊の攻撃は相殺しあい、やがて止まった。


 一切の被害も出さずにだ。


 なんの合図も出さずに協力し、各々が各々の仕事をした。


 これがマフィアか…。

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