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双鬼  作者: 鷹棒
25/78

24話 張り手

サブタイトルがだんだん適当になってきてます。

 その後も俺と拓人君は敵の攻撃を避け続けた。


 一発二発と、被害が出ないように。


 しかし、腕を薙ぎ払うだけだった敵が、攻撃方法を変えてきた。


 敵は右腕を懐まで動かし、張り手の体勢を取った。


 反射的にまずいと思った。


 ヒグマの張り手を食らうと何十メートルも吹っ飛ぶと聞いたことがあるからだ。


 例え運良く避けたとしても、風圧はさっきとは比べものにならないだろう。


 そうしたら間違いなく被害が出る。


 どうする!?


 考えようとした瞬間、敵が動いたのが見えた。


「鉄さんー!」


 拓人君はそう言いながら、俺を全力で上空に投げ飛ばした。


 自分の体勢が崩れながらも。


 張り手は拓人君に向かって勢いよく迫っている。


 拓人君は避けれない。


 俺も投げられた勢いで助ける事が出来ない。


 瞬間、拓人君の姿が消え、その場には潤さんがいた。


「キャハハハッ!大丈夫か拓人!」


「なんとかー。ありがとうございますー」


「兎さーん、ちょっと怪我人の扱い雑じゃない?」


「うるさぇ!そんくらい働きやがれ!」


「いや、怖いな!」


 考えるに、桃ちゃんが潤さんを連れてここまで跳んできた。そして潤さんを離して拓人君を回収した。という事だろう。


 しかし何故潤さんを?


 答えはすぐに出た。


 張り手の先にはビルがあった。


 あれに当たると瓦礫がどこまで飛ぶか分からない。そういう事だろう。


 しかし潤さんでもあれは止められないのではないか?


 答え合わせと言わんばかりに、張り手と潤さんの翼がぶつかる。


 さっきの戦闘と同じように、潤さんの背中から衝撃が逃げた。


 それもさっきとは比べものにならないくらい。


 しかしそれも一瞬の出来事だった。


 潤さんは張り手に耐えられず、音速を超える速度で上空に飛んでいってしまった。


 幸いと言うべきかビルに当たる事はなかった。


 もし当たっていたら、街の被害どころか潤さんの命が危なかっただろう。


 潤さんのおかげで張り手は勢いを弱め、風圧で街が壊れる事もなかった。



 いつまで耐えればいい?


 俺たちは潤さんという貴重な戦力を失った。


 いつまで耐えれる?


 もう一度張り手が来たら耐えられない。


 他の人たちの状況は?


 俺は潤さんが飛ばされた衝撃から、そんな事を考えてしまった。


 仲間を信じると決めたのに。


 そうだ、信じるんだ!


 いつまでだった耐えてやる。


 そんな俺の意思に応えるように、かりんさんの声が聞こえた。


「やっと弱点を見つけた!鉄君たちは一回こっち来て!」

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