表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
双鬼  作者: 鷹棒
29/78

28話 兄

「立てるか?」


 兄と思しき人物が俺を心配してくれている。


「はい、なんとか…」


 俺は、潤さんがやっていた回復を見様見真似で行った。


 結果、なんとか立ち上がる事が出来るほどには回復したが、同時にものすごい疲労感が襲ってくる。


「敬語使うのやめろよ、昔みたいに普通に話してくれ。兄弟だろ?」


「やっぱり兄さんなの?」


「当たり前だろ、ていうかさっき兄さんって言ってたよな?」


「なんか反射的に…。俺、あんまり兄さんの事覚えてないんだ」


「やっぱりか…。まぁ仕方ないな、とりあえずこいつら倒すか」


 兄さんはそう言って、俺たちに迫る大量の鳩を見据えながら異能を解放した。


 兄さんの異能は『鬼』だ。


 それも左っ側だけ。虎徹さんが言ってた通りだ。


 それからは一瞬だった。


 兄さんが腕を動かせば敵はぐちゃぐちゃになり、足を動かせば敵は吹き飛んだ。


 俺たちの周りにいる敵は全て片付いた。


 他はどうだ?


 俺は辺りを見回した。


 良かった、全て倒してる。


 幸い、復活する個体ではなかったようだ。


 これで敵も少しは焦るだろう。熊は倒れ、鳩はやられた。


 しかし結果は逆だった。


 焦りを浮かべると思っていたが、逆に恍惚とした表情を浮かべていた。


「まさかこの現場に双鬼が揃うなんて…!双鬼を捕まえたらどんなに褒められるでしょう?どんなに出世出来るでしょう?あぁ楽しみだわぁ!」


 寒気が走るほど、欲望に満ちた声だった。


 そんな俺の肩に兄さんは手を回してくれる。


「大丈夫、なんてったって()()()が来てるんだから」


「あの人?」


 俺の疑問と同時に、その人物は現れた。


「悪い、待たせた」


 その男の声に、虎徹さんが反応する。


「大丈夫です、わざわざお手を煩わせてすみません。司さん」


 その男は、龍宮寺司だった。


「あんたもしかして龍宮寺って奴?まさか()()()が3人も揃うなんてね…」


 女性が言った。


 それにしても神話級ってなんだ?おそらく俺と兄さん、そして龍宮寺さんの事を言っていると思う。


 この3人に共通する事、それは()()()()()()()という事だ。


 実在しないから神話級?神話級が何か特別なのか?


 疑問は尽きない。


 しかしこの状況で考える余裕もない。


「何故俺の名前を知っているかは知らないが、この街をこのような状況にした事の罪、償ってもらおう」


 龍宮寺さんの言葉に対して女性はこう答えた。


「罪?知らないわよ、()()()()()()の事なんて。私たちの目的はただ一つよ。盗まれた異能を取り返す事だけ。罪って言うならそっちも犯してるんじゃないの?確か窃盗罪とかいったっけ?むこうじゃ機能してないから覚えてないけどね」


 女性は発する言葉の端々に、よく分からない事を言う。


 こっちの世界?異能が盗まれた?むこうじゃ機能してない?


 しかし、龍宮寺さんはその事を気にも止めずに異能を解放した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ