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双鬼  作者: 鷹棒
20/78

19話 作戦

この先の展開について考えたんですけど戦闘シーンしかない…?


 山本さんは威勢のいい返事をしたが、結局攻めあぐねているようだ。


 そこで俺はみんなに、さっき考えた作戦を伝える。



「なるほど、では俺も動こう。俺1人で虎を抑える。他は任せたぞ」


 敦さんが虎徹さんの相手を引き受けてくれた。


「じゃあ俺はあの女だな、俺以外に止められる奴はいねぇだろ?」


 山本さんはフードの少女。


「じゃあ俺と桃ちゃんが潤さんに攻撃できるように、拓人君は頑張って潤さんを抑えて」


「分かりましたー」


 全員の了解を得た所で、再びマフィアと向き合う。


「作戦会議は終わったか?」


「はい、それはもう万全に」


 虎徹さんの問いかけに対して俺は自信ありげに答えた。


 その問答が引き金となり、両者が動き出す。


「おっ!ただ突っ立ってるだけじゃねぇんだな!」


「無駄口を叩く余裕があるのか?」


 虎徹さんと敦さんが圧倒的な強者感を醸し出している。


「今度こそ逃さねぇよ!」


「……」


 別方向では山本さんとフードの少女が向き合っている。


「いやー、僕のところだけ3人?人気者になっちゃったなー。困るなー」


 潤さんはそう言いつつも、焦っている気配は一切ない。


 その事に少し不安を覚えたが、気にせず行動に移す。


 まずは拓人君が潤さんのもとに接近する。


 この作戦のためには、潤さんに自由に動かれては困る。


 だが、潤さんはそれに気付いているかのように、拓人君の攻撃を動きながら躱している。


 対して拓人君は、一瞬の隙だけでも作ろうと、足を使った掴みを繰り出し続ける。


 攻撃するのは俺と桃ちゃんだ。一瞬の隙さえ有ればいい。


 しかし拓人君の攻撃は一向に当たらない。



 1分くらい経っただろうか?


 周りからは、虎徹さんと敦さんが全力で爪をぶつけ合う音や、山本さんと少女が派手に追いかけ合う音が聞こえる。


 それはこっちも同じだ。


 拓人君の攻撃は全て防がれ、隙を作る事が出来ていない。


 しかし状況は動いた。


 俺の視界の端にかりんさんが映った。


 拓人君たちが戦っているさらに上空から、音や気配もなく落ちている。


 俺と桃ちゃんは偶然視界に入ったから気付いたが、2人は気付いていない。


 かりんさんと潤さんの距離が残り5メートル程になった。


 その瞬間俺と桃ちゃんは一斉に、潤さんを囲むように動く。


 すぐにでも跳躍出来る様に。


 かりんさんと潤さんの距離が縮まっている。


 残り1メートルというところで潤さんはかりんさんの存在に気付いた。


 当然潤さんは、何を考えているか分からないかりんさんを無視など出来ないだろう。


 潤さんはかりんさんの軽い攻撃に、大袈裟と言えるほどの防御をした。


 拓人君を無視して。


 実際、かりんさんの攻撃になんの工夫もなかった。


 ただ、潤さんに隙を作る事はできた。


 その隙を突いて、拓人君が隙を作る。


 潤さんのガラ空きな背中から、翼の付け根をガッチリと掴んだ。


 その瞬間、俺たちはなんの合図もせずに、潤さんを挟む形で跳躍する。


 俺たちが接近する頃には拓人君の拘束は解かれていた。


 だがその隙だけで十分だ。


 俺は潤さんの左側に全力で拳を、桃ちゃんは右側に蹴りを繰り出す。


 潤さんはこの攻撃に対して、大きく翼を広げて、両方に対応しようとする。


 もしも攻撃が片方なら衝撃を受け流されて防がれただろう。


 だが、同時に反対側からも攻撃されたらどうだ?


 衝撃を受け流す事は出来るのか?


 答えは出た。


 俺と桃ちゃんの攻撃を受けた潤さんは苦痛に顔を歪めている。


「キャハハハハッ!!やっと効いた!ザマァみやがれ!」


 とても桃ちゃんの顔とは思えないほど歪な笑みを浮かべた桃ちゃんがそこにいた。


「いやー、効いたね。久しぶりだよ、こんなに痛いのは」


 さっきまでとは違い、潤さんの顔には余裕がない。


 立つのも困難と感じさせるほどフラフラしている。


 俺の攻撃と桃ちゃんの攻撃を直にくらったようなものだ。むしろその程度で済む方が凄い。


「おい潤!何やられたんだ!お前いねぇと俺ら負けるじゃねぇか!」


「いやー、すいません。まさか逃げ出したと思っていた猫が帰ってくるなんて思ってませんでしたよ。しかも何か策があるのかと思ったら、あえて何もしないなんてね。普通は思いつかないじゃないですか」


 虎徹さんの怒号に対して潤さんはこう答えた。


 でも確かにそうだ。


 まさか()()()()()()()()()()()()()()()とは…。


 そんな事を考えていると、どこからか爆発音のようなものが聞こえてきた。


 山本さんたちでもない、敦さんたちでもない。もちろん俺たちでもない。


 じゃあどこから…?

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